財務諸表論の独学合格は難しい?必要な勉強時間や難易度を解説

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税理士試験で会計科目の一環として位置づけられる財務諸表論は、2科目ある必須科目のうちの1つで、法人の帳簿作成や財務諸表の作成方法に焦点を当てています。

この記事では、財務諸表論に独学で挑むことは可能なのか、難易度や合格率等の観点から具体的に解説していきます。


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独学で財務諸表論に合格するのは難しい?

財務諸表論の独学合格は難しい

財務諸表とは、企業の財政状態や経営成績を示す重要な文書であり、利害関係者に向けて作成されます。

この科目は簿記論の理論的な知識を基にしており、多くの受験生が簿記論と共に最初に学習します。税理士試験では、受験生が年に1~2科目ずつ合格することが一般的であり、財務諸表論はそのスタートラインとも言える重要な科目です。

独学合格は至難の業

税理士試験はその難易度の高さから、独学で合格を目指す受験生は非常に少ないのが現状です。受験生は予備校や通信講座の力を借りることが一般的であり、これらのサポートを受けながら試験準備を進めます。実際に税理士として活躍している方々から話を伺っても、独学での合格は珍しいとすることが多いです。

独学で挑戦する場合、競争相手は予備校や通信講座でしっかりと準備をしている受講生ばかりであることが予想され、その中で上位15%に入ることは極めて困難なことが予想されます。これらの理由から、独学での試験対策は基本的に推奨されていません。

毎年ある税制改正に左右されない

税理士試験の多くは税法に関する科目であり、またこれらは毎年の税制改正によって内容が変わるため独学で十分な対策をとるのは難しいとされています。これらに比べると財務諸表論は、独学でも比較的取り組みやすい科目とされています。財務諸表論と簿記論は、税法科目とは異なり、改正の影響を受けにくいため、独学での学習がしやすいと言われています。

しかし、これはあくまで「税法科目に比べると」という話であり、試験の難易度は非常に高いため、予備校や通信講座の利用が推奨されています。実際に独学で合格する人は少数であり、多くの受験生が専門の指導を受けています。

財務諸表論の難易度はどれくらい?  

税理士試験において、財務諸表論は全11科目中、難易度が非常に高い科目の一つです。法人税法や所得税法と並んで、選択必須科目の中で3番目に難しいと位置づけられています。

この科目の難易度は、簿記論とほぼ同等で、簿記論が簿記1級以上の難易度を誇ることを考えると、財務諸表論も簡単には太刀打ちできないレベルの試験であることがわかります。そのため、この科目の合格を目指す受験生は、十分な準備と集中力をもって勉強に取り組む必要があります。

財務諸表論の合格率

財務諸表論

簿記論

2023

28.1

17.4

2022

14.8

23.0

2021

23.9

16.5

2020

19.0

22.6

2019

18.9

17.4

財務諸表論は、税理士試験の11科目中、合格率の振れ幅が特に大きい科目の一つです。2017年には29.56%という高い合格率を記録するなど、他の年と比較しても異常なほどの変動を見せています。

しかし、この科目の平均合格率は約18%となっており、全体としては比較的高めの合格率を保っています。特に、同じく必須科目である簿記論と比較すると、財務諸表論の方が例年合格率が高い傾向にあります。これらのデータから、財務諸表論が他の科目と比較しても、独特の合格率の特性を持っていることが読み取れます。

財務諸表論の合格ラインは6割?

財務諸表論の合格ラインは、公式には全体の6割であるとされており、名目上は絶対評価であると説明されています。

しかし、実際のところ、税理士受験生の間では上記の説明は実際には事実とは異なると認識されています。具体的には、合格率が大体15%前後となるように、配点や難易度が調整されていると言われています。これは、財務諸表論が、相対評価の性質を持つ試験であることを意味しています。

そのため、実際には5~6割程度の得点を目指すことが、財務諸表論での合格には現実的なアプローチであるとされています。

財務諸表論合格に必要な勉強時間

財務諸表論の合格には、平均して約500時間の勉強時間が必要とされます。これは他の科目と比較しても特に長い時間であり、その難易度の高さを示しています。特に、理論分野では多くの受験生が苦労する傾向にあり、簿記論が得意な受験生でも財務諸表論で苦手意識を持つケースが少なくありません。

しかし、重要なのは、税理士試験が相対評価であるため、どれだけ勉強時間を確保しても、最終的には受験生の上位約18%に入る必要があるということです。したがって、提示された勉強時間はあくまで一つの目安に過ぎず、個々の理解度や対策の質が合格には重要になってきます。

独学が不可能な難易度ではない

ここまでで独学合格の難しさについて伝えましたが、独学で税理士試験の財務諸表論に合格することは、決して無謀な挑戦ではありません。

特に、会計の知識が豊富な簿記1級取得者や、長期的な視野で合格を目指せる方、そして理解力が非常に高い、例えば東大や京大・早慶の入試を突破した方であれば、独学でも十分に合格の可能性があります。

これらの条件に当てはまる人であれば、予備校や通信講座を利用しなくても、独力での学習が合格に結びつくことが期待できます。


財務諸表論のおすすめ勉強法

財務諸表論の学習において、具体的な分野ごとの勉強法については、税理士講座における講師から詳細な指導を受けることができます。

しかし、ここでは財務諸表論を学ぶ上でのより根本的なアプローチに焦点を当てて説明します。

基礎に重点をおいた演習を行う

財務諸表論での勉強法として、基礎に重点を置いた演習が推奨されます。計算問題については、特にひっかけ問題や極端に難しい問題が少ないため、基本をしっかり理解すれば高得点を目指すことが可能です。

簿記論との並行学習は特に効果的で、計算力の向上に寄与します。多くの受験生が苦手意識を持つ理論問題については、計算問題を通じて概要を掴み、その後で理論を深めていくアプローチが有効です。また、理論の理解は一度の学習では難しく、繰り返しの復習を通じて知識を定着させることが必要です。

問題集を繰り返し解く

理解度をチェックするためには、問題集を解くことが有効です。特に、過去の試験問題や模擬試験を利用すると、試験形式に慣れるとともに、自身がどの領域が苦手かを特定することができます。間違えた問題は復習し、間違えた原因を深く分析した上で、正しい答えがどう導かれるのかを理解することが重要です。

実践を通して学ぶ

実際の財務諸表を分析することで、理論を実践に移す能力を養うことができます。公開されている企業の年次報告書を活用し、そこに含まれる財務諸表を自ら分析することを推奨します。実際のデータを使って分析を行うことで、理論が実際にどのように適用されるかを理解することができます。

簿記論と並行して学習するのがおすすめ

財務諸表論と簿記論は、学習する上で非常に親和性が高い科目です。簿記論で扱う計算の理論的な背景は、財務諸表論の理解に不可欠であり、これら二つの科目を並行して学習することで、得点力を向上させることができます。そのため、これらの科目は一緒に勉強することが推奨されます。

もし時間的な制約で二科目の同時合格が難しくなってしまった状況でも、柔軟に方針を変更し、学習の途中から一方の科目を重点的に学習して合格を目指すということも可能です。

また、仮に二科目同時に合格できなかったとしても、効率的に知識を吸収することができるため、学習上の損失は少ないと言えます。

財務諸表論のおすすめテキスト

『みんなが欲しかった!税理士財務諸表論の教科書&問題集』は、財務諸表論の学習において非常におすすめのテキストです。

特に、学習期間の目安が示されているため、受験生は自身の学習計画を立てやすくなっています。さらに、簿記論との関連性にも触れられており、両科目をリンクさせて学習することで、より深い理解を得ることが可能です。

このテキストを活用することで、財務諸表論の難解な部分も効率的に克服できるでしょう。

スタディングなら独学に近い価格で受講可能

書店などで財務諸表論のテキストを眺めていると、内容がかなり専門的で「これを本当に独学できるのか...?」と不安になることも多いかと思います。

実際、これまで述べたように独学は決して簡単ではなく、全員に推奨できる手段ではありません。

「独学は避けたいけど、予備校に通うほどお金をかけたくない」という方は、圧倒的な安さと質の高さを兼ね備えたスタディングの税理士講座の受講をおすすめします。

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さらにオンライン講座でいつでもどこでも学べるので、忙しくて予備校に通う時間が取れない社会人受験生の方でも安心して受講することができます。

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財務諸表論独学合格まとめ

財務諸表論の独学合格は、準備と計画が鍵となります。この科目は税理士試験の中でも難易度が高く、平均して約500時間の学習が必要とされます。基礎知識が豊富な方や長期的に学習できる方であれば、独学でも合格は可能ですが、簿記論との同時学習が推奨されます。

また、理論と計算問題のバランスを重視し、実際の財務諸表を分析する実践的な学習が理解を深める上で有効です。独学での合格を目指す場合は、計画的に時間を割り当て、効率的な学習方法を見つけることが重要と言えるでしょう。