行政書士の難易度は国家資格ランキングでどれくらい?資格の偏差値を徹底比較
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行政書士とは、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や複雑多様なコンサルティングなどの業務を行うことが認められている人のことを指します(出典:行政書士とは |日本行政書士会連合会)。
多くの国家資格の中でも行政書士はその専門性や市場価値の高さから人気を博していますが、その難易度や偏差値はいったいどの程度なのでしょうか。
ここでは他のメジャーな資格と比較しながら、行政書士試験の難しさを詳しく解説します。
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行政書士試験に合格できるのはすごい!
行政書士試験の合格率は10%~14%と高難易度
行政書士試験の合格率は、ここ数年で10%~14%の間で推移しており、その難易度の高さを如実に示しています。
例えば、令和6年度の試験では、受験者47,785人に対し、合格者は6,165人で、合格率は12.90%でした。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和6年度 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
令和5年度 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
令和4年度 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
令和3年度 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
令和2年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
出典:試験結果の推移 |行政書士試験研究センター
毎年、多くの受験生が挑戦しているものの、9割近くの受験者が不合格となっている現実を考えると、行政書士試験がいかに高い壁であるかがわかります。
実際、この試験は法律の幅広い知識とそれを活用する能力が求められるため、簡単に取得できる資格ではありません。
行政書士試験の概要と合格基準
試験の概要
行政書士試験は毎年1回、11月の第2日曜日に実施されます。
令和7年度の行政書士試験の日程は以下のように予定されています。
項目 | 詳細 |
---|---|
試験の公示 | 令和7年7月7日(月) |
試験案内・受験願書の配布 | 令和7年7月22日(火)~8月18日(月) |
受験申込受付期間 | インターネット:令和7年7月22日(火)午前9時~8月25日(月)午後5時 郵送:令和7年7月22日(火)~8月18日(月)消印有効 |
試験日時 | 令和7年11月9日(日)午後1時~午後4時 |
合格発表 | 令和8年1月28日(水) |
出典:令和7年度行政書士試験のご案内|行政書士試験研究センター
試験の受験資格に特に制限はなく、年齢や学歴、国籍に関係なく誰でも挑戦することができます。受験手数料は10,400円です。
試験の合格基準
行政書士試験の合格基準は、法令科目と基礎知識科目の2つに分かれています。
合格するには、下記3つの基準をすべて満たす必要があります。
1.法令科目で計244点のうち122点以上の得点
2.基礎知識科目で計56点のうち24点以上の得点
3.試験全体の計300点のうち180点以上の得点
特定の科目に偏って勉強するだけでは合格できないため、全科目をバランスよく理解する必要があります。
行政書士の難易度は国家資格ランキングでどれくらい?
偏差値 | 資格名称 | ジャンル | 受験資格 |
75 | 弁護士 | 法律 | あり |
75 | 公認会計士 | 金融・法律 | なし |
73 | 税理士 | 金融・法律 | あり |
73 | 弁理士 | 法律 | あり |
65 | 中小企業診断士 | 経営コンサルタント | なし |
64 | 一級建築士 | 建築・土木 | あり |
63 | 社会保険労務士 | 法律 | あり |
60 | 行政書士 | 法律 | なし |
57 | 宅建士 | 不動産 | なし |
57 | 測量士 | 不動産 | なし |
56 | FP2級 | 金融 | あり |
56 | 簿記2級 | 金融 | なし |
上の表は、難易度をもとに主な国家資格をランキング順に並べたものです。
以下、行政書士が他の資格と比べてどのような位置にあるのか詳しく解説します。
行政書士試験の難易度を偏差値で例えると?
行政書士の試験の難易度は、大学受験の偏差値で言えば概ね60程度と言われています。
これは、九州大学や金沢大学など地方の国公立大学の入試難易度と同等と考えられます。
また、社会保険労務士の偏差値が63であることから、行政書士はこれに近い難易度であり、宅建士の試験偏差値57よりもやや難易度が高いことがわかります。
ただしここでの偏差値とは、試験の難易度を目安として示したものであり、数学的に正確な偏差値とは異なる点に注意しましょう。
行政書士は法律系の資格の中では取りやすい

法律系資格の中では、行政書士は比較的取りやすい資格とされています。
弁護士や司法書士、弁理士などの資格は、高度な専門知識と長期間の実習が求められるため、難易度が非常に高くなります。
一方で、行政書士は法律の知識を広くカバーしているものの、受験資格に制限がなく、比較的取りやすい資格と言えます。
特に、試験に対する実務経験や学歴制限がないため、誰でも挑戦できる点が大きな魅力です。
行政書士合格に必要な勉強時間は?
行政書士試験の合格には、通常600~800時間の学習が必要です。
毎日3時間の勉強を続ければ、最短でも6〜7ヶ月程度の学習期間が求められます。
一見長い準備期間が必要なように感じますが、他の国家資格と比べると決して長くはありません。
例えば、公認会計士や弁護士といった最高難度の資格では、3000時間以上、場合によっては5000時間以上の学習時間が必要になることもあります。
行政書士試験は時間的にも他の難関資格に比べて学習の負担が軽いと言えるでしょう。
行政書士試験合格は初心者には難しい?
行政書士試験は初心者にとって決して簡単ではなく、過去には合格率が6%台という極めて低い年もありました。
最近でも合格率は13%前後で推移しており、何年も連続して不合格となる受験者も少なくありません。
しかし、十分な学習時間を確保し、正しい学習方法を実践すれば、初心者でも合格は可能です。
特に、初学者向けの講座を提供している予備校や通信講座も充実しており、独学に自信がない方でも効率的に学べる環境が整っています。
自分のペースで学習を進め、適切なサポートを受けることが合格への近道となるでしょう。
楽に行政書士になれる方法はある?
ネット上の書き込みなどには「行政書士は簡単になれる」といった意見が上がっていることもあります。
しかしこれまでに示したように行政書士試験の合格率は低く、必要とされている勉強時間も決して少なくないため、簡単に合格できる試験ではないでしょう。
ただし、税理士や弁護士など法律関係の資格を既に持っている場合や、17年以上の公務員経験があれば、試験を受けずに行政書士として登録できます。
しかし、これらの方法でも難関資格の取得や長年の実務経験が前提となり、決して楽に行政書士になれるというわけではありません。
行政書士は独学でも問題なく合格できる?
行政書士試験に独学で合格することは不可能ではありませんが、初心者にとってはかなり難しいと言えます。
特に、法律に関する学習経験がない場合は、独学での合格は非常に厳しいかもしれません。
一方で、学習経験があり、自己管理能力の高い方であれば、独学でも合格できる可能性はあります。
しかし、費用や時間などを総合的に考慮すると、通信教育や予備校を利用する方が、効率よく学習でき、良い結果に繋がることが多いです。
予備校のメリット・デメリット
メリット
予備校の最大の魅力は、専門知識豊富な講師から直接指導を受けられる点です。
独学でありがちな教材選びに悩むことなく、効率的に学習を進められるため、特に法律の知識が初めての方には強力なサポートとなります。
さらに、クラスメートと切磋琢磨できるため、モチベーションを維持しやすい点も大きなメリットです。
例えば、2024年度の行政書士試験において、予備校を利用した受験生の合格率は約18.5%に達しており、独学よりも高い合格率を記録しています。
デメリット
一方で、予備校には時間的・金銭的コストがかかります。
通学の場合、授業料に加え交通費や生活費が必要となり、総額で20〜30万円を超えることも珍しくありません。
また、特に社会人にとっては、決められた時間に授業が開催されるため、ライフスタイルに合わせて通うことが難しく、時間的な制約が大きなデメリットとなる場合があります。
通信講座のメリット・デメリット
メリット
通信講座の大きなメリットは、地理的・時間的制約を受けずに学習できる点です。
特にアガルートの行政書士講座は、業界最高の合格実績を誇り、令和6年度の試験では、アガルート受講生の合格率が全国平均の3.63倍を記録しました。
オンラインで柔軟に学べるため、仕事や家庭と両立させながら効率よく学習を進めることができるのが特徴です。
また、受講生には専用のサポートも提供され、個別指導を受けられる場合もあります。
デメリット
一方、通信講座は対面授業に比べて、質問やフィードバックを即座に受けることが難しいというデメリットがあります。
また、予備校と同じく、受講料が高額なことも考慮する必要があります。
特に、大手の講座では受講料が高めであるため、合格しない場合は費用が無駄になってしまうリスクもあります。
しかし、アガルートでは合格すれば全額返金される制度を設けているため、費用対効果を考慮した場合、十分に魅力的な選択肢となるでしょう。
行政書士試験対策におすすめの通信講座を紹介した記事もぜひご覧ください。
行政書士試験に合格するための勉強法
特に行政法と民法に注力する
法令科目は行政法・民法・憲法・商法・基礎法学の5科目からなっていますが、その中でも行政法と民法の配点が特に高くなっており、法令科目中の8割近くを占めています。
法令科目と基礎知識科目の配点も考慮すると、行政法と民法だけで行政書士試験全体の6割以上を占めているという計算になります。
そのため、他の科目は合格基準に到達できる程度の必要最低限の学習にとどめておいて、行政法と民法を得意科目にするほどの意識で重点的に学習することで、行政書士試験の合格に近づけるでしょう。
科目 | 科目合計配点 | |
---|---|---|
法令科目 | 基礎法学 憲法 民法 行政法 商法 | 244 |
一般知識 | 政治・経済・社会 情報通信・個人情報保護 | 56 |
出典:令和6年度行政書士試験合否判定基準 |行政書士試験研究センター
基礎知識科目は必要最低限で十分
基礎知識科目は、一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解からなっています。
基礎知識科目の配点は56点であり配点が244点の法令科目と比較すると配点がかなり少ないうえに、試験範囲が広くなっています。
そのため、基礎知識科目では高得点をとるために膨大な時間を費やすのではなく、合格基準を問題なく満たすことができる程度を目標として学習を進めることを強くおすすめします。
過去問ベースで勉強する
行政書士試験に合格するためには、過去問を中心に学習を進めることが効果的です。
過去問は試験の出題傾向や頻出テーマを把握するのに最適な教材であり、繰り返し解くことで重要な論点を自然と習得できます。
また、過去問演習を通じて問題形式や時間配分に慣れることができ、本番でのパフォーマンス向上につながります。
さらに、過去問を解く際には解説を丁寧に読み理解を深めることで、類似問題や応用問題にも対応できる力が養われます。
模試で自分の立ち位置を確認する
行政書士試験の合格を目指す上で、模擬試験の活用は非常に重要です。
まず、模試を受けることで現時点での自身の実力を客観的に把握でき、得意分野や苦手分野を明確にすることができます。これにより、学習の優先順位を適切に設定し、効率的な学習計画を立てることが可能となります。
また、模試は本試験と同様の環境で実施されるため、時間配分や問題形式に慣れる絶好の機会となります。特に、3時間という長丁場の試験において、集中力を維持しながら解答を進める練習は不可欠です。
さらに、模試の結果を分析することで、他の受験生との比較ができ、自分の立ち位置を確認することができます。
模試は合格を目指すうえで非常に重要なものとなってくるため、是非活用しましょう。
行政書士試験の難易度ランキングまとめ
行政書士資格は国家資格の中でも難易度が高い部類に入りますが、法律系資格の中で比較すると、特別難易度が高いというわけではありません。また、受験資格もなく、適切な試験対策と範囲の広さへの対応次第では、十分に合格可能な資格です。
行政書士に興味がある方は、通信講座の無料体験など手軽に挑戦できるものから始めてみてはいかがでしょうか。