公務員試験の難易度は難しすぎる?職種ごとにランキング形式で紹介

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公務員試験の難易度は職種によって大きく異なります。

本記事では、国家公務員から地方公務員まで、各職種の難易度をランキング形式で詳しく紹介し、試験対策のポイントについても解説します。

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公務員試験の職種別難易度ランキング

公務員試験の職種別難易度ランキング

【最難関】国家公務員(総合職)外務省専門職員 国会職員

国家総合職試験は、キャリア公務員を目指す人が受験する難関試験です。人事院が実施する難易度の高い筆記試験と面接に合格した後も、各省庁の採用面接をパスしなければなりません。エリート中のエリートが力を尽くす一大試練なのです。

外務省専門職員採用試験も、語学力と専門知識の高さが求められる上、採用数が少ないため合格するのは極めて難しくなっています。国際舞台で活躍するための難関試験と言えるでしょう。

国会職員採用試験も、衆議院・参議院や国立国会図書館で働くための高度な専門性が問われます。筆記試験の難易度が高く、合格者数が限られているため、激しい競争が予想されます。

【難】東京都庁 大都市圏県庁 東京特別区 労働基準監督官

都市部の地方公務員やある種の国家公務員となるための採用試験は、その高い専門性と限られた採用枠から、非常に難易度が高く競争率も高くなっています。

大都市圏や政令指定都市の地方自治体職員は、規模の大きな予算を扱う業務に携わるため、多くの志望者からその職場の魅力を評価されています。東京都庁や大規模自治体の公務員試験は、熾烈な競争が予想されます。

一方、皇宮護衛官や航空管制官、労働基準監督官といった国家専門職は、高度な専門性が求められる職種です。その業務内容の特殊さから、小説やドラマの題材にもなるほどです。

こうした職種への採用試験は、専門分野における確かな知識が問われ、合格者数も限られているため、難関試験となっています。

【やや難】国家公務員(一般職)地方上級 国税専門官 裁判所事務官

国家公務員の一般職や県などの地方公務員は、国や自治体の一般的な事務を担当します。公務員試験の中でも受験者数が最も多い典型的なカテゴリーです。

一方、国税専門官は専門分野の試験が課されますが、採用数自体は多い職種です。また、一定年数勤務すれば税理士試験が免除されるという特典もあります。

裁判所事務官は、裁判所での事務を担当するため、職務上、法律の深い知識が必須とされています。

国立大学法人等職員に関しては、筆記試験は教養試験のみで難易度は低めですが、採用枠が限られているため、合格するには高い水準が求められ、競争率も高くなる傾向があります。

【普通】市役所職員 消防官 警察官

多くの市役所の筆記試験は教養試験と論文試験のみ、学習範囲が狭く、比較的短期の学習で合格できる試験です。市役所は近年、教養試験の代わりにSPIなどを課す自治体が増えており、受験しやすくなっています。

消防官・警察官も、筆記試験は教養試験と論文試験のみです。筆記試験は警察官の方が易しめとなります。警察官・消防官とも体力試験が課されるため、勉強だけでなくトレーニングといった準備が必要となってきます。

市役所職員、消防官、警察官の公務員試験は、それぞれ教養試験と論文試験を主要な筆記試験としています。特に市役所の試験では、学習範囲が限られており、短期間での対策が可能です。

国家公務員試験の合格率の推移

ここで過去7年の国家公務員試験の合格率推移を見てみましょう。

国家公務員試験の合格率の推移

人事院『2023年度国家公務員採用試験実施状況』

国家公務員試験の合格率の推移は、国税専門官は採用予定人数が増加する一方、倍率は全体的に減少傾向にあります。

国家総合職(法律区分)は倍率が高く、特に2018年に18.1とピークを迎えた後、2020年に一時的に低下しましたが、再び高倍率に戻りました。

国家一般職(行政/関東甲信越)は倍率が緩やかに低下しており、採用予定人数も増加傾向にあります。全体として、採用予定人数の変動や試験の倍率が各職種ごとに異なる傾向が見られます。

地方公務員試験の合格率の推移

次に、過去7年の地方公務員試験の合格率推移をまとめました。

(例1)埼玉県(一般行政)

倍率採用予定人数最終合格人数

2015

6.6

179

265

2016

6.4

163

256

2017

5.7

171

252

2018

6.0

156

244

2019

5.2

149

241

2020

3.8

193

333

2021

4.2

169

284

2022

3.8

184

300

(例2)特別区Ⅰ類(事務)

倍率採用予定人数最終合格人数

2015

5.6

930

1739

2016

6.6

940

1781

2017

5.8

980

2176

2018

5.4

1130

2371

2019

5.7

966

2032

2020

5.7

906

1741

2021

4.8

874

1881

2022

3.6

983

2308

(例3)東京都Ⅰ類B(一般方式・行政)

倍率採用予定人数最終合格人数

2016

4.9

365

550

2017

6.3

340

439

2018

6.1

320

421

2019

5.6

290

403

2020

4.6

265

352

2021

13.7

85

110

2022

3.1

360

540

2023

2.4

455

626

埼玉県『令和5年度 職員採用試験実施状況』

東京都『令和5年度 I 類採用試験(春試験)実施状況』

地方公務員試験の合格率推移を総括すると、埼玉県(一般行政)は採用予定人数が増加すると共に倍率が減少し、特に2020年以降は倍率が低下しました。

特別区Ⅰ類(事務)は全体的に安定した倍率を維持しており、2022年には倍率が3.6まで下がり、合格者数が増加しました。

東京都Ⅰ類B(一般方式・行政)は倍率が大きく変動しており、2021年に13.7と非常に高い倍率を記録した後、2022年には3.1に急落し、合格者数が急増しました。

全体として、採用予定人数や試験倍率は年度ごとに大きく変動することが見られます。

公務員試験の難易度が高いと言われている理由

公務員試験は、国家公務員試験と地方公務員試験に分かれます。いずれの公務員試験も、多様な職種があり、各試験では出題内容や形式が異なるため、幅広い知識が求められます。

試験範囲が非常に広いので勉強しきれない

公務員試験の難易度が高いとされる主な理由は、試験範囲の広さにあります。

具体的には、教養試験で要求される範囲が文章理解や数的処理などの知能系から自然科学、人文科学に至るまで多岐にわたります。

さらに、専門試験では法律や経済など特定の分野の専門知識が問われるため、広範な知識が必要です。

そのため、公務員試験の対策としては、1,000~1,500時間の勉強が推奨されることが多く、この大量の学習量が合格を難しくしています。

面接試験を独学で対策するのが難しい

公務員試験の難易度が高いとされる一因は、面接試験の対策が独学では困難であることにあります。

公務員試験では筆記試験の後に面接試験が行われ、これらの成績を合算して最終的な合否が決定されます。

近年、官公庁や自治体では人物重視の傾向が強まっており、面接の比重が高まっています。

このため、効果的な面接対策が非常に重要となりますが、面接はその性質上、独学で準備を進めるのが難しい試験部分であり、適切な指導を受けることが一層重要です。

採用する予定の人数に制限がある

公務員試験の難易度が高い主な理由の一つは、採用予定人数が限定されていることにあります。

各試験で定められた採用予定人数は、最終的に採用される人員の上限を意味しており、合格者数がこれを上回る場合がほとんどです。

最近では、官公庁や自治体が経費削減を理由に採用予定人数を減少させているため、競争は一層激しくなっています。

さらに、多くの場合、採用面接は上位の合格者から優先的に行われるため、高いランクでの合格が求められます。

受験の倍率の高さほどは難易度が高くない

公務員試験は、倍率が高く見えがちですが、実際の難易度は表面的な数値ほど高くありません。申込者数と実際の受験者数には大きな開きがあり、申込者の約3割近くが試験を受けていません。 

これは、公務員試験が無料であること、他の試験との併願、十分な準備ができないまま試験を受けてしまうことなどが理由です。

したがって、公務員試験の実質的な難易度を判断するには、申込者数ではなく、受験者数と合格者数の比率を見る必要があります。その比率は高く見積もっても3〜4倍程度と考えられます。

公務員試験の内容

大卒程度区分の公務員試験別に、筆記試験の出題パターンを一覧化しました。

大卒程度区分

教養択一

教養記述

専門択一

専門記述

国家一般職

×

国税専門官

×

国立大学法人等職員

×

×

×

地方上級※

×

東京特別区

×

東京都

×

市役所(法令指定都市以外)※

×

×

◯...出題あり ×...出題なし ※いくつかの例外あり

この表は、大卒程度の国家および地方公務員試験における教養および専門試験の択一・記述形式の有無を示しています。

国家一般職や国税専門官は専門試験において記述形式が異なり、国立大学法人等職員や市役所(法令指定都市以外)では専門試験が行われない点が特徴です。

また、東京都は専門試験で記述形式が実施される唯一の区分です。

教養試験

公務員試験の重要な一部である教養試験は、思考力を試す「知能分野」と知識を問う「知識分野」から構成されています。

「知能分野」では、数的推理力や文章理解力などの基礎的な能力が問われ、日々の演習を通じて鍛えていく必要があります。

一方、「知識分野」では、社会、人文、自然科学などの幅広い分野の一般的な知識が求められ、予備知識の整理と記憶力が試されます。

これらの分野がバランス良く評価されることで、公務員に求められる総合的な基礎能力が測られるため、教養試験は公務員を目指す受験生にとって欠かすことのできない試練となっています。

専門試験

公務員試験の一部である専門試験は、志望する職種によって出題される科目が異なります。

行政職などの一般職種を受験する場合、法律、経済、行政といった分野の科目が出題され、大学の専門課程に匹敵する難易度となっています。

この試験は、単に知識を問うだけでなく、具体的な問題解決能力を評価するものです。専門的な知識を備え、それを適切に活用できる人材を選抜することが目的です。

さらに、これらの分野は市民生活に深く関わるため、専門試験を通じて公務員に求められる市民サービスや公共性の追求につながります。

専門記述式試験

国家公務員試験では、志望する職種や機関によって試験内容が異なります

中には、特定の専門分野について知識と理解度を問う「専門記述式試験」が課される場合があります。

例えば、法律関連の職では法律科目、行政や経済関連の職では対応する科目から出題される可能性があります。

したがって、受験生は採用案内などで詳細を確認し、自身の専門知識と照らし合わせて弱点を補強する必要があります。専門記述式試験は難しいですが、適切な対策さえすれば必ず合格できるはずです。

論文試験

論文試験は、論理的な思考力と問題解決能力を測る試験です。 

一般的な知識を前提とし、社会課題について多角的に考察し、適切な解決策を提案する力が求められます。

課題には、地方分権や市町村合併などの行政問題、少子化対策のような社会全体の関心事が選ばれることが多く、公務員として取り組むべき課題が出題されます。

近年では、環境問題や新型コロナウイルス対策など、時事問題も題材となっています。社会の変化に応じて内容も進化し続けており、幅広い視野と深い思索力が試されます。

公務員試験合格のために注意する点

受験勉強を適切なタイミングで始めよう

公務員試験に合格するには、計画的な時間管理と早めの準備が鍵となります。

専門分野の理解には約1000時間の学習時間が必要とされ、多くの受験生が試験の1年前から本格的に取り組みます。

学生の場合は大学の課題や就活とも両立しなければならず、効率的な時間管理が求められます。

自己学習と受講生では計画的な勉強の進め方に差が出るため、早期から自分のスケジュールを立て、適切に準備を進めることが合格への近道となります。

試験内容などの基本的な情報収集は早めにスタート

公務員という言葉に含まれる職種は実に多様で、各職種で試験内容や形式、面接の方法、試験日程がそれぞれ異なるため、早めの情報収集が欠かせません。

例えば、国家公務員か地方公務員か、国家公務員であれば所属する府省庁、総合職か一般職かなどの区分によっても変わってきます。地方公務員なら都道府県か市区町村かで違いがあります。

必要な学習内容は、志望する公務員の種類によって変わります。一般常識を問う職種もあれば、専門知識が求められる職種もあり、対策科目が異なります。

また、試験形式も多岐にわたり、マーク式の他、SPIなど工夫が必要なタイプもあります。

さらに、一次試験日程が決まっているため、その日に受験できるかどうかで、併願できる職種が変わってきます。自分の志望に合わせて、適切な試験日を選ぶ必要があります。

勉強の計画を立てよう

公務員試験には多くの科目があり、それぞれの難易度も高いため、合格するためには計画的な学習が欠かせません。

まずは志望する公務員の職種を決め、その職種で必要な科目を把握しましょう。

次に、各科目の範囲と難易度を理解した上で、自分に合った学習時間と頻度を検討してください。一次試験日から逆算して適切な勉強計画を立て、効率よく知識を身につけることが大切です。

計画を立てる際は、科目の専門性や数を考慮し、具体的にどの科目をいつ何時間学習するかを決めましょう。高度な職種については、予備校や専門学校の利用も検討するとよいでしょう。

公務員試験では科目の勉強だけでなく、面接対策も重要です。面接対策も日々のスケジュールに組み込む必要があります。

筆記試験対策の基本ポイント

公務員試験の勉強では、まず情報収集が欠かせません。

特に筆記試験対策として過去問題をしっかり活用することが大切です

ただし、ただ漫然と勉強するのではなく、計画的に効率よく学習していく必要があります。

最初は過去問題を注意深く読み、どのような問題が出題されているのか把握します。その過程で、出題傾向や頻出分野、科目別の難易度などの貴重な情報が得られます。これらの情報を基に、自分に合った具体的な学習計画を立てることができるのです。

面接対策の基本ポイント

公務員試験の面接では、特別なテクニックや戦略を心がけるよりも、自分自身の思いを誠実に表現し、本心から話すことが大切です

面接官を意識しすぎて本来の自分から離れた答えをしたり、経歴を隠したりすると、面接官との信頼関係が築けず失敗につながります。面接官は、あなたの答えが本当の思いからくるものか見抜くでしょう。

成功例として、年齢制限ギリギリで、経歴が関連性のない鹿児島県庁に内定を得た方がいます。

この方は、地元より鹿児島で生活したいという強い思いを持ち、歴史ある鹿児島への熱い思いを面接官に伝えました。鹿児島出身の志士たちに影響を受け、その地域の歴史からインスピレーションを得たと語りました。このありのままの言葉が面接官に強く印象付け、内定につながったのです。

困ったら予備校や通信講座を利用しよう

公務員試験に向けた勉強は一人で取り組むのは大変です。過去問題の分析や自分に合った職種の選び方など、プロの助けを借りると効率的に学習できます。

予備校や通信講座では、公務員試験に精通した専門家が情報収集から筆記試験対策、面接対策まで総合的にサポートしてくれます。自分に合ったカリキュラムを組むために、無料の個別相談を活用するのがおすすめです。適切な学習環境を用意することで、合格への近道を探ることができるでしょう。

おすすめの公務員試験通信講座

公務員試験の通信講座は、忙しい方々にとって「アガルート」の公務員講座がおすすめです。

この講座は、オンラインで自由な時間を利用して学習できるため、効率的に学習を進められます。

また、手厚いサポート体制があり、何度でも模擬面接を受けられるほか、専任講師に直接相談できます。自宅で手軽に学びたい方や、人物試験対策を重視する方にも最適な選択肢となるでしょう。

公務員試験の難易度まとめ 

今回は、公務員の難易度を職種ごとのランキング形式で紹介しました。

公務員試験の難易度は職種によって異なり、国家公務員総合職や専門職が最難関とされています。地方自治体の試験もそれなりの難易度がありますが、国家公務員に比べると比較的取り組みやすいでしょう。

公務員試験に関するさらなる情報や具体的な対策については、専門の書籍や講座を利用することをおすすめします。自分の志望職種やキャリアプランに合わせて、適切な準備をすることで、合格への近道を探ることができるでしょう。

ぜひ、この記事を参考にして公務員試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。