MBAは取っても意味のない無駄な資格なのか?MBAの価値や必要性を考察

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「MBAを取っても意味ないって聞いて不安...」

「MBAは本当にキャリアアップにつながるの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

実際、MBA(経営学修士)の資格がキャリアにおいて本当に価値があるのか、その議論は尽きることがありません。

決して安くはない授業料と時間的な投資を要するMBAですが、税理士などの資格と比較すると直接的な業務に繋がるイメージが持ちづらいこともあり、「取得しても意味がない」と思われてしまうことも少なくありません。

そこでここではMBAの取得は意味がないのかについて、意味がないと言われている主な原因や取得による具体的なメリットを調査して考察していきます。

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MBAが意味ないと言われる5つの理由

MBAが意味ないと言われる理由

MBAとは「Master of Business Administration」を略したものであり、経営学修士号のことを指します。そのため、一般の修士号と同様に専門のカリキュラムを持つ大学院に通うことで取得できます。

そんなMBAが意味ないと言われてしまう理由は、端的には「時間的・金銭的なコストが高く投資が必要な一方、望んだリターンが得られるないことがある」からです。
MBAは決して魔法のようなものではなく、取得したことで人生が劇的に変わって逆転できる、というようなものではありません。

以下では意味ないと言われることの原因となるMBAの性質を5つ紹介します。

取得にかかる費用が高い

MBAの性質として取得にかかる費用の高さが挙げられます。
具体的には、国内大学院でも入学金だけで30万〜100万円、授業料は年額で50万〜200万円にもなり、さらに海外MBAを目指すのであれば費用は3倍近くまで膨れ上がります。

費用を抑えるためにフルタイム以外でパートタイムでの取得という選択肢もありますが、それでも7割程度の費用はかかってしまいます。
キャリアを中断したり仕事を減らした上にここまでの出費をすることになるため、「そこまでして取得する意味はない」と判断されてしまうことも多いのです。

時間的な投資も必要で機会費用が高い

MBAはお金だけではなく時間や労力の面でもかなりの覚悟が必要です。
MBAを取るのに1〜2年かかり、またその間に授業、予習復習、課題、研究などを行うため多くの労力がかかります。また、MBA入学までにも勉強や準備が必要です。

このようにMBAを取るためには多くの時間がかかってしまうので、取得の工数とリターンが見合わないと考える方もいます。

経営学の体系的な知識は直接実務には活きない

MBAで具体的に学べる内容は経営学の体系的な知識です。高度な内容を学ぶため、これ自体はもちろん有用ではすが、実務能力に直結するわけではありません。

また、テクノロジーの進化によって、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化し続けています。この変化の激しい時代において、MBAで学んだ体系的な知識やビジネス理論が、実際のビジネスにおいていつもそのまま使えるとは限りません。

そのため目的意識をもって学んでいないと、ただ知識を得ただけの人になりかねず、頭でっかちで使えない人になってしまう恐れすらあるのです。

自動的にキャリアアップできるという約束はない

勤務している会社がMBAの取得を昇格要件としているようなケースを除けば、MBAの取得が直接的に昇進や給与アップにつながることは珍しいです。

MBAはあくまで手段であり、そこでのスキルや人脈を使って成果をあげてこそ価値が生まれます。そのため目的意識をもって学んでいないと、せっかくキャリアアップのためにMBAを取得しても無駄になってしまう可能性があります。

とはいえ、実はほとんどの人はMBA取得後にポジティブな変化を実感しているというデータも存在します。

グロービス経営大学院の調査結果によると、卒業生の93.2%が収入や業績に対する貢献の増加、昇進や目指していたポストへの異動などのキャリア面でポジティブな変化を実感し、MBA取得が社内外で自らの評価を高めることに繋がったと卒業生の92.0%が回答しました。また、直接ビジネスに関わらないことも含めると回答者の98.1%が人生の選択肢が増えた、広がったと体感していました。

このように、MBAを取得する過程で得た学びやネットワークを仕事に活かす事ができれば、自分が理想とするキャリアに近づく可能性が高いのもまた事実です。

独占業務がなく法的なバックアップはない

MBAには独占業務が存在しません。独占業務とは、特定の国家資格を持っていなければ携わることができない業務のことです。独占業務は医師や弁護士・税理士のような士業系の資格に定められていることが多いですが、MBAにはそれがありません。

例えば裁判所での訴訟代理、訴えの提起、弁護などの司法手続は全て弁護士の独占業務であり、弁護士資格を取得していない限り行う事ができません。
これに対しMBAはあくまで経営学修士であるため、会社経営を独占してできるといった類の実行力はありません。

故に資格として考える場合には、そこまで強い効力はないと言えるでしょう。

それでもMBAを取得すべき理由・メリット

MBAを取得するべき理由

上述のような懸念点はあるものの、それでもMBAを取得する人は絶えないのには、MBA取得のメリットも非常に多いからです。

経営スキルや知識が身につく

MBAで実際に学べる内容がまさにこの経営スキルや知識です。

MBAの大学院では経営戦略やマーケティングのようなスキルを習得できます。経営に重要な「ヒト・モノ・カネ」の3要素を学べることで会社で働いているだけでは得られない経営についての深い理解を得られるでしょう。
また、リーダーシップやマネジメントも学ぶことができ、リーダーとして経営をするにあたって知識として役立つことは間違いないです。

MBAはとったからといって実務にすぐに活きるわけではないですが、一つの強力な武器としてあなたの力になります。

多様で質の高い人脈が築ける

MBAの最大のメリットともいえるのが人脈です。

MBAの取得を考えている人、つまりキャリアへの感度が高い人が集まるのがMBA大学院です。そのため、様々なバックグラウンドの優秀な人と接する機会になります。
また、MBA大学院でかけがえのない仲間やビジネスパートナーに出会えるかもしれません。これは人生の中でもずっといきてくる財産になるでしょう。

キャリアを見つめ直す時間が作れる

MBAのメリットとして、MBA期間中は社会人時代よりは時間が取れるという事があります。さまざまなバックグラウンドを持つ人と接して彼らのキャリアについて知ったり、これからのキャリアについて話し合うなど自らのキャリアを見つめ直す機会も多いでしょう。

仕事に忙殺されずに一度自分を見つめ直すことができる機会には大きな価値があります。

一定の能力の保証になる

MBAの取得は一定程度経営に対する知見があることの証明になります。

そのため、転職や起業の際に話を聞いてもらいやすくなるなど、ファーストインプレッションがよくなることによる効果は思った以上に大きいです。

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MBAを取るか検討する際のポイント

MBAに悩んでる人の画像

MBAの取得に価値があるか否かは人によって大きく異なります。そのため実際にMBAを取得する前に自分に必要であるかを判別することはとても重要です。MBAの取得が無駄なのか、自分の場合を考える際には以下のポイントを自問自答してみましょう。

どれぐらいお金がかかるか?かけられるか?

大学院

学費

国内大学院

約500万円

海外大学院

約1,500万円

MBAの取得には500万~1,500万の高額な学費がかかります。これに加えて、外国に留学して海外のMBAを取得する場合には滞在費や移動費などがプラスで必要になってきます。

そのためMBAを目指すかどうかを判断する際には、一度自分の貯蓄を考えて、どのぐらいお金がかけられるのかを考えるべきです。

また、社費留学などが使える会社の場合にはそちらも検討するなど、費用を抑える工夫も大事になってきます。

どれぐらい時間がかかるか?かけられるか?

期間

学習時間

1年~2年

最低3,000時間

また、MBAはCPAや公認会計士、中小企業診断士といったビジネス系の難関資格に比べると必要な時間が同等かそれ以上となっています。このようにMBAを取得するには多大な時間や費用がかかり、コスパが悪いという声もあります。

MBAがあなたにとってこれだけの時間を投資できるものかは一度改めて考える必要があるでしょう。

今後のキャリアをどう考えているか?

最後に、今後のキャリアにおいてMBAがどう活きるのかは取得する前によく考えるべきです。
特におすすめなのは、自分と同じような立場からMBAに行った人の話を聞くことです。
また、自分の目指す世界で活躍する方にMBAについて聞くことも自分のキャリアを明確にする役に立つのでお勧めです。

MBAを使って何をしたいのかをしっかりと考えることが大切です。

MBAの取得をおすすめする人

MBAの取得をお勧めする人

経営専門職(コーポレート)の人

いわゆるコーポレート部門で働く方はMBAの勉強が直接的に業務に役立つ可能性が高く、特におすすめです。MBA大学院では、一般的な経営知識に加えて専門分野の科目もあるため、財務や税務、人事総務といった専門職の方の業務にも役立ちます。

また、MBAはコンサルティングファームや投資銀行で高く評価されるため、これらの企業への転職にも有利であり、今後のキャリアアップや専門性の拡大につながります。

グローバルに働きたい人

グローバルで見るとMBAの価値が日本国内よりも認められており、またMBAで学ぶ内容も国内で働くより活かせる場面も多くなっています

実際に外資の企業の中では、MBA卒であることを前提とするポジションもあります。このようなMBA自体を高く評価する習慣がさらなるMBAのブランド力の増大につながっています。

また、グローバルビジネスに携わる人は、より広範な経営の知識が求められるため、MBAで学んだことを大きく活かす事ができます。実際、ビジネスのグローバル化を背景に、MBAが必要とされる場面が増えています。

国内でも現代のビジネスはより複雑化しており、国内市場だけでなく海外のマーケットにも精通している必要があるため、国内のグローバル企業で働く際にもMBAの存在は大きく役立ちます。

別職種への転職をしたい人

これまでに経験のない別職種への転職をしたいという人は、クッションとしてMBAを挟むこともおすすめです。

MBAを挟むことで、経歴的にもプラスになり、転職を考えた理由もMBA取得中に自分のキャリアを見つめ直したと自然に話す事ができ、転職が受け入れられやすくなります。

社費で取得できる人

MBAの悪い点としてコスパの悪さが良く上げられますが、会社が費用を負担してくれる場合はそのマイナス要素が消失します。そのため、もしも社費で取得する機会があるのならチャレンジするのがとてもおすすめです。

また、MBAの学習期間に会社から給与が出ることもあるため、そのような場合はぜひ迷う事なく挑戦してみてはいかがでしょうか。

キャリアにブランクを作らずに休止期間を設けたい人

MBAは長いキャリアの中の休止期間として使うこともできます
普通に休職をしてしまうとキャリアにブランクができてしまいますが、MBAであればブランクを作る事なく、むしろキャリアアップの一環としながら2年程度時間を取ることができます。

自分を見つめ直したり、単に休憩をしたり、家族と過ごしたりなど様々な使い方ができるので、このようにMBAを用いることも選択肢の一つでしょう。

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MBAを意味ない結果にしないための注意点

では次に、MBAを取得して後悔しないためにできることをいくつか紹介します。

MBA取得の目的をはっきりさせておく

MBAを取ったのはいいけど、何にもならなかった。お金と時間だけ無駄にしてしまったという結果になることが一番悲しいです。このようにせっかく取ったMBAが無駄になるのを防ぐために、MBA取得の目的は最初にはっきりさせておくことが大切です。

一番わかりやすいのはキャリアアップです。実際にキャリアアップのためにMBAを取得することを決意したのであれば、どういった企業のどういったポジションを目指すのか?そこにMBA経由で就職した事例はあるのか?などを細かく調査しましょう。

また、可能であれば同じようにMBAを取得した先輩に話を伺うことも目的をよりはっきりさせるため良いでしょう。

ここではキャリアップを目指す場合について述べましたが、目的の内容事態はそこまで重要ではなく、例えば全力で楽しむ、友達を100人つくるでも大丈夫です。

重要なのは何か目標を立てることでありこの有無によってMBAを自分の役に立てられるかが変わってきます。

積極的に人脈を築く

MBAプログラムは多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる場であり、この機会を活かして幅広い人脈を築くことができれば今後の人生においてあらゆる場面でプラスになるでしょう。

現時点で人脈の必要性を感じなくても、MBA時代の異なる国や職種の人との交流関係が意外な場面で活きる可能性があるため、多様な人々との関わりを大切にすることが重要です。

せっかく魅力的な人々に囲まれる滅多にないチャンスを手にしているのであれば、積極性を発揮して後の親友やビジネスパートナーを探してみるのも良いのではないでしょうか。

自分を過信しすぎない

MBAスクールでは授業や課題で大量の論文や本を読むことを迫られます。
それらの文章を読むだけで、他人が経験したことを学ぶことができるため自分が一流の経営者になったように感じることもあるでしょう。

しかし、そこで重要なのが自分がこれまで直接体験してきたことやMBAで学んだこと過度に重要視しないことです。

自分の体験を絶対視し他者の経験を軽んじることは自分の成長を遠ざけ、人間関係の悪化をもたらします。自分の経験と他者の経験から重要なエッセンスを抽出することで真に成長することを忘れずに、謙虚な気持ちを常に持ちましょう。

時間を有効活用する

MBA在学中は社会人時代よりも時間的な余裕が生まれますが、その時間の使い方を慎重に考えることが重要です。

例えば、国内MBAプログラムに在籍しながら英語を学ぶことは、将来のキャリアに大きく貢献する可能性があります。

また、家庭を持つ方にとっては、この期間を利用して家族との時間を充実させることも、有意義な時間の使い方の一つと言えるでしょう。

このように前もって時間の使い方を考えておけばより充実したMBA取得期間を送れるでしょう。

どこで取得するかをしっかりと選ぶ

後ほど詳しく述べますがMBAの価値は取得先によって異なります。

国内外、対面やオンラインなど、選択肢は多岐にわたりそれぞれの費用や評価も多様です。

後悔をしないためには自分がMBAを通してなにを成し遂げたいのかを明確にし、それが実現できる環境かどうかを卒業生をあたったり説明会に参加したりしながら探ることで最も適した環境を選択することが重要です。

MBA大学院・ビジネススクールを選ぶ4ポイント

いざMBAの取得ををきめたら、実際にどこの大学院で取得するかを選ぶ必要があります。
ここでは、選ぶのに重要になってくる4つのポイントを紹介します。

項目

ポイント

場所

国内または海外

授業方法

対面またはオンライン

大学の知名度

国際的な認証の有無など

カリキュラム

教鞭を取る講師や講義内容

国内MBAか海外MBAか

MBAの取得先を国内か海外か選ぶ際は、自分のキャリア目標、国際経験の必要性、言語能力、費用や生活環境の違いを考慮しましょう。海外MBAはグローバルな視点や多様な文化へのに触れる機会などの魅力がありますが、言語や移住の課題が伴います。

逆に国内MBAは言語の壁が少なく、英語が苦手な方でもしっかりとビジネス環境への理解を深めることができますが、世界的な知名度を誇る大学MBAは海外大学院である事が多いです。自身の将来の目標と現実的な状況を照らし合わせて判断しましょう。

対面講義かオンライン講義か

MBAを対面講義かオンラインで取得する際には、自身のライフスタイル、学習スタイル、およびキャリア目標を振り返って見ましょう。

対面講義の大きな魅力は人脈を広げやすい点です。一方、オンライン講義は柔軟性が高く、地理的、時間的な制約なしにアクセスできるため忙しい人には魅力的でしょう。

自分の忙しさ、交流の必要性、及び学習環境の好みを考慮して選択しましょう。

大学院の知名度は高いか

大学院の知名度の高さはキャリア展開の観点から重要です。知名度の高い大学院からのMBAは、就職市場での認知度が高く、より良いキャリア機会へのアクセスが期待できます。

ただし、あくまで自分がなんのためにMBAを取ることに決めたのかその目的に最もあった大学院に進学する事が重要です。

カリキュラムは自分に適しているか

MBAプログラム選択時には、そのカリキュラムが自分のキャリア目標や学習スタイルに合っているかを検討することが必要不可欠です。

まず、自分の目的とカリキュラムがあっていなければせっかくMBAを取得してもどのように活かせばいいかわからないでしょう。

学習についても理論と実践のバランス、専門分野の提供、ケーススタディやプロジェクトワークの機会など、自身が求める内容が含まれているかは学習効率に大きく影響します。

MBAは取得しても意味がないのかについてまとめ

ここではMBAが意味がないと言われてしまっている理由を詳しく見た上で、それでもMBAを取得することによるメリットがあるのかを考察してきました。

MBAを自身のキャリアアップの大きな力にするのも、お金と時間を費やしただけで何の役にも立たない資格にするのも結局は取得者当人です。後悔したくないのであれば取ることだけを目的とするのではなく、取得取得して何がしたいのかを考えてMBAに意味を持たせるように心がけましょう。

MBAは決して全ての問題を解決する魔法ではありません。しかし、目的意識を持ち、積極的に学び、人と関わることで、その価値を最大限に引き出すことができれば人生を豊かにするのは間違いありません。

さらなるキャリアアップを目指す方はぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?

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