公認会計士の勉強法は?試験難易度や目安の勉強時間・1年で合格できるかも解説

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公認会計士の試験は、日本で最も難易度が高い資格試験の一つとされています。そのため、合格を目指すには計画的かつ効率的な勉強法が必要不可欠です。

一般的に試験の内容は幅広く、会計学だけでなく、経済学、法学、税法など多岐にわたる知識が求められます。したがって、これらの分野に対する基礎知識の確認から始め、徐々に応用力を養うことが大切です。

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公認会計士試験の難易度はどれくらい?

会計士試験の難易度

公認会計士試験は、専門性と難易度の高さで知られる資格試験です。

科目数が多く、短答式試験で4科目、論文式試験では5科目が課され、各科目ともに高度な専門知識を要求されます。このように幅広い知識と深い理解が必要とされるため、合格難易度は非常に高いとされています。

受験生は、この難関を突破するためにどのような勉強法を採用し、どれくらいの時間を勉強に費やすべきか、その効果的な方法について知っておく必要があります。

公認会計士試験の合格率

年度

合格率

2023年

7.6%

2022年

7.7%

2021年

9.6%

2020年

10.1%

2019年

10.7%

公認会計士試験は、弁護士や医師と並ぶ三大国家資格の一つであり、その合格率は近年10%前後で推移しています。この数字からも、試験の難易度の高さが伺えます。

また、2020年度には出願者13,231人中1,335人が合格した(10.1%)のに対し、2023年度は出願者数が2万318人に増加し、合格者は1,544名(7.6%)となりました。

このように直近では出願者数が増加したことで合格率も低下しており、合格を掴み取るためには適切な勉強法で効率よく対策することが一層求められる状況になっています。

公認会計士試験の難易度を他資格と比較

公認会計士試験の難易度は税理士試験や簿記1級と比較されることが多いです。ここではそれぞれの試験を比較したうえで、求められる能力や試験の受けやすさについて解説していきます。

簿記1級試験との難易度の違い

簿記1級試験と公認会計士試験は、難易度と勉強量において顕著な違いがあります。簿記1級の試験範囲は公認会計士試験の範囲内に含まれるため、公認会計士試験の方が広範な知識を要求され、難易度も高くなります。

公認会計士は簿記の知識をさらに深めて広げた資格と言えるため、簿記3級や2級の取得は公認会計士試験の勉強にとって非常に有益です。簿記の基礎をしっかりと理解していることが、公認会計士試験の学習において大きなアドバンテージとなります。したがって、簿記3級や2級から順に取り組み、その後公認会計士試験の準備を始めるのも良いでしょう。

税理士試験との難易度の違い

税理士試験と公認会計士試験の難易度を比較すると、税理士試験は「暗記力」、公認会計士試験は「思考力」を重視する傾向にあります。この違いは試験科目の性質からも類推できます。税理士試験は具体的な「○○税法」の知識が求められ、法律に基づく数字や計算方法の暗記が中心となります。

一方で、公認会計士試験では「○○学」「△△論」などの科目が多く、論理的な思考力や深い理解が要求されます。試験制度の違いも大きく、税理士試験は1科目ずつの受験が可能で勉強量を調整しやすい一方、公認会計士試験は一発勝負の形式が多く、受験に専念できる環境がある人が多いです。

また、年代別受験者数の違いからも、公認会計士試験が20代前半、税理士試験が40代以上で受験者が多い傾向にあることがわかります。これは公認会計士試験に受験資格の制限がなく、勉強時間を確保しやすい学生が多く挑戦しているためと考えられます。

司法試験との難易度の違い

司法試験と公認会計士試験の難易度を比較すると、両試験ともに高い難易度を誇りますが、その背景には異なる要因があります。司法試験の合格率は約40%と一見すると高く見えますが、受験には法科大学院の修了または予備試験(合格率4%前後)の合格が必須であるため、実質的な難易度は極めて高いです。

一方、公認会計士試験の合格率は約10%と低いものの、受験資格に特別な制限がなく、より広い範囲の受験生が挑戦できます。司法試験では憲法や民法など幅広い法律分野を網羅するため、学習範囲の広さと深さでは司法試験が公認会計士試験よりも上とされることが多いです。


公認会計士試験合格までの勉強時間の目安

公認会計士試験はその高い専門性と幅広い試験範囲から、合格までには膨大な勉強時間が必要とされています。一般的に、受験生は合格を目指して何千時間もの勉強に費やすことが一般的です。ここでは公認会計士試験合格を目指すにあたり、どの程度の勉強時間が必要なのか、その目安となる時間を解説します。

一般的な必要勉強時間は4000時間

公認会計士試験の合格には、一般的に4000時間以上の勉強時間が必要とされています。これは、同じく難関試験とされている税理士試験の3000時間以上と比較しても、より多い時間を要求されることを意味します。

さらに、三大国家資格の一つである弁護士試験は、その勉強時間が6000時間以上とさらに高いハードルが設定されています。このことから、公認会計士試験は税理士試験よりは難しく、弁護士試験よりはやや簡単な位置づけにあると言えます。それでも、公認会計士試験合格への道のりは容易なものではなく、長期間にわたる徹底した準備が求められます。

勉強期間は非常に長い

公認会計士試験の合格を目指す旅は、一般的に2年以上の時間を要します。この期間を毎日勉強に費やすとしても、1日あたりの勉強時間は少なくとも5時間半以上が必要になるという計算になります。実際にはこの期間がさらに長くなるケースも珍しくなく、受験生は長期間にわたって膨大な学習量をこなす必要があります。

これは、公認会計士試験が要求する広範囲かつ高度な知識を身につけるためには、長時間の献身的な勉強が不可欠であることを示しています。したがって合格への道のりは決して簡単なものではありませんが、計画的に効率よく学習を進めることで合格することが可能です。

1年で合格した人のケース

公認会計士試験をわずか1年でクリアするには、年間約2,500〜3,000時間の勉強を要します。これを単純に1日当たりの勉強時間に換算すると、毎日休むことなく7時間から8時間半を学習に充てる必要があります。

このような厳しいスケジュールは、高い集中力と時間管理能力を求められるため、挑戦者にはそれ相応の覚悟が必要です。

2年以上かけて合格した人のケース

公認会計士試験合格を2年以上の期間で目指す場合、合計で約4,000時間の勉強が求められます。これを日単位で割り当てると、休日を含めた毎日約5時間半の学習が必要になります。

この計画的なアプローチは、長期間持続可能な勉強習慣を確立することで、着実に合格への道を切り開くことができるでしょう。

学習期間は学生か社会人かでも異なる

公認会計士試験合格までのおおよその学習期間は、比較的自由な時間が多い大学生であれば1.5~2年、働きながら勉強する社会人であれば2~3年が目安とされています。学習期間を考える際は、個々の生活環境や勉強への取り組み方に応じて変動することを念頭に置く必要があります。

学生

学生としての生活を維持しつつ公認会計士試験の合格を目指す場合、通常1年半から2年の準備期間を見積もることが一般的です。1年半で合格を狙うには、約3,500時間の学習が必要になり、これを実現するためには日々約6時間半の勉強時間が求められます。

もし2年間で挑戦する場合は合計4,000時間の勉強が必要となり、1日あたり約5時間半の学習時間が必要です。これらの時間配分は、試験準備を成功に導くための重要なポイントとなります。

働きながらの社会人

社会人が公認会計士試験に挑む際は、2年から3年の受験プランを立てるのが一般的です。日中の仕事があるため、学生や無職の方に比べて限られた勉強時間しか確保できないのが現実です。

そのため、合格に向けては無理のない長期的な計画を立て、貴重な勉強時間を有効に使うことが重要です。予備校や通信講座を活用して効率よく学習を進めることができれば、忙しい社会人でも十分に合格を目指せます。このような戦略的なアプローチが成功の鍵となります。

会計士試験合格の勉強法のポイント

会計士試験の勉強法のポイント

公認会計士試験合格への道は厳しく、戦略的な試験対策が求められます。成功への鍵は、効率的な学習方法の選択、計画的な時間管理、そして精神的な持続力にあります。

この導入文では、公認会計士試験を乗り越えるための勉強法の要点を解説します。適切な勉強法を身につけ確実な準備をすることで、この難関を突破するための道筋を立てることができます。

まずは試験対策のノウハウを学ぶ

試験範囲が膨大で難しい公認会計士試験に挑戦するにあたって、闇雲に参考書や問題集に手をつけても合格に近づくのは難しいです。

まずは試験の全体像を把握し、どの科目を・どのような順番で学ぶのか、といった試験対策のコツを知ることが試験対策の第一歩となります。

通常こうした試験対策のコツは予備校の講師から教えてもらうのですが、毎年多くの合格者を輩出する資格学校のクレアールでは、会計士試験対策のノウハウをまとめた書籍「非常識合格法」を出版しており、8万部以上発行されたベストセラーとなっています。

現在クレアールではこの書籍を先着100名限定でプレゼントするキャンペーンを実施しているので、会計士試験の全体像や対策のノウハウを学びたい方はこの機会にぜひ手に入れておきましょう。


知識の理解を重視する

公認会計士試験の対策では、広範囲に及ぶ出題範囲と、覚えた知識を基に解く応用問題の存在が大きな課題となります。このため、知識の暗記とその理解の両面に重点を置くことが非常に重要です。

ただし、知識を単に暗記するだけではその活用が困難となり、容易に忘れ去られてしまいます。そのため理解に重点を置き、知識の構造をしっかりと把握し、他人に具体的に説明できるレベルまで理解を深めることが求められます。

試験対策を効果的に進める一つの方法は、勉強仲間との知識の共有です。既習範囲を互いに説明し合うことで、理解の確認と深化を図り、より効率的な学習を実現することができます。

予備校の教材を利用するのがおすすめ

公認会計士試験の学習において、大原やTACなどの予備校教材は非常に有効です。これらの教材が勧められている主な理由は、予備校が長年の経験を通じて蓄積した知見から、学習者が理解しやすい構成を取り入れている点にあります。

具体的な解説や豊富な例題を通じて、効率的に知識を身につけることが可能となり、受験生にとっては大きな助けとなるでしょう。このような質の高い教材を活用することで、学習効果を最大限に引き出すことが期待できます。

計算問題の対策に力を入れる

公認会計士試験では、短答式試験と論文式試験の両方において計算問題が大きな割合を占めます。このため、多岐にわたる計算問題を解く能力がなければ、試験合格は難しいとされています。実際、計算問題を通じて基本的な知識を身につけることで、後に理論問題の理解が深まることが期待されます。

そのため、勉強の初期段階では計算問題に集中し、これを解くことで得られた知識を基に徐々に理論問題へと進む学習法が推奨されます。この勉強法により、理論的な背景と計算の技術の両方をバランスよく身につけることができるでしょう。

無駄なまとめノートは不要

まとめノート作成は理解を深めるのに役立ちますが、その時間をどう使うかは注意が必要です。これは、核心や背景を深く把握することの重要性とは相反さないものの、まとめノートには時間がかかりすぎる場合があります。

特に、ノートを美しく整えようとすると、本質から外れた時間を消費してしまうことがあります。さらに、試験直前には見返すことができる情報量に限界があり、短答式試験では広範な理解が必要とされます。

それに加えて細部にも注意を払う必要があるため、最終的にはまとめノートをあまり活用できないこともあります。この点も踏まえ、まとめノートの作成にあたっては効率性を考慮することが大切です。

頭に入れた知識は反復して使おう

単に知識を覚えるだけでは、試験でその知識を効果的に活用することは難しいです。知識を「習得」した状態、つまり、いつでも自在に使えるレベルに到達するためには、繰り返しの復習が欠かせません。

復習において重要なのは、忘却曲線を理解し活用することです。忘却曲線は記憶を再構築するのに必要な時間が、時間の経過と共にどのように短縮できるかを示しています。記憶が薄れる前に復習を行うことで、再学習にかかる時間を減らすことができます。

具体的には、最初の復習を学習後2日以内に、次に1週間後、そして3回目を1ヶ月後に行うと良いでしょう。

このように段階を踏んで復習を行うことで知識の定着率を大幅に高め、最終的にはその知識を「習得」した状態にすることが可能になります。この習得した知識は試験において大きな強みとなります。

情報は統一して見やすくしておく

公認会計士試験の学習対象は広範にわたり、それに伴い使用するテキストや問題集の量も多大です。しかし、受験生に与えられた勉強時間は限定されており、試験直前に再度確認できる資料も限られています。このような状況の中で、学習資料の情報を効果的に整理することが非常に重要になります。

具体的な方法としては、以下のような手法で情報を集めることが挙げられます。まず、各科目のテキストを情報集約の基点とします。間違えた問題は、専用のマーカーでテキストの該当箇所を目立たせ、テキストに記載がなければフリクションペンでメモを追加します。

さらに、重要な概念や背景に関するメモを章の始めに付箋で加えることも役立ちます。フリクションペンなどは一度書いたものでも消すことができるので、学習内容の更新が必要になった際に古い情報を簡単に消して、現時点で学ぶべき内容のみをテキストに書いておくことができます。

苦手を作らないように対策

​公認会計士試験の合格基準は、短答式および論文式試験の科目合計得点が70%以上でなければなりません。さらに、単一科目で40%未満の得点を記録すると、不合格になります。

この試験制度は、受験生がどの科目においてもバランス良く知識を身につけることを要求し、苦手分野を持つと合格への道のりが困難になります。

苦手科目の克服には、単に知識を暗記するだけではなく、その知識の意味や背景を深く理解することが重要です。この理解を深める過程で知識を何度も繰り返し学ぶよりも、一度の学習においてゆっくりとその内容を吟味し、理解を深める勉強法がおすすめです。

カリキュラムに従った綿密な勉強

予備校を利用する場合も独学を選ぶ場合も、それぞれのカリキュラムや自分でたてたスケジュールに沿った学習を進めることが重要です。

ただし、学習内容を単に進めるだけではなく、復習や反復、さらには答案練習といった学習後のサポートも計画に含めることが必須です。この一連の流れを適切に管理し、実行することが学習効果を最大化し、合格に向けて着実に前進するための基本となります。

効果的な学習計画とそれを忠実に実行することは、公認会計士をはじめとしたどの資格においても合格への鍵となるため、全ての受験生にとって重要な勉強方法と言えるでしょう。

メリハリのある勉強

効果的な学習の鍵は、集中力を維持しながら取り組むことにあります。例えば、10時間もの間断続的に学習するよりも3時間高い集中力を持って勉強した方が、得られる成果は遥かに大きいです。

このような集中した勉強をすることで、余暇の時間も増え、毎日をより良いコンディションで過ごすことが可能になります。また、家での自習だけでなく、予備校での授業においても集中することが求められます。

同じ時間、同じ講師から教わっても、集中して取り組むかどうかで吸収できる知識の量や質が大きく変わり、それが結果として大きな差につながるのです。

答案練習を毎回欠かさず行う

予備校に通う受験生にとって、答案練習は試験での実際の答え方を模擬する絶好の機会になります。短期間での合格を目指す上で、この答案練習を重ね、得点向上に励むことが一つの成功の鍵とされています。

答案練習を積極的に行うべき理由は大きく3つあります。第一に、勉強中の短期目標として機能し日々のモチベーションを高め、学習の質を向上させる効果があります。次に、自身の現在地を正確に把握し、目標達成のための具体的な策を立てる上で不可欠です。

自分のレベルと目標との間にあるギャップを明確にすることで、効果的な対策が講じやすくなります。最後に、得点にこだわることで、学習のアウトプットの質自体を高めることができます。

このように、答案練習は一連の学習における具体的な目標設定、自己評価、質の向上という点で非常に重要な役割を果たし、結果として合格への道を切り開く重要な手段となります。

絶対に受かるという気持ちを持つこと

「絶対に合格する」という強い意志がなければ、学習に対するモチベーションを維持するのは難しいです。

この確固たる信念を持つことで、日常生活の中でも勉強に対する意欲が自然と湧き上がり、どんな困難にも「何としても合格する」という強い決意で臨むことができます。

また、このような心構えは学習が厳しい時期においても、諦めずに粘り強く取り組み続ける力を養います。この強い意志と持続的な努力は、最終的に目標の合格へと導く重要な要素となるのです。

予備校に行って勉強しなければならないのか?

独学での学習を考えている方には、予備校への通学を強くおすすめします。

その理由としては、まず教材が充実している点が挙げられます。さらに、同じ目標を持つ仲間ができることで、学習のモチベーションを継続しやすくなります。

また、予備校では実践的な答案練習の機会があり、講師に直接質問することで疑問点を素早く解消できる利点もあります。さらに、予備校での学習を通じて知識を正確に理解することができるため、試験合格後の実務にもその知識を活かしやすくなります。

費用の面で難しい場合を除き、予備校への通学は合格率を高めるための有効な手段と言えます。これらのメリットを考慮すると、予備校での学習は試験合格への道をより確実なものにします。

コスパのいい通信講座もおすすめ

予備校の学費が負担になる、または時間的な制約がある人には、クレアールのような通信講座がおすすめです。

通信講座は、予備校に比べてはるかに手頃な価格で提供され、学習者が自由に選んだ時間に学習を進めることができるという大きな利点があります。最近では、通信講座の内容の質も向上しており、低価格でありながら高品質な授業を受けることが可能になっています。

このような通信講座は、時間や費用の面での柔軟性を求める学習者にとって、理想的な選択肢となり得ます。通信講座により、自分のライフスタイルに合わせて効率的に学習を進めることができるため、質の高い教育を受けながら試験合格への道を歩むことができます。

科目ごとの勉強法

会計学

短答式試験では、財務会計論と管理会計論が別々の科目として出題されます。一方、論文式試験では、これら短答式試験で扱われる2科目が統合され、会計学という一つの科目として問題が出題されます。

財務会計論

学習の基本はテキストの例題と問題集にあります。各基準を学ぶ際には、それに伴う理論を同時に理解することが効率的な学習法となるでしょう。

計算問題の習得における重要なポイントは、特定の基準やトピック(例えば、ストック・オプション)に関連するあらゆるパターンの問題を、短時間に集中して解くことです。簿記学習で強調される反復練習の本質は、解答のための「下書きパターン」を身体に染み込ませることにあります。

合格者は、問題に対面した瞬間に反射的に下書きを始める能力を持ち、答えを導く過程が手や下書きによって自動的に行われるような感覚を体得しています。この感覚を早期に習得することが重要です。これを達成するために、同じ種類の問題について「解く→答え合わせ→もう一度解答」というプロセスを繰り返すことが、非常に効果的なトレーニング方法とされます。

管理会計論

財務会計論と同様に、学習の基盤はテキストの例題と問題集にあります。各単元の理論を組み合わせて勉強することが効率の良い勉強法です。特に答練では、スピードを重視した科目であり、得点も平均的に低めです。

試験を80点満点と見立て、70点を目標に設定し、解答を見送る問題を明確にすることが重要です。基礎知識の習得後は、答練の準備に専念し、「問題の選択能力」を鍛えることがカギです。解けそうな問題から取り組み、解けない問題は断固として捨てる姿勢が必要です。

この科目は、各答練への集中が特に求められる科目であり、時間投資に対するリターンが低いため、過剰な時間を費やさないことも重要です。

企業法

基本的には、監査論と同様に、テキストと肢別問題集(○×問題集)に集中することが重要です。暗記科目と見られがちで、確かに暗記のみでも一定の得点は期待できますが、それに頼るだけではない方が良いでしょう。

特に、企業法は、短答式でも論文式でも深い「理解」よりも知識の量が重視される科目です。この科目では、多くの問題を解くことが成功の鍵となり、市販の問題集を利用して様々な問題に取り組むことが良いでしょう。

暗記が苦手な方も、問題を多く解くことで克服できます。不足しているのは、単純に問題に取り組む量かもしれません。努力を積み重ねることで、暗記科目でも高得点を狙えるようになることを覚えておきましょう。

監査論

学習のスタートは、まずテキストの内容をしっかり理解することです。次に、○×式の問題集を用いて、細部の知識を身につけます。そして、監査基準を通して監査の核心を深く理解することが、学習の鍵となります。

これは特別な方法ではありませんが、実質的には唯一無二の勉強法です。答案作成の際は、細かすぎる知識に依存するのではなく、核心的な理解に基づいて解答するよう心がけましょう。監査論では、監査そのものに対する深い理解が、短答式であれ論文式であれ、重要です。

演習を繰り返し深い理解を得ると、試験中の感覚も、「監査はこういうもの」という直感的な判断へと変わります。監査基準を原文で複数回読むことで、監査論の理解が格段に深まります。専門家が精緻な議論を経て作成した基準は、各用語の選択にも深い意味があり、繰り返し読むことでその理解が深まるでしょう。

租税法

租税法は、論文式試験で問われる科目であり、出題される論点には一定の範囲があります。

この科目においては、まず重要論点を中心に必要な知識を暗記することから始めるべきです。その後、答案練習を通じて、特によく出る論点を繰り返し演習することが重要となります。最初の段階では学習の進捗が感じられないかもしれませんが、重要な論点をしっかりと覚え、それらを学習に取り入れることで、次第に成績がみるみる上がっていきます。

この科目は、確実な知識の習得と論点の理解に努めることで、成績が大きく伸びる可能性があります。持続的な学習努力が、最終的な成果に大きく寄与する科目です。

選択科目

経営学

経営学は、企業経営の様々な側面から出題され、経営戦略論やモチベーション理論、ファイナンス理論など幅広い範囲が特徴です。時事問題も含まれることがあり、最新の情報にも注目が必要です。

約8割の受験者が選択し、出題も基礎的な内容が多いため、勉強時間を約200時間と比較的短くできる利点があります。高度な数学知識を必要としないため、数学が苦手な人にも向いています。試験問題が変わりやすい点には注意が必要で、広範囲の対策が推奨されます。合格後の業務に役立つ知識が得られるため、おすすめの科目です。

統計学

統計学からは基本的な問題が出題され、数学的知識と応用力が求められます。範囲には記述統計、確率、推測統計などが含まれ、勉強には約250時間が必要ですが、公認会計士としての実務で役立つ知識が得られます。

暗記する内容が少ないため、効率よく学習できる利点がありますが、応用力が必要なため、それに自信のない方には難しいかもしれません。しかし、一度理解すれば、高得点獲得に繋がります。

経済学

経済学はマクロ経済学とミクロ経済学の二つの分野に大別されます。マクロ経済学では世界や国といった広い範囲の経済原理を、ミクロ経済学では企業や消費者の個別の行動原理をそれぞれ分析します。

経済学を選択する利点として、計算問題が多く満点目指せる可能性がありますが、小さなミスも大きく影響するため、解答の正確性が特に重要です。

民法

民法は適用範囲が広く、相応の学習時間が必要です。商法や会社法も民法の範疇に入り、条文の量が多いため、法律に強い方や数学が苦手な方に向いています。

また、民法を学ぶことは企業法の理解を深める助けにもなります。法学部卒や法律関連の資格を持つ人に特に人気の科目です。効果的な学習方法として、条文の暗記だけでなく、判例や具体的な適用例を合わせて学ぶことで理解を深めることが勧められています。


独学での勉強は可能か?

公認会計士試験のような高い難易度を持つ資格試験に独学で挑むことは、多大な努力と計画性が必要です。ここでは、独学での学習が可能かどうかについて、その実現性と必要な条件について紹介します。

独学での合格は現実的でない

会計士の独学は現実的ではない

公認会計士試験は国家資格の中でも特に高い難易度を誇り、合格までには数年を要することが一般的です。多くの受験生が長期にわたる学習計画のもと、予備校のサポートを受けて挑戦しています。

独学の場合には学習の進め方が難しく、試験合格までの道のりが一層長くなる傾向があります。学習量だけでなく、内容の理解にも困難が伴うため、独学では合格までに余計な時間がかかる可能性が高いとされています。

このような背景から、独学での合格は現実的ではないと考えられることが多いのです。

独学での合格が難しい理由

公認会計士試験の独学には確かにメリットもありますが、難易度の高さを考えるとデメリットの方が大きくなってしまうことが多いです。以下ではその理由について紹介します。

独学用テキストは充実していない

公認会計士試験の準備として予備校や通信講座の利用が一般的であるため、独学者向けの教材開発には各社がそれほど力を入れていません。その結果、独学用の資料は質も量も予備校のそれと比較してかなり限られています。

特に、試験の重要な部分である論文式試験向けの効果的な教材はほとんど提供されておらず、この状況では独学での合格は極めて困難になると言えます。このような背景から、独学での試験対策には大きな挑戦が伴います。

モチベーションの継続が難しい

独学で公認会計士試験の勉強に挑む場合、少なくとも2、3年間はほぼ一人で学習を進めなければなりません。予備校で感じられるようなライバルとの競争やその刺激が少ないため、独りでの勉強は孤独が伴い、モチベーションの維持が難しいというデメリットがあります。

公認会計士試験のような複雑な内容を長期間、自分一人で続けることは非常に困難です。
このためモチベーションの低下に陥り、挫折する人も少なくありません。このような状況を乗り越えるためには、独学特有の課題に対する強い意志と工夫が求められます。

内容をしっかり理解するのが難しい

公認会計士試験の学習範囲は専門性が高く、テキストを一人で読んでも理解が難しい部分が多々あります。

予備校や通信講座では、講師の説明によって迅速に理解できる内容でも、独学では理解に至るまで長い時間を要することが少なくありません。さらに、疑問点が生じた際に質問できる相手がいないため、学習が進まずに立ち止まってしまうリスクもあります。

このように、独学では学習の進行に障害が生じやすく、効率的な学習を進める上での困難が多いと言えるでしょう。

独学で失敗する人の勉強方法

独学での学習は自由度が高い一方で、失敗につながる落とし穴も多く潜んでいます。ここでは、独学で挑戦するものの結果的に失敗してしまう人々の学習方法について、その共通点や問題点を探り、より効果的な自習の道筋を紹介していきます。

ノートを考えずに写経しているだけ

日本の学校教育では、授業内容をノートに書き写すことが一般的です。そのため、勉強といえばこの方法だという誤解を招いています。

実際には、ノートを取ることは公認会計士試験の勉強においては効率的ではなく、時間の無駄であることが多いです。手書きのノートよりも整理されたテキストの方が遥かに役立ちます。

インプットの最適な方法はテキストの繰り返し読み込みであり、限られた時間を有効に使うべきです。つまりノート作成に時間を費やすよりも、テキスト学習に集中し、短期合格を目指すことが重要です。

ノート作成を推奨する声は多いにも関わらず、その方法で一発合格する人は少ないです。

教材を使いこなせないほど多く買い込む

予備校や教材に詳しいが合格できない人というのは数多く存在します。彼らは多くの予備校の教材を浅く広く使っていることが多いですが、これは非効率的な勉強法です。

実際には、同じ教材を繰り返し深く学ぶことが、知識を身につける上で重要です。予備校の教材をマスターするには膨大な時間が必要で、様々な予備校の教材に手を出すのは時間の無駄です。

予備校や教材のせいにするのではなく、自分の学習方法を見直すことが、合格に向けたより近道となります。大手予備校の教材だけでも十分に合格は可能です。

継続することができない

「継続は力なり」という言葉が示すように、公認会計士試験などの最難関国家資格を目指すには、断続的な努力が不可欠です。小さなテクニックや短期間の集中勉強だけでは不十分で、長時間の学習を毎日続けることが合格への鍵です。

週末を休むなどの甘い考えは捨て、継続的な勉強に励む受験生が成功を収めることができます。試験直前になっても毎日10時間以上の勉強を続けることは、時間のロスを避け、ライバルとの差を広げないためにも重要です。

継続的な学習への取り組みが、結果的には最終的な成功を左右します。

授業を聞いただけで満足してしまう

授業形式の学習は、教師の質やペースに依存し、個々の学習ニーズに対応しづらいという問題があります。特に、個人の理解度や学習ペースを考慮せず、一律の授業が行われることが多く、効率的ではありません。

日本の教育システムは授業参加を重視し、それ以外の学習形式を軽視しがちですが、実際には自分に合った教材とペースで学ぶ方が効果的です。予備校の講義も同様に、単に参加するだけでは合格に必要なスキルを獲得できません。

このため、著者は予備校の講義には出席せず、代わりに講義音声をダウンロードし、自分のペースで学習を進めていました。

復習に力を入れない

問題や答練を解いた後に復習しない学習方法は、極めて非効率的です。

人間の記憶力は限られており、一度解説を読んだだけでは、間違えた問題を将来正確に解けるようにはなりません。

復習せずに問題を解くことは、むしろ時間の浪費であり、中途半端な取り組みよりは問題を解かない方がまだマシです。解説を一切参照しないのはさらに問題外です。効果的な学習には、間違えた問題に対する適切な復習が不可欠です。

公認会計士の勉強法まとめ

ここまで、公認会計士の勉強法について紹介しました。

公認会計士試験の勉強法は、まずは広範囲にわたる試験範囲を理解し、その後は重点的に苦手分野を克服すること、またそれを継続することが重要です。

難易度が高い公認会計士試験ですが、一歩一歩着実に前進していけば、合格は決して遠い夢ではありません。

あなたの努力が確実に成果となって現れる日が来ます。夢に向かって、ぜひ頑張ってください!