ゲーム会社はやめとけ?ブラック企業の見極め方や向いている人を解説

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ゲーム業界への就職に関心がある人は多いでしょう。しかし、ゲーム会社の労働環境は様々です。中には過酷な業務内容で「ブラック企業」と呼ばれるところもあります。

この記事では、そのようなブラック企業を見分ける方法や、ゲーム会社で働くために適した人柄について詳しく解説します。

ゲーム業界での仕事は過労死のリスクもあるため、自分に本当に向いているかをよく考える必要があります。理想と現実のギャップについても見ていきましょう。

ゲーム会社はやめとけと言われる理由

ゲーム会社はやめとけと言われる理由

残業が多くて勤務時間が長い

全国就業者統計データ

ゲーム開発の現場では、人手不足による過剰な残業が常態化しています。

開発中のバグの修正や原因追及に時間がかかるため、リリース後も定期的なメンテナンスが必要となり、スタッフは避けられない残業を強いられます。特に11月から12月にかけての繁忙期は厳しく、残業時間が80時間以上にもなることがあります。

一方で、待遇が労働量に見合っておらず、開発者の年収は他業界と比べて低い傾向にあります。

このような長時間労働と低待遇の環境が、ゲーム業界の高い離職率につながり、多くの人々に「ゲーム会社はやめとけ」と言わせる理由となっています。

年収が高いとは言えない

ゲーム会社を辞めるべきと言われる要因の一つに、年収が決して高くない点が挙げられます。

例えば、厚生労働省の職業提供サイトjobtagによると、ゲームクリエイターの平均年収は579.8万円と発表されていますが、日本の平均年収461万円と比べるとそれほど高くありません。確かに国民平均を上回っていますが、業務量に見合っているかというと疑問が残ります。

さらに、これは平均値の話であり、実際には国民平均以下の年収のゲーム会社員も多数います。金額だけでなく、労働時間や業務内容を踏まえた上で、年収が適正なものかどうかを判断する必要があります。

就職・転職を考える際は、しっかりと情報収集を行い、年収と労働環境のバランスを見極める必要があります。

納期が厳しくストレスがかかりやすい

ゲーム開発では、厳しいスケジュールと限られた時間の中で作品を完成させる必要があります。リリース直前にバグが見つかれば、夜を徹して修正作業を行うこともあり、精神的な負担が大きくなります。

公開日に向けてのプレッシャーが高まり、未発見のバグへの警戒心も常にあるため、開発者にはストレスがかかりがちです。

人材不足傾向のためブラックな可能性が高め

ゲーム業界は、高度なプログラミングスキルや優れたマネジメント能力など、特殊な専門性を持つ人材に依存する度合いが高い業界です。

そのため、こうした人材の流出や不足が生じやすく、結果的に中間層の人員不足につながりがちです。この人員不足が原因で、一部の企業では過重労働やブラック企業とされるような劣悪な労働環境が生じることがあります。

ただし、これはゲーム業界全体の課題というよりは個々の企業の問題であり、就職を検討する際には、企業の待遇や労働環境をしっかりと確認する必要があります。

ブラックなゲーム会社に入社しないためのポイント

ブラックなゲーム会社に入社しないポイント

企業規模と給料のバランスがあってない

ゲーム業界で働く際、高額な給与を提示する企業には注意が必要です。

高給与は魅力的に見えますが、過酷な労働環境や達成不可能なノルマを押し付けられる可能性があります。

入社する会社を選ぶ際には、企業規模と給与のバランスを見極め、提示された給与に惑わされずに、企業の実態を確認することが重要です。

極端に高額な給与は、過酷な労働条件を隠している危険性がありますので、慎重に検討する必要があります。

面接官が質問に対して答えを濁す

ブラック企業を見極める際には、面接官の曖昧な回答に注意を払う必要があります。質問に対して具体的な説明がなく、抽象的な言葉で受け流される場合、その企業には何かしら問題が潜んでいる可能性があります。

募集要項の内容と実態が異なる場合や、労働環境に法的・倫理的な問題があるため、正直に答えられない状況があるからかもしれません。

面接の際に違和感を覚えたら、慎重に判断しましょう。

会社の今までの実績がよくわからない

ブラック企業は、一見魅力的に見えますが、肝心な点が抜け落ちていることがよくあります。

まず、会社の実績を具体的に確認することが重要です。ゲーム業界は新興企業が多いですが、会社の歴史が浅くても、経営陣の実績や過去の業績はあるはずです。それらの情報を調査し、実績が見当たらない場合は慎重になるべきでしょう。

また、ブラック企業を見抜くポイントとして、会社の特性が曖昧で、"夢"や"やりがい"といった精神的な言葉に依存する傾向があります。"アットホーム"といった抽象的な表現も気をつける必要があります。

こうした言葉は目を引きますが、会社に入る価値や具体的なメリットを伝えておらず、会社の長所がないことを上手く隠しているとも言えます。そのため、抽象的で曖昧な表現には注意を払い、適切に判断することが不可欠です。

給与に関する情報が不明瞭

ゲーム会社を選ぶ際は、給与や残業時間など待遇に関する情報の透明性を確認することが重要です。

例として、月に20時間分の残業代が固定で払われるとき、実際の残業時間が20時間付近で平均している場合には問題ありません。

しかし、固定残業代制度では、実際の残業時間を上回る長時間労働を強いられる可能性があります。

月100時間を超える残業が常態化している企業は、労働者の人的資源を適切に管理できていない可能性が高く、根性論的な風潮も存在しがちなので気を付けましょう。

ゲーム会社に向いていない人の特徴

一人での仕事が好きでコミュニケーションが苦手な人

個人作業を好み、コミュニケーションが苦手な人にはゲーム業界が適さない可能性があります。

バグ検出やプログラミングなど一人で行える作業は多いように見えますが、実際には常にチームメンバーとのコミュニケーションが欠かせません。

アートやデザイン、ストーリー、音楽などの様々な要素をゲームに組み込んでいくためには、絶え間ないチーム連携が不可欠です。ゲーム開発は多様なスキルと視点が交差する、極めてチームワーク重視の作業となります。

そのため、コミュニケーション能力に長け、開発の全体像を捉えて協調できる人材がゲーム業界では求められています。

ゲームが好きでなく楽しいと思わない人

ゲーム業界では、情熱と興味がなくしてクオリティの高い作品を生み出すことが難しいです。自分が制作したゲームを楽しめなければ、長期間の作業を続けるモチベーションが保てない可能性があるからです。

同僚たちがゲームに情熱を注いでいる中で、自分だけが楽しめないと孤立感を覚え、次第に仕事に対するモチベーションが下がってしまうかもしれません。

ゲーム業界で活躍するには、ゲームが好きであることがとても重要な要素です。

プラン通りに仕事を進めるのが難しい人

ゲーム制作には、厳格なスケジュール管理が求められます。スケジュールを守れないと、企業の信頼性を損ね、評価が下がって将来のビジネスチャンスにも影響する深刻な問題となります。

そうした事態を避けるためにも、スケジュール管理能力はゲーム会社で働く上で欠かせない資質です。

進行管理に長けていない人材は、ゲーム業界で求められる能力を持ち合わせていないとも言えるでしょう。

諦めが早い人

ゲーム開発は根気強さが不可欠な仕事です。

バグの修正や品質向上のための地道な作業が求められ、細部にまで気を配る必要があります。些細な作業を怠ると、ゲームの品質に深刻な影響を及ぼし、結果としてユーザーから不満が生じるリスクがあります。

そのため、あきらめずに粘り強く取り組む姿勢が欠かせません。試行錯誤を重ね、不断の改善を心がける精神力が、この業界で成功するための大前提となります。

ゲーム会社に向いている人の特徴

一からものづくりに取り組みたい人

ゲーム業界は競争が激しく、日々進化を遂げる創造性に富んだ分野です。そのため、ゲーム会社で成功するには、オリジナリティあふれるアイデアを生み出し、新しいものに挑戦する意欲が不可欠です。ハードウェアからソフトウェアまで、ゲーム制作の幅広い分野に興味を持ち、一から学ぶ姿勢が求められます。

また、何より大切なのは創造性です。同じようなゲームが溢れる中、独自の価値を生み出すためには、自身のアイデアを形にする情熱が欠かせません。そういった創造性とチャレンジ精神こそが、ゲーム業界で評価される人材の条件なのです。

チームでの連携が得意な人

ゲーム業界では、チームワークと細部へのこだわりが非常に重要視されています。

様々な専門家がそれぞれの役割を果たしながら、共通の目標に向けて連携し、一つの作品を完成させていきます。

各自が自身の分野での卓越した技術を発揮するだけでなく、他の分野の専門家と密に協力しながら、全体像を捉えることが求められます。

細かいところまで注意を払える人

また、シナリオや音楽、キャラクターデザインなど、作品の細部にまで行き届いた拘りを持ち、妥協することなく最高のクオリティを追求する姿勢が不可欠です。特にプログラマーは、バグのない完璧なプログラムを作成し、細心の注意を払ってチェックする責任があります。

ゲーム業界で成功するためには、チームとしての連携力と細部への徹底したこだわりを兼ね備えることが肝心なのです。

学習意欲が高く勉強し続けられる人

ゲーム業界で成功するには、常に学び続ける姿勢が不可欠です。この業界は絶えず進化しており、新しい技術や知識を積極的に吸収し、自分で適宜新しい知識を取り入れる能力と意欲が求められます。

ゲームのトレンドは常に変化し、人気作品も遅かれ早かれ飽きられてしまいます。私たちは時代の変化を読み取り、新しい技術や知識をゲームに取り入れる必要があります。

一度身につけた知識や技術に満足することなく、常に新しいものを吸収し続ける探求心と向上心が重要なのです。新しい情報や技術を自然と取り入れ、自らを進化させられる人こそが、ゲーム業界にとって欠かせない存在です。

ゲーム会社で働くデメリット

繁忙期には休日出勤の可能性もある

ゲーム業界では、大規模プロジェクトや季節的な商戦期における作業量の増加により、通常の労働時間内で仕事を終えることが難しくなる場合があります。

さらに、開発中の仕様変更やバグ修正など、予期せぬ問題が発生すると、リリース日を守るために休日出勤が避けられなくなります。

ゲームが好きじゃなくなる可能性がある

ゲーム業界には、自身の趣味であるゲームに携わりたいという熱意から、熱心なファンや新卒者が多数集まる傾向にあります。しかし、楽しみを仕事にしてしまうと、その行為自体が単なる作業となってしまう可能性があります。

ゲームを作ることが楽しいと感じる人もいれば、プレイすることは好きでも制作までは同様に楽しめるとは限りません。時間の経過とともにゲームを嫌いになってしまえば、かつての喜びは古い記憶に過ぎず、制作自体が苦痛になるかもしれません。

人間関係の構築に苦しむ可能性がある

ゲーム会社では、高い専門性と強いプライドを持つスペシャリストが多数働いています。彼らはそれぞれの考え方を貫き、自身の仕事に熱心に取り組むため、意見の対立が避けられない状況にあります。

また、職人気質の人間が多いため、人間関係の構築が難しい面もあります。これはゲーム開発の現場ならではの特性とも言えるでしょう。

加えて、ゲーム会社では人材の入れ替わりが頻繁に行われるため、長期的に一緒に働く機会が少なくなります。そのため、お互いを理解し合う時間が不足しがちです。

ゲーム会社で働くメリット

職場の自由度が高い

ゲーム会社の魅力の一つは、職場の自由度の高さです。フォーマルな服装や髪型への厳しい規則はなく、個性的な恰好を楽しむことができます。

また、勤務時間も柔軟で、フレックスタイム制リモートワークなど、従来の制度とは一線を画しています。このような自由な働き方が、個々のペースで最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作り出しています。

ゲーム会社は個性を尊重する環境と働きやすさを兼ね備えており、そこが大きな魅力となっているのです。

共通の趣味を持つ人と働ける

ゲームが好きな人が集まるゲーム会社では、共通の趣味を持つ仲間と出会えるため、お互いを理解し合える開かれた雰囲気が生まれやすくなります。

ゲーム開発は、チームワークが重要な協力作業です。同じ視点を持つメンバーと一緒に働くことで、コミュニケーションが円滑になり、プロジェクトを成功に導きやすくなります。また、趣味を共有する仲間と働くことで、仕事がより楽しくなってやりがいを感じられることでしょう。

そのため、ゲーム会社で共通の趣味を持つ仲間と働くことは、コンテンツ制作や将来的なビジョン実現を効率的に行えるメリットがあります。

最新の知識や技術を身に着けられる

ゲーム産業は常に最先端の技術を取り入れ続けており、開発者には絶えず新しいことを学ぶ機会が用意されています。

新技術の習得を通じて、開発者のスキルアップと創造性の向上が図られるのです。仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの最新テクノロジーを活用することで、斬新なゲームの制作が可能になります。

このように、ゲーム業界は革新的な環境にあり、開発者の成長を後押しする魅力的な場所なのです。

実績が目に見えるため達成感を得やすい

ゲーム開発の醍醐味は、多くの人々に喜びを与えられることにあります。ゲームは、多くの人の協力によって長い期間をかけて制作されるからです。

そのため、完成したゲームは関係者全員の熱意と労力の証となります。自分たちが作り上げたゲームがプレイヤーから愛されている光景は、開発者に大きな達成感と充実感をもたらすことでしょう。

自身の才能を存分に発揮できたことへの報酬は、開発者にとって何物にも代えがたい喜びなのです。

現在のゲーム業界のトレンドを紹介

VR

VR(仮想現実)技術は、ゲーム業界の未来を牽引する存在と見られています。

メタバースの世界でも、プレイヤーの没入感を高める役割を担っています。ゲーム以外のVRコンテンツも増加が見込まれ、一般消費者向けVR市場は2021年から2030年の間に3倍に拡大すると期待されています。

大手ゲーム企業もVRの可能性に着目し、積極的な投資を行っています。AppleがVRデバイスをリリース、ソニーは「PlayStation VR2」を発表し、MicrosoftはVR/メタバース進出の一環として大手ゲーム会社を買収しました。

このように、VRを活用する事業領域が広がりつつあります。

eスポーツ

eスポーツは、ゲーム業界で急速に成長している分野です。

その市場規模は年々拡大し、2022年には14.5億ドルに達しました。2023年にはさらに17.2億ドルまで拡大すると予測されています。この勢いは続き、2030年には67.5億ドルに達すると見られており、20%を超える高い成長率は驚異的で、eスポーツの高い可能性を示しています。

日本においてもeスポーツの市場は拡大しつつあります。

2022年の市場規模は前年比約1.5倍の116億円と大きく伸びました。多くの企業がスポンサーや大会運営、プロチーム育成など、さまざまな形でeスポーツ業界に参入し、その発展に寄与しています。

NFTゲーム(Non-Fungible Token)

デジタルアートや創作物の独自性を保証し、新たな収益モデルを提示するNFT技術が注目されています。NFTとは、暗号化によって一意性が保たれるデジタルデータのことです。これまでコピーが簡単だったデジタルコンテンツに、オリジナリティを付与することができます。

ゲーム業界でも、NFTを活用したゲームが増えつつあります。プレイヤーが獲得したアイテムなどをNFTとして売買できるため、ゲームを通じて収益を得ることが可能になります。

これにより、開発者側も新しい収益源を手に入れられます。NFTゲームは、チート対策にもなり公平性が高まるのです。

NFTは、今後の市場拡大が見込まれ、ゲーム業界に大きな変革をもたらす可能性がある期待の星とも言えるのです。

サブスク型の課金制度

ゲーム業界では、動画や音楽配信と同様に、定額制のサブスクリプションサービスが普及しています。ユーザーの多様な需要と利便性を追求するため、多くの企業がこのサービスを導入しています。

レポートオーシャンの2023年5月のプレスリリースによると、2022年のサブスクリプションゲーム市場は171.6億ドルに達しており、今後さらに拡大が見込まれています。

年平均成長率は12.9%と予測されており、2031年には559.4億ドルに達すると予想されています。

このサービスは、ゲーム会社には安定した収益を、ユーザーには固定料金で様々なゲームを楽しめるというメリットがあります。

日本でも、ソニーと任天堂がすでにサブスクリプションサービスを導入しており、その動きは加速しています。

ゲーム業界への転職なら転職エージェントの活用がおすすめ

ゲーム業界への転職を目指す方は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。

転職エージェントには、ゲーム業界の専門家が在籍しており、求められるスキルや最新トレンドについて的確なアドバイスをしてくれます。

また、非公開求人情報にもアクセスできるため、一般の求職者には見えない好条件の求人に応募できる可能性があります。

さらに、履歴書や職務経歴書の作成支援、面接対策など、就職活動全般をサポートしてくれるので、自分の強みを最大限にアピールできます。

ゲーム業界をやめておくべき理由まとめ

ここまで、ゲーム業界がやめとけと言われる理由や実態について紹介してきました。

ゲーム業界への就職は決して悪いことではありませんが、企業によって労働環境が大きく異なる可能性があります。

ブラック企業を見極めるためには、業績、勤務形態、社風、待遇面などを総合的に確認する必要があります。

ゲーム開発は高度なエンジニアリング力、クリエイティビティ、チームワークが求められる職種です。自分に合った会社を慎重に選び、必要なスキルを磨いていきましょう。