行政書士合格者の平均受験回数は?試験難易度や一発合格のためのコツまで解説
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行政書士試験は合格率の低い試験として有名です。毎年多くの受験者が挑戦しますが、合格するのはごくわずかです。
この試験の難易度の高さを物語るのが、合格者の平均受験回数です。合格に至るまでの長く厳しい道のりが垣間見えます。
今回は、そんな行政書士試験の合格者の平均受験回数について、データに基づいてご紹介します。
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行政書士の平均受験回数
行政書士試験の平均受験回数は約2回と言われています。見事に一発合格する方もいれば、4年以上かけて何度も挑戦を重ねる受験生もいます。
何回目で合格する人が多い?
学習期間 | 回答数 |
3ヶ月未満 | 2 |
3~6ヶ月 | 2 |
6~12ヶ月 | 4 |
1年~1年半 | 4 |
1年半以上 | 16 |
スキルアップ研究所では実際に行政書士試験に合格した方を対象にアンケートを実施し、行政書士試験に合格するまでの期間を調査しました。
調査では「1年半以上」と回答した方が最も多く、行政書士試験の合格までには2年以上を要する人が全体の過半数を占めていることがわかります。
一方で1年半未満で合格している人(=一発合格)も全体の40%を占めており、上記を整理すると行政書士試験の平均受験回数は約2回と結論づけることができます。
行政書士試験は年に1回しか実施されないため、落ちた場合は1年間を有効活用する必要があります。試験内容は法律関連科目が中心で合格者からは難しいとの指摘が多く、一発合格は決して容易ではありません。実際、多くの受験生が複数年の勉強期間を経て、ようやく合格を手にしています。
試験の難易度が高いことから複数回受験を要する人が多数を占めますが、5年以上かけて合格する人は比較的少なく、多くの受験者が1回から3回の試験で合格へと至る傾向にあります。
難易度の高い年があると受験回数が増える
行政書士試験の合格率には年によって差がそれなりに大きく、これが合格までの受験回数を変動させる要因になっています。
例えば、2014年度試験は合格率が1桁に留まるなど、特に合格が難しい年でした。こうした合格率の低い年に受験した人の中には、予想外の不合格に見舞われ、結複数回の受験を強いられた人もいるでしょう。ただ、ここ数年は合格率が比較的高くなっており、一発合格を狙いやすい環境にあります。
今は一発合格を狙いやすい
現在、行政書士試験においては一発合格を目指しやすい状況が整っています。その理由の一つとして、近年、行政書士の受験者数が年々減少している事実が挙げられます。
行政書士会は、毎年一定数の合格者を輩出する必要があり、過去のように合格率を1桁台にすることは、そのリスクを考慮すると避けられる傾向にあります。実際、2012年以前は合格率が1桁であることが一般的でしたが、その後の状況は大きく変わり、今では比較的少ない受験回数で合格できるチャンスが増えています。
行政書士試験の合格率と合格点
行政書士試験の合格点は、試験ごとに設定され、その年の試験の難易度や受験者の平均点によって変動します。一方、合格率は近年、一定の範囲内で安定していますが、年によって若干の変動が見られます。ここでは合格率と合格点について詳しく紹介します。
行政書士の合格率
年度 | 合格率 |
2023年度/令和5年度 | 13.98% |
2022年度/令和4年度 | 12.13% |
2021年度/令和3年度 | 11.2% |
2020年度/令和2年度 | 10.7% |
2019年度/令和元年度 | 11.5% |
ここ5年間の行政書士試験では合格率が10%前後と、安定した水準を維持しています。これは歴史的にも高い水準になっていて、例えば2006年の合格率は4.8%と、5%を切る時期もありました。
また、受験生の年齢層を見ると、合格者の過半数を30代と40代が占めています。そのため、仕事に加えて行政書士の学習に取り組むのは決して容易ではありませんが、計画的な学習を心がければ、働きながらでも十分に合格は可能であることがわかります。
合格率の低さの割に試験自体の難易度は高くない
行政書士試験の合格率が10%前後と一見低く見えるものの、その難易度は数字の見た目ほど高くありません。
というのも、行政書士試験は受験資格が特に定められていないため、幅広い層の人々が受験します。この中には、十分な準備をせずに試験に臨む人や、本気で合格を目指していない人も含まれるため、合格率が低くなる傾向があります。
実際、行政書士試験は試験対策に真剣に取り組めば、おおむね800時間程度の学習期間で合格可能とされています。つまり、1日2〜3時間程度の勉強であっても、1年間で概ね学習内容を終えられるということです。そのため、着実に勉強を重ねる姿勢さえあれば、内容自体の難しさは合格率ほど高くはないのが実情です。
行政書士の合格点
行政書士試験の合格基準点は、全科目の合計点で180点以上(満点300点中60%の得点)と定められています。
また、憲法や民法などの法律科目をまとめた「法令等科目」と、政治経済などの「一般知識等科目」という2つの大きな括りがあり、それぞれで全体の50%、40%の得点率が必要となります。一方で「憲法」や「民法」といった細かい科目の括りでは合格ラインは設定されていません。
そのため、基本的には特定の科目であまり点数が取れなくても、他の科目で点数を取れば全体でカバーできる仕組みになっています。
例えば、商法・会社法のように配点は低いものの難易度が高く対策が難しい科目は、優先度を下げても影響は限定的です。このように、苦手分野を事前に把握し、重点的に学習する科目を絞り込むことが賢明です。
満遍なく勉強するよりも、合格基準点を踏まえた上で計画を綿密に立てることが重要です。
行政書士試験を大学受験で例えると
行政書士試験の偏差値はおおよそ60です。これを大学受験の偏差値に直すと、難関私立大学のGMARCHや関関同立にあたります。これらの大学は知名度・難易度ともに日本でも上位に入ります。このことからも、行政書士試験がいかに難関資格試験であるかが分かります。
ただ、行政書士試験は正しく効率的に勉強すれば誰にでも合格のチャンスはあります。そのため、行政書士試験の合格法をまとめた本を活用したり、予備校や通信講座を受講したりすることをオススメします。
一発合格を狙う際のコツ
一発合格を目指す際には、効率的な学習方法を採用することが非常に重要です。ただ時間をかけてダラダラと勉強するだけでは、時間ばかりが過ぎてしまい、合格ラインを越えることは難しいでしょう。ここでは一発合格を狙う際のポイントを紹介します。
勉強時間を確保する
行政書士試験に無事合格するには、前提知識がない初学者の場合、およそ800時間の学習時間を確保する必要があるとされています。
これは例えば1日2〜3時間の学習を続けた場合、約1年で必要時間を満たすことができる量なので、ある程度長期的な勉強時間の確保ができるようにしておくことが大前提となります。
学習スケジュールを徹底的に管理する
行政書士試験への合格を確実なものとするためには、学習スケジュールの徹底的な管理が不可欠です。適切に学習スケジュールを立てることにより、本番試験までの期間を過不足なく効率的に使い、必要な知識を網羅的に身につけることが可能となります。
また、自分の学習進捗を可視化することで、どれだけ進んだかが一目でわかり、これがモチベーション維持に直結します。
繰り返し学習して暗記する
行政書士試験の合格には暗記科目の知識をしっかりと身につけることが重要です。暗記事項は一度で頭に入るものではなく、繰り返し学習を重ねることで定着が図れます。
この際、人間の「忘却曲線」を意識した勉強法が効果的です。最初に一度内容を学習した後、一定期間を空けて復習することで、知識が長期記憶に移行しやすくなります。さらに、その後も適度な間隔を開けながら反復学習を行えば、試験本番まで暗記事項を確実に維持できるでしょう。
何回か不合格になるのは珍しくない
行政書士試験は、何度もチャレンジすることが大事
行政書士試験で何回か不合格になることは決して珍しいことではありません。
複数回不合格を経験するのは精神的にきついものがありますが、複数回内容を学ぶことで理解が深まり、知識の定着度も格段に高まります。これは将来的に行政書士として働く上で、確実に強みになるでしょう。
したがって何度か試験に合格することができなくても、その努力は無駄にはなっていません。重要なのは、反復学習を通じて知識をしっかりと理解し覚え続けることです。
行政書士の早期合格を目指すなら、予備校や通信講座もおすすめ
独学で何度も不合格を重ねている人は、専門的な指導を受けられる資格講座を検討するのも一つの選択肢でしょう。予備校や通信講座を利用することで、学習のポイントや試験対策が効率良く学べるため、次の試験での合格に繋がる可能性が高まります。
また、1年に1回しかない行政書士の試験合格を目指すなら出来る限り早くに合格できるよう短期集中で取り組むことをオススメします。勉強期間が長くなればなるほど効率は落ちますし、やる気も下がってしまいます。独学が難しいと感じる方は、予備校や通信講座を利用して一気に行政書士試験合格を勝ち取りましょう。
行政書士試験の平均受験回数まとめ
行政書士試験の合格に至るまでには、平均して2回の挑戦が必要です。
多くの受験者が試験の難易度と自身の準備不足を実感しながらも、何度も試験に挑戦しています。この過程で得られる知識と経験は、単に試験を通過するためだけでなく、将来の業務においても大きな資産となり得ます。
長期間の努力と継続的な学習が必要ですが、努力が明確に結果に出る試験ですのでぜひ一緒に頑張りましょう。