介護現場で人間関係が悪くなるのはなぜ?悩みの解決法と危ない職場の見分け方も解説
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介護の現場では、人間関係でのトラブルが起きがちです。
介護現場での人間関係の問題を解決するには、原因と適切な対処法を知る必要があります。
そこで本記事では、介護職の人間関係が悪化する理由と解決策、そして危険な職場環境の見分け方についても説明します。
介護職の人間関係に関する悩みの実態
介護職の人間関係に関する悩みの実態について、異なる4つのパターンをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
職員同士の人間関係には好き嫌いがある
介護職は多様な経歴を持つスタッフが集まる職場であり、年齢や価値観の違いから意見の対立が生じがちです。
しかし、介護職従事者にとって最優先は利用者へのケアであるため、職員は互いを理解し合い、真摯なコミュニケーションを心がけることが大切です。
多様性を受け入れながら良好な人間関係を築き、協力し合うことが介護の質の向上につながります。
施設利用者との人間関係にむかつくことも
介護の現場では、利用者との関係がストレスの大きな要因になることがあります。
認知症の方とのコミュニケーションは特に難しく、本人に悪意はない場合でも暴言や暴力に見舞われることもしばしばです。
介護職員は心身ともに消耗しがちですが、そうした状況下でも利用者の安全を守る責任を負っているため、常に精神的プレッシャーを感じています。
施設利用者のご家族との人間関係がこじれる人もいる
介護職場では、利用者のご家族との関係でトラブルが起こりがちです。
特に訪問介護では、ご家族と直接接する機会が多いため、そこで生じる問題が大きな負担となることがあります。
典型的な例としては、サービス内容に対する不満の声があげられます。契約に基づいたサービスを提供しているにもかかわらず、ご家族からさらなる要求がある場合、その要求に応じると介護職員への過剰な負担につながります。
このような経験が重なると、職員はやる気を失ったり、ご家族との関係構築に消極的になったりすることが多いようです。
加えて、訪問介護では利用者の生活空間に立ち入るため、プライバシーの問題から精神的ストレスを感じやすくなります。
職種の異なる現場スタッフとの人間関係がめんどくさい
介護現場では、看護師や理学療法士、管理栄養士などの専門職種と連携しながら業務を行う必要があります。
しかし、意見の対立から人間関係に悩むケースも見られます。そのような場合、自分の主張を押し付けるのではなく、相手の専門分野は尊重し意見を受け入れることが大切です。
例えば、医療的なケアでは看護師の意見を、リハビリの方針では理学療法士の意見を重視するなど、適切な役割分担を心がける必要があります。
人間関係はなぜ悪くなってしまうのか
介護職の現場における人間関係はなぜ悪くなってしまうのでしょうか。
以下では、主な5つの理由についてそれぞれ詳しく解説していきます。
介護職の経歴が皆異なるため
介護の現場では、様々な経歴を持つスタッフが働いています。
年齢層も20代前半から60代以上と幅広く、異なる業種から転職してきた人もいれば、経験年数の長短も様々です。
このような経歴や業種の違いから相手の考え方が理解しづらいこともあり、誤解や意見の対立が人間関係のトラブルにつながることがあります。
また、介護士や看護師、理学療法士やケアマネージャーなど、専門的な職種でもそれぞれ視点が違うために衝突が起きやすく、一部で相手を避ける傾向が生まれやすくなっています。
人手不足でストレスが溜まりやすいため
介護業界では慢性的な人手不足により従業員の業務量が増加し、ストレスが溜まりやすい状態が続いています。
また、十分な休憩時間が取れず常にストレスが溜まっている状態が続くため、相手の気持ちを考える余裕もなくなってしまいがちです。
さらに、人間関係を修復する時間も確保できないため、状況が悪化し続ける悪循環に陥ってしまうことも多いと言えます。
異動が少なく人間関係が固定されやすいから
介護業界では、一般企業と違い人事異動が少ないため、人間関係が固定化しがちです。
同じスタッフに長期間にわたってケアを受けられるので利用者は安心できる反面、新しい視点や変化に乏しくなるおそれがあります。
このような状況下で特定のスタッフとの人間関係がうまくいかないと、長期的に一緒に働く上で問題解決が難しくなります。
チームに馴染めないスタッフが孤立すれば、適切な対応が取れず退職に至る恐れがあり、人手不足に悩む介護業界にとって深刻な課題となるのです。
スタッフの育成環境の整備が不十分だから
介護現場では、業務の緊急性が高いために新人やキャリア転換者への十分な研修期間が確保されにくいことがあります。
そのため、新人のスタッフは不安を抱えたままになり、それが結果的に人間関係の悪化に繋がってしまいます。
この問題は、経験者が新しい環境に移る場合にも生じます。慣れない環境はストレスの種になるため、適切なサポートがないと安心して働けません。
解決策は、新人やキャリア転換者に相談の機会を設け、アドバイスできる環境を整備することです。
それにより安心して働ける職場環境が構築され、人間関係の改善にもつながるでしょう。
他職種との連携が難しいから
職場では様々な専門性を持つ人材が集まり、それぞれが異なる知識や視点を持っています。
「こんなことくらい分かっているはず」と思い込み、共通認識が欠けてしまうと、誤解や摩擦が起こりやすくなります。
それぞれの視点は大切なので、相互の理解と尊重が不可欠です。互いの専門性を認め合い、共通の認識を持つことで、スムーズな連携が可能になるでしょう。
人間関係を最悪にしてしまうやってはダメなこと
ここでは、「相手の考えの否定」「悪口」「自慢・威張り」といった、良好な人間関係の構築において避けなければならない行動について解説していきます。
相手の考えを否定する
健全な人間関係を築くためには、相手の考え方や価値観を尊重することが大切です。
相手の意見を否定するのではなく、違いがあることを認め相手の立場に立って理解を深めることが重要です。
自分の意見を押し付けず、「そういう見方もあるんだね」と柔軟に受け止め、対等な立場で互いを尊重し合う姿勢が求められます。
悪口に同調する
人間関係を損ねかねない行為の一つに、他人の悪口に同調することが挙げられます。
自分の発した言葉が思わぬ形で広がり、険悪な雰囲気を生み出すおそれがあるからです。
自分から悪口を発することはもちろん人間関係を悪化させますが、他人の悪口に同調することも控えた方が良いでしょう。
悪口はどのような形で本人に伝わるか分かりません。また、悪口で失ってしまった信頼や壊れてしまった人間関係を取り戻し、修復することは容易ではありません。
同僚から他の人の悪口を言われた時は、「人間関係は難しいものですね」といった汎用的な言葉で対応するのが最善の策と言えるでしょう。
威張るのは危険
「威張ってしまう」ことも人間関係を損なう要因の一つです。
確かに自分が他者よりも仕事ができると感じた時、その実力を示したくなる気持ちは理解できます。
しかし、自慢話を無理に聞かされるのは、多くの場合退屈で苦痛を伴います。周りからの評価や印象も下がってしまえば、人間関係はどんどん悪化してしまうでしょう。
人間関係を改善するためにはどうしたらいいの?
介護現場で悪化してしまった人間関係はどのようにすれば改善できるのでしょうか。
ここでは、最も有効な3点の方法についてそれぞれ詳しく見ていきます。
同僚や上司、信頼できる周りの人に相談する
人間関係の悩みを抱えているときは、まず信頼できる同僚に相談してみましょう。問題を一人で抱え込まず、気持ちを言葉にするだけでも精神的な負担が軽くなります。
同僚なら情報を守ってくれる可能性が高いので、深刻な悩みでも安心して打ち明けられます。
ただし、状況が改善しない場合は上司や管理職に相談するのも一案です。組織によっては、異動や配置換えを提案してもらえるチャンスがあり、環境を変えるだけで状況が好転することもあります。
特に人手不足の介護業界では、経営者側も貴重な人材を失いたくないので、あなたが働き続けられるよう前向きに対応してくれるでしょう。
関係悪化の原因や問題点を整理する
人間関係を改善するためにはまず自分自身の課題に目を向け、それを理解し整理することが大切です。
他人の課題にも気をつける必要はありますが、干渉しすぎず、理解と尊重の姿勢を忘れずにいることが健全な人間関係を保つ上で重要です。
過度な干渉は人間関係をさらに厄介にし、新たな摩擦を生む恐れがあるからです。
相手の立場になって考えてみる
人間関係を良好に保つには、相手の立場に立って考えることが大切な鍵となります。
「もし自分がその状況にいたら」と想像し、家族や利用者の目線から物事を見つめ直すことで、冷静な判断ができるようになります。
例えば、上司が多忙な時は勝手な行動は避け、相手の働き方を尊重しリズムを乱さないよう配慮しましょう。
また、利用者や家族が不安そうな表情をしていれば無視せずに穏やかに声をかけ、思いを汲み取ることで不安を和らげる支えになれるでしょう。
担当する職員の配置や現場の環境を変える
介護施設では、利用者同士の仲が悪く職員が板挟みになるケースもあるようです。
利用者同士の関係にトラブルがある場合は職員で話し合い、解決策を検討しましょう。
また、介護職員はケアが大変な利用者に出くわすこともあるでしょう。
そんな時は、同僚に相談するのがおすすめです。周りの協力があれば、大変な利用者のケアを分担したりして、負担を軽減できます。
現場での人間関係が良好かを見極めるポイント
介護の現場における人間関係の良し悪しについて、どのようにして見極めることができるのでしょうか。
職場の雰囲気、時給の高さや求人の頻度、人員の充実の3点について、以下ではそれぞれ詳しく見ていきます。
施設の雰囲気が明るい
福祉施設を選ぶ際は、雰囲気が明るく活気があるかどうかが大切な判断材料になります。
利用者の元気や職員同士の会話の有無から、現場の人間関係を窺い知ることができます。
例えば、利用者に元気がなく、職員間のコミュニケーションが希薄で空気が重たければ、何らかの問題がある可能性があるでしょう。
施設側の説明だけでなく、自分自身の直感を大切にすることが重要です。心地よく働けそうにない雰囲気を感じたら、その施設の採用は見送った方がよいでしょう。
高時給や募集が頻繁な求人には注意
求人情報から見えてくる情報は氷山の一角に過ぎません。
高額な給与は魅力的ですが、その裏側には深刻な人手不足や、優秀な人材を確保するための必死の努力が隠れている可能性があります。
また、頻繁な求人は高い離職率を示しており、職場内の人間関係の悪化が要因となっているかもしれません。
表面的な情報だけでなく、現場の実情を多方面から見極め、適正な待遇と良好な環境が整った職場を選ぶ必要があります。
人員確保が十分になされている
良好な人間関係を築くためには、職場の人員配置が適切であることが重要です。
人員が適切に配置されていれば、従業員一人ひとりが過剰な業務負担なく余裕を持って仕事ができます。そうすれば、ワークライフバランスが保たれ、職場全体のストレスレベルが低下します。
一方で、人手不足や人員の偏りがあると、業務に追われて同僚とのコミュニケーションの時間や気力が失われてしまい、人間関係が悪化する可能性があります。
したがって、職場選びの際には、給与や業務内容だけでなく、人員配置にも注目する必要があると言えます。
解決できない場合は転職も視野に
職場での人間関係の問題は、時に自分の努力では解決が難しいこともあります。
そのような場合には、思い切って転職を考えることも大切だと言えます。
転職したいと思ったらやるべきこと
自身の希望条件を整理する
転職を検討する際には、自分の希望条件を明確にし、優先順位をつけることが重要です。
おすすめなのは、譲れない条件と妥協できる点をリスト化してみることです。これらを整理することでスムーズな転職活動ができ、自分に合った職場を見つけやすくなります。
一方、優先順位をつけずに転職活動を進めると、自分に合った求人かどうか判断しにくくなります。結果として、適当な職場選びをしてしまうリスクがあります。
焦りすぎて人間関係の難しい職場を選んでしまうと、再び転職を余儀なくされる可能性があります。そうならないためにも、転職先は熟考して慎重に選ぶことが大切です。
転職に詳しい人に相談する
転職を考えているなら、転職経験者や専門家からアドバイスを求めることをおすすめします。彼らの意見を参考にすれば、効率的な転職活動ができるでしょう。
彼らは過去の転職プロセスや現在の転職事情を熟知しているため、自分自身を客観的に見た上で、いつ転職するべきか、どこが良い転職先なのかについて助言してくれます。
そうした助言から、自分にとって価値のある仕事を見つけ、その目標に向けて適切に行動を始めることができると言えます。
介護職からの転職のメリット
体力面で楽になる
介護職は体力的に大変な仕事として知られています。多くの介護従事者は重労働を強いられ、夜勤や残業、不規則な生活リズムなどストレスの原因に直面しています。
そのため、転職をすることでこうした大変な環境から抜け出すことができると言えます。すべての仕事が重労働や長時間労働を伴うわけではないため、適切な職場を見つければ体力的負荷の少ない環境に移ることができます。
環境が変わることで、日々の疲労感から解放され、生活の質が確実に向上するでしょう。
体力面で余裕が生まれれば仕事と家庭の両立がしやすくなり、子育ての課題にも余裕を持って取り組めるようになります。
また、趣味や個人的な関心事に費やせる時間も増え、非労働時間をより充実させることができます。
第二の人生を歩める
人生は一度きりであるため、様々な経験を通して充実感や満足感を味わいたいものです。
現在の仕事に物足りなさを感じているのであれば、新しい挑戦として転職を検討してみてはいかがでしょうか。
転職は新たなキャリアを築く絶好の機会となり、人生の新たな一ページを切り開くことができます。
介護職での経験は、他分野で活躍する上での貴重な糧となるはずです。転職すれば新たな視点や価値観を得ることができ、自身の可能性を最大限に引き出すチャンスが広がります。
介護職の転職に人気のサイト
レバウェル介護
レバウェル介護は、80万人以上の利用実績があり信頼性の高い転職サイトです。
レバウェル介護は経験や資格を問わずいつでも始められ、フルタイムからパート、派遣まで、ライフスタイルに合わせて働き方を選べます。
また、夜勤がない仕事の選択肢も豊富に用意されています。
介護士ワーカー
「介護士ワーカー」は、9万件以上の介護関連求人を掲載する専門サイトです。
時短勤務希望者や30代スタッフが多い施設を探している人に最適な求人があります。
また転職サポートも手厚く、エントリーシートや面接対策などをアドバイスしてくれるので、特に転職経験の浅い人から高評価を得ています。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職を考えている方々への信頼性の高い支援サービスです。
リクルートグループの豊富なネットワークと実績を背景に、1万件以上の非公開求人を取り揃えています。
また、経験豊富なキャリアアドバイザーが一人ひとりのニーズに合わせて最適な職場を提案し、働きやすい環境を見つけるサポートをします。
特に介護業界での転職には強く、ミスマッチのリスクを軽減できます。
介護職の転職先
グループホーム
グループホームは、認知症の方々が家庭的な雰囲気の中で安心して自由に過ごせる場所です。
日常生活をベースとした心地よい環境で認知症の専門的なケアを提供しています。
グループホームは小規模な単位(ユニット)に分かれており、一つのユニットには5〜9人の利用者がいます。この人数設定は、利用者と職員の距離を縮め、コミュニケーションを円滑にするためです。
固定されたスタッフがユニットを担当するので、利用者との深い関係性を築くことができ、ストレスも軽減されます。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは規模が大きな介護施設ですが、ユニットケア方式を採用することで、利用者を小規模なグループに分けて個別のケアに注力できます。
このアプローチにより、利用者と職員の人間関係がシンプルになり、トラブルが減少します。
ユニットケア型施設では、1グループ当たりの利用者数が8~10名程度に限られているため、一人ひとりへの深い理解と最適なケアが可能になります。そのような環境で働く介護職員は、達成感を感じやすく、仕事への満足度も高まります。
また、チームメンバーの数が最小限に抑えられているため、コミュニケーションがスムーズになり、同僚との信頼関係も築きやすくなります。
生活相談員
介護施設には、利用者の日常生活における様々な相談に対応する"生活相談員"という重要な役職があります。
新規利用者の契約手続きから始まり、利用者の困りごとや不安の解消、職員間の連携など幅広い業務を担います。場所によっては介護事務業務も兼任することがあります。
施設全体の円滑な運営をサポートする重要な役割を担っていますが、直接的な介護業務は少ないため、現場のストレスを避けたい人に向いています。
生活相談員になるための特別な資格は必要ありませんが、社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格を持つ人が優遇されることが多いことも特徴です。
介護教員
介護教員は、介護の専門家として豊富な経験と知識を持ち、新たに介護の道を目指す人々を教育・指導する重要な役割を担っています。
介護福祉士の国家資格と実務経験が5年以上あることが求められ、さらに介護教員講習の修了が必須となります。
講義を通して自身の専門知識を活かすことで、経験と知識をさらに深めることができます。
また、3年以上の専任教員経験があれば、より上位の地位である教務主任を目指すことも可能です。
訪問介護
訪問介護は、介護職の中でも独特な仕事形態です。
基本的に一人で利用者宅を訪れ、必要な介護サービスを自らの判断とスキルで提供します。
したがって職場の人間関係によるストレスは少なく、人付き合いが苦手な方にも適した環境と言えるでしょう。
また、利用者と深く関わりその成長や喜びを直接感じることができるため、やりがいを感じる仕事でもあります。
一方で、自身の判断に頼る機会が多くなるため、スキルや判断力に自信がない場合は、かえって不安を感じることもあります。
さらに、同じ利用者と長期にわたって関わるため、相性が合わない利用者のケアを他の職員に任せることが難しいことには注意が必要です。
介護現場の人間関係まとめ
今回は介護現場で人間関係が悪化する要因や、その解決策などについて解説しました。
介護現場では、コミュニケーション不足や職場の雰囲気などから人間関係がギクシャクすることがあります。
そういった問題を解決するには、お互いの役割を理解し合い、情報を円滑に共有することが大切です。
どうしても解決できない場合は、自分のキャリアを見つめ直し、転職を視野に入れるのも良いでしょう。