看護師がうつ病になったら休職すべき?新人やベテランの経験年数別対処法も紹介

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看護師は精神的負荷が大きい職業とされ、うつ病に悩む方も少なくありません。

うつ病になってしまった時は、適切な対処をする必要があります。しかし、経験年数によって適切な対処法は異なる場合があります。

本記事では、看護師がうつ病に陥った際の対応策について、休職の是非や経験値による違いなども踏まえて詳しくご紹介します。

うつ病の定義や病態を紹介

うつ病は長期にわたる憂うつな気分や意欲の低下など心理的な症状と全身の疲労感や不眠、身体のだるさなどの身体的な症状を伴う精神疾患です。

気分障害の一種であり、典型的なうつ病と双極性障害(躁うつ病)に分類されます。

うつ病では沈んだ気分や活動性の低下、睡眠障害などの症状が持続的に現れる一方、双極性障害は、うつ状態と活動性が高まる躁状態を繰り返す特徴があります。

うつ病の定義や病態

周りの人が気づくうつのサイン

うつ病になると以前の明るさや活力が失われ、体調不良や涙もろくなるなど、気分の落ち込みが目立つようになります。

また、集中力の低下や反応の鈍さから仕事のパフォーマンスが下がったり、人間関係がうまくいかなくなったりすることもあります。

さらに、飲酒量の増加や体重の変化など生活習慣の乱れも見られる場合があります。このような変化は本人が自覚しにくい場合もあるため、周りの人が気づくことが大切です。

うつ病の自覚症状

うつ病は気分、意欲・行動、思考、身体の4つの側面で様々な症状が現れます。気分面では、抑うつ気分やイライラ、不安な気持ちなどが起こります。特に高齢の方は、焦りや落ち着かなさを強く感じることがあります。

次に意欲・行動面では、やる気が出ず活動量が減り、以前は簡単にできたことも難しく感じるようになります。思考面では考えがまとまりにくく悲観的になり、自分を責める傾向にあります。

最後に身体面では、睡眠障害、食欲不振、倦怠感、頭痛、自律神経の乱れなど、様々な不調を自覚するようになります。これらの症状は朝方に強く現れる傾向があり、うつ病の典型的なパターンとなっています。

看護師に多いうつ病の原因は?

看護師は患者と常に関わるため高度な集中力が求められる上、重大な責任を負う必要があるため、精神的ストレスにさらされています。

また、診療情報の間違いは患者の命に関わるため、プレッシャーを感じてしまう看護師も少なくありません。

看護師に多いうつ病の原因

人間関係によるストレスにより病む

看護師の仕事は専門性が高く、常に正確さと迅速さが求められるため、精神的負担が大きくなってしまいがちです。

また上司や同僚との人間関係のトラブルも少なからずあり、それらのトラブルは言葉のやり取りでさえストレスを感じさせ、心身の疲労やうつ病の原因にもなり得ます。

職場の人間関係からくるストレスは多くの看護師が抱えている問題です。

夜勤や残業からのストレスによるメンタル不調

看護師は夜勤や残業が多く、明確な労働時間が設定されていない職種です。このような環境下では生活リズムを整えるのが難しく、心身共にストレスが蓄積しやすくなります。

生活リズムが乱れてしまうと適切な休養を取ることができず、精神的なストレスが高まります。これがうつ病の一因となる可能性があります。

職場環境を改善することによって看護師のメンタルヘルスが不調になってしまうことを予防し、働きやすい職場を実現することが重要です。

業務量が多いことによるストレス

医療現場では看護師の慢性的な人手不足に陥っており、看護師一人ひとりの負担が増大しています。通常の業務範囲を越えた過重な仕事を抱えざるを得ず、過剰なストレスを感じてしまう人も多くいます。

また、経験を積むにつれてより高度で責任の重い業務を担うことから、プレッシャーを強く感じることもあります。

このような過重労働は、看護師の心身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。特に、看護師としてのモチベーションの低下からうつ病に陥るリスクが高まると指摘されています。

新人看護師が一年目に感じるストレス

新人看護師は1年目から多くのストレスに直面します。

学生生活から社会人への移行、夜勤を含むシフト制勤務への適応、未熟な立場で業務を一から学ぶ必要性、経験に関わらず一人前の責任を負うこと、上司や患者家族との人間関係での精神的負担など様々な問題を抱えています。

また、看護師は患者の命を預かる重要な役割を担っているため、看護学生の時代には感じることのなかった重いプレッシャーを感じさせられます。

ベテラン看護師の感じるストレス

ベテラン看護師は豊富な経験と知識を有する一方、看護師としての経験年数が長いことから生じる責任と業務負担によるストレスにさらされがちです。

経験が豊富であるが故のプレッシャーや、中間管理職としての調整役割による人間関係の悩みなどが重なり、うつ病に陥るリスクが高くなります。そのため、適度な休息とリラクゼーションの時間を確保し、心身の健康維持に努めることが重要となります。

看護師のうつ病の実例と対処法

では、実際に看護師がうつ病になってしまった場合はどのようなサポートを行うべきなのでしょうか。

また、自分がうつ病になってしまった時にはどのように対処する必要があるのでしょうか。

看護師がうつ病になった事例

看護師はストレスを感じやすい環境で勤務しているため、うつ病になってしまうリスクが高くなります。

例えば10年以上救急科で勤務していたAさんは、夜勤の多さから倦怠感や頭痛、食欲不振に悩まされ、集中力低下にも気付き、うつ病だと自覚しました。

このような場合、まず専門家に相談し、治療を受けながら無理せず回復を待つ必要があります。また、リラクゼーション時間を設け、趣味や運動でストレス解消を図り、バランスの取れた生活リズムを心掛けることが重要です。

うつ病の症状がある人へのサポート

うつ病は経験する本人にとっても、周りの人にとっても難しい問題です。うつ病の人に適切に接するには、細心の注意を払う必要があります。感情が不安定になりがちで、ネガティブな考えに囚われやすくなるからです。

まずはその人の気持ちに寄り添い、丁寧にサポートする姿勢が大切です。

また、職場や仕事の悩みを聞き、問題解決の支援を提案するのも良いでしょう。状況が深刻な場合は、専門家や専門機関に連絡を取るべきです。できる限りのことをしてその人が安心できる環境を作りましょう。

自分がうつ病になってしまった時の対処法

うつ病に陥った時は、まず休職して心身を休める時間を確保することが大切です。

その際専門家に相談し、自分に合った治療法で治療を進めましょう。うつ病への早期対応の鍵は、自分の状態を正しく認識することです。そのため、症状が悪化する前に上司や先輩、専門家に相談するなど、早めに行動することをおすすめします。

さらに、事前の予防策としてメンタルヘルスケアを実践したり、労働時間の調整ができる勤務体制を整備することも重要です。常に注意を払い、体調の変化に適切に対応できる環境と対策を整えることでうつ病の発症を未然に防ぐことができます。

看護師がうつ病になってしまったら仕事はどうする?

うつ病に悩む看護師が仕事を続けるかどうかは難しい課題です。

うつ病になると気分の波が生じ、ネガティブな思考になってしまいがちです。そのような状態で休職や退職を考えると、他の選択肢を見落としてしまい、後々後悔してしまうという危険があります。

続ける場合

うつ病になってしまった場合でも、早期発見と適切な治療を受ければ症状は改善し、仕事を続けることができます。

上司や同僚に理解を求め、休憩時間の確保や仕事量の調整など、職場環境の改善に取り組む必要があります。

ただし、うつ病の状態や職務内容によっては今まで通り看護師として働き続けることが困難な可能性もあるため、無理をせずに自身の健康を優先しましょう。

異動して働き方を変える

うつ病を発症した看護師が仕事を続けるためには、働き方を見直すことが重要です。多くの場合、うつ病の原因は過酷な労働環境や不規則な生活リズムにあり、特に夜勤が多いことが大きな影響を及ぼします。

そのため、夜勤の少ない部署への異動を検討し、自分のペースで仕事ができる環境を整えることでストレスを軽減し、プライベートの時間を確保できます。

異動をすることで働き方そのものを見直し、リフレッシュする機会にもなります。

信頼できる人に相談する

うつ病に悩む看護師は一人で抱え込まずに信頼できる人々に相談することが重要です。知人や同僚、上司などに不安や問題を打ち明けることで精神的な重荷が軽くなり、新たな視点やアドバイスを得られるかもしれません。

また、自分の悩みに寄り添ってもらえたり、アドバイスを受けりすることで孤独感が和らぎ、一人ではないと実感することができます。

これはうつ病と向き合う看護師にとって大きな支えになるでしょう。

うつの原因を考えて対策する

うつ病に陥った看護師が職場復帰するためには、まず自分の病状の原因を見つける必要があります。

その際、信頼できる人に相談し、自身の感情や思考の混乱を整理することでうつの原因を明確に把握することができるでしょう。

原因が特定できれば、次は具体的な対策を立てる必要があります。例えば、人間関係が原因であれば異動を希望したり、業務量過多によるストレスが原因であれば業務量の調整をしてもらうなどです。

休職する場合

精神的に参っているときに無理して仕事を続けても、パフォーマンスの向上は期待できず、むしろ症状が悪化する恐れがあります。そのような状況に直面してしまった場合、退職を考える前に一度休息を取ることが最善の解決策となります。

看護師の人手不足が深刻な病院ではなかなか休暇を取ることができない場合がありますが、限界を超えて働き続けてしまうと症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があるため、しっかりと休息する必要があります。

とにかく、一度仕事から距離をおき、自分自身と向き合ってみる時間を作ることが何よりも大事だと言えます。

退職する場合

うつ病に悩む看護師にとって、仕事を辞めるか続けるかは難しい選択となります。休職して心身を休める機会を得られる一方で、収入が途絶えるリスクがあります。

また、一度休職や退職をしてしまうと医療現場に復帰するのが難しくなる可能性もあります。

精神疾患があることを伝える

うつ病は症状が外見には表れにくい病気ですが、誰もがかかる可能性があります。特に看護師など、ストレスの多い職業に従事する人は注意が必要です。

自分がうつ病であることを周りに言いづらく感じる方もいるかもしれませんが、うつ病であることを周りに隠す必要はありません

むしろ、同僚や上司に率直に伝えることで具体的な理解やサポートが得られる可能性があります。

症状が落ち着いている時に判断する

仕事に関する重要な決断をしなければならない時は、心の状態が落ち着いている時期するべきです。

うつ状態が深刻になると、ネガティブな思考が強くなり、冷静な判断ができなくなってしまいます。

退職は人生における大きな決断のひとつです。症状が比較的治まっているタイミングでじっくりと検討することで、ストレスを最小限に抑えつつ最善の選択をすることができるでしょう。

うつ病の診断書を提出する

看護師として働きながらうつ病を発症し退職を検討する際には、まず病院を受診し、自分の状態を把握することが重要です。

診断書を取得すれば上司や職場に状況を説明しやすくなり、休職や退職の手続きもスムーズに行えます。

また、診断書があれば傷病手当金の申請や、失業保険の特定受給資格者として給付制限期間なしで受給できるため経済的な負担も軽減できます。

社会保障制度を活用すれば給付を最大約2年6ヶ月受けられる

うつ病と診断された場合、社会保険制度を活用することで最長2年6ヶ月間の経済的支援を受けながら療養に専念することができます。

まずは傷病手当金を受給し、その後、就職が困難であると医師に判断されれば失業給付金を受給できます。

この制度があれば経済的な不安から解放され、安心して休養に専念できるでしょう。現在うつ病を患っている方で仕事上の問題を抱えている方や、治療中の方はこの制度を有効活用されることをおすすめします。

うつ病で休職・退職した後復職できる?

うつ病で休職や退職を考える際にやはり最も気になるのは、症状が回復した後に復職できるかどうかでしょう。

もちろん回復に専念することが最も重要ですが、長いキャリアを考える際に将来的な復職が可能かどうかは重大な問題だと言えます。

復職するためには?

うつ病から復職するためにはまず自分の病状を受け入れ、専門家からのアドバイスを求めることが大切です。治療を続けながら体調が良くなったら就労支援機関を利用し、自分に合った仕事を見つけましょう。

その際、ストレス管理やワークライフバランスの見直しも欠かせません。完璧を求めすぎず無理のない働き方を心がけ、ゆっくりと社会復帰のステップを踏んでいきましょう。

復職できそうな職場環境を考える

復職を考えるときは、ストレスを感じすぎることなく自分に合った環境で働けるかどうかを具体的にイメージすることが大切です。

自分の限界を知ることで最終的に働きたい職場の条件や環境が見つかれば、再び看護師として働きたいという気持ちが沸いてくるはずです。

うつ病から回復し、自分に自信を持つことができたら勇気を持って行動に移しましょう。

うつ病に罹患したことをネガティブに捉えない

うつ病の経験は決してキャリアの妨げにはなりません。むしろ、その経験を人生の一部と捉え、ポジティブに活かすことが可能です。仕事がうつ病の原因だった場合、その経験から強みを見出すこともできます。

看護師の仕事が原因でうつ病になってしまった人は、仕事に対する強い責任感と物事を最後まで成し遂げる能力に長けていると言えます。これらは他者にはない強みであり、同じ境遇の人々を支える大きな力ともなり得ます。

実際、うつ病で一度退職した人でも再び働きたいという意欲さえあれば復職は十分可能です。

復職する時に注意すること

うつ病から回復し、休職や退職後に職場に復帰することは可能です。ただし、慎重に進める必要があります。

また、上司や同僚に状況を事前に説明し理解とサポートを求めることも重要です。周囲の協力があれば職場での配慮を受けやすくなり、スムーズな復帰を後押ししてくれるでしょう。

そして何よりも大切なのは自分を肯定的に捉えることです。うつ病になってしなったという経験から自己否定に陥ってしまいがちですが、自信を持ち続けることが再発防止にもつながります。

職場選び

うつ病から回復し仕事に復帰する際は、自分に合った職場環境を見つけることが重要です。

以前の職場に戻るメリットは慣れた環境で作業を再開できることです。しかし、同じ病院の別の診療科に異動するのも良い選択肢かもしれません。

また、自分のペースと体調に合わせて働ける理想的な環境を見つるために全く新しい職場へ転職するのもおすすめです。

サポート体制を整えてもらう

うつ病から復職する際は、一気にフルタイムで元の状態に戻すのではなく、徐々に仕事の量や時間を増やしていく段階的なアプローチをとると良いでしょう。

最初は短時間勤務や軽作業から始め、体調を確認しながら徐々に通常の業務スタイルに戻していくことをおすすめします。

適切なサポートがあればうつ病の再発のリスクも抑えられます。復職後も、安定した勤務が続くよう職場の配慮と自身の工夫が求められます。

適応障害への注意

うつ病の回復期にある人が職場復帰する際、新たなストレスによって再び適応障害を発症しないよう注意が必要です

復職直後は自分の心身の状態をよく確認し、違和感やストレスを感じたらすぐに対策を講じましょう。

復職するにあたり不安や悩みが生じた場合は一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらいながら安心して職場復帰できるよう心がけましょう。

派遣看護師を検討する

派遣看護師として一定期間勤務することは、その職場環境や人間関係に自分が適しているかを判断できるというメリットがあります。

この期間は看護師として再び働く自分のお試し期間であるため、自分を見つめ直す絶好の機会となり将来の職場選択の参考になります。

つまり、派遣看護師は自身のキャリアを見直す新たな道筋を切り拓いてくれます。自分の希望を明確にし、様々な現場を経験することで納得のいく働き方を見つけられるのです。

うつ病に悩んでいる場合は転職も視野に

うつ病になってしまった方は、環境を変えることで心の休息が得られる可能性があるため、転職も選択肢の一つだと言えます。

うつ病に関する内容を面接で尋ねられた場合、嘘をつく必要はありません。うつ病に対して否定的な判断を下す職場は望ましい環境とは言えないからです。不採用であれば無理のない職場を探す良い機会であると捉えるなど、ポジティブな視点を持つことが大切です。

以下、看護師向けの転職サイトをいくつか紹介します。

マイナビ看護師

看護師専門の転職サイトとして、「マイナビ看護師」は高い知名度と豊富な実績を誇っています。この転職サービスは5年連続で看護師向けの転職サイトとして最も人気となっている非常に優秀なサイトです。

マイナビ看護師の求人情報は豊富で、約8万件もの求人がある点が魅力です。その中には独占的な求人情報も含まれており、多種多様な求人から自分にマッチした職場を見つけることができます。

内科をはじめ、スポーツ整形外科や血液内科など専門領域の求人も充実しています。フルタイムだけでなく、パートやアルバイトなど様々な雇用形態の求人も検索可能です。

このように、様々な選択肢から自分に最もあったものを見つけられる点がマイナビ看護師の魅力だと言えます。

ナース人材バンク

看護師の転職を全力でサポートする「ナース人材バンク」は、年間10万人以上の看護師から高い評価を得ている信頼の転職支援サイトです。

豊富な実績と97%の圧倒的な満足度が示すように、利用者の不安を解消するサービスを提供しています。

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レバウェル看護(旧:看護のお仕事)

レバウェル看護は、40万人以上の看護師から信頼されている転職サイトです。友達に紹介したいサービスとして業界トップの評価を受けており、信頼性とサービス品質が高く評価されています。

同サイトが誇る最大の強みは、全国で最多の6万件を超える求人情報を扱っていることです。多くの選択肢から、自分にぴったりの職場を見つけられるでしょう。

さらに、担当者が直接企業を訪問して情報を収集しているため、詳細で真実味のある求人情報を提供できます。ミスマッチのリスクを最小限に抑えられるのが大きな特徴です。

このように、レバウェル看護は信頼と品質、そして豊富な選択肢を兼ね備えており、多くの看護師のキャリアアップを力強くサポートしています。

看護師のうつ病まとめ

本記事では、新人から熟練者まで幅広い経験年数の看護師がうつ病になってしまった際の対処方法を解説しました。

休職が必要かどうかは症状や状況次第ですが、まずは心身の健康を最優先し、適切な治療を受けることが肝心です。

休職や退職、転職などどの選択肢を選んだとしても、うつ病になったことをネガティブに捉えるのではなく、次なる人生のステップへ進む機会だと捉えることが大事だと言えるでしょう。

この記事が、一人でも多くのうつ病に悩む看護師の方のお役に立てることを願っています。