精神科医の年収は実際いくら?勤務先別の年収や開業医の年収について解説

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精神科医の年収は、勤務先によって差がでたり、勤務医と開業医との年収差があったりと、様々な要素から決まります。

この記事では、精神科医の年収について、勤務形態による差異や精神科医が開業した場合などについて詳細に解説します。ぜひ最後まで読んでみてください。

精神科医の年収の相場は1000万~1500万円

ここでは、精神科医の年収の相場を割合別に見ていきます。

精神科医の年収の相場は1000万~1500万円

精神科医の年収は上記画像のようになります。最も多い年収範囲は1000万円から1500万円で、全体の約3割が該当します。

次に多いのが1500万円から2000万円の範囲で、約4分の1の精神科医がここに収まります。

一方で、2000万円を超える高収入層も一定数おり、反対に300万円未満の低収入層も存在します。このように、精神科医の年収格差は大きく、診療内容、勤務地域や形態、経験年数など多くの要因が影響しています。

精神科医の年収:勤務先別編

ここでは、勤務先ごとの精神科医の年収の相場や違いを見ていきます。

精神科医の年収:勤務先別編

総合病院・精神科単科病院

総合病院や精神科単科病院では、精神科医は外来診療だけでなく、入院患者の対応も行います。

特に総合病院では、他科の患者が精神症状を示した場合も対応が求められるため、時間外勤務も多くなります。

また、強制入院時の法的診察も担当することがあり、過酷な環境になりがちですが、その分年収が高くなる傾向にあります。

メンタルクリニック

メンタルクリニックは、外来診療に特化した精神科の医療機関です。

入院設備がないため、医師の負担が軽く、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。また、高額な医療機器を必要としないため、経営コストが抑えられます。

診療報酬に依存する収益モデルのため、年収は比較的高い傾向にあります。認知症専門の場合は、介護施設への往診も行います。

一方で、十分な患者数を確保できなければ経営が難しくなるリスクがあるため、医療の提供と経営両面での対策が求められます。

企業の産業医

企業には従業員の健康管理を専門に担う産業医の設置が法律で義務付けられています。

産業医は社員の健康診断結果のフォローアップや、ストレスチェックによる高ストレス者へのカウンセリングなどを行います。

また、職場環境の安全性の確保のため、安全衛生委員会にも参加します。産業医の勤務は通常日中のみで残業はほとんどなく、ワークライフバランスが保たれやすい半面、本格的な治療ができないことがデメリットになる場合があります。

そのため、一般的な病院と比較して年収は低めです。

公的機関

公的機関で働く場合、精神科医としての専門知識以外の知識習得が求められる一方、時間外勤務が少なく、週末や祝日の休暇が確実に保証されています。

福利厚生面も整っているため、ワークライフバランスを重視する医師や、幅広い知識を求める人にとって魅力的な職場環境となっています。

給与は一般的に低めですが、休暇取得が容易なため、生活と仕事の両立を図りやすくなります。

年収アップには精神科の開業医がおすすめ

精神科医は、開業医になることで年収を大きく伸ばすことができます。

科目

勤務医平均年収

開業医平均年収

精神科

1,230.2万円

2,587.9万円

内科

1,247.4万円

2,424.0万円

整形外科

1,289.9万円

2,988.8万円

小児科

1,220.5万円

3,068.1万円

産婦人科

1,466.3万円

1,834.3万円

外科

1,374.2万円

1,977.4万円

参照元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構

参照元:医療経済実態調査

厚生労働省の調査によると、開業医の平均年収は勤務医の約1.7倍にもなります。他の診療科と比べても、精神科医の開業医は比較的高収入ですが、勤務医の年収は全医師平均を下回っています。

精神科に関わらず開業医は高収入を得やすいですが、経営状況に左右されやすいのでリスクもあります。開業医として成功するには、医療の専門知識に加え、経営に関する知識も必要になります。

精神科医の病院開業資金は安い

精神科や心療内科の開業には、一般的に2,000万円程度と、他の診療科と比較すると安価で開業することが可能です。

ただし、物件選びには注意が必要です。精神科・心療内科の患者は、病院に通うことを他人に知られたくないという気持ちがあります。

そのため、混雑した街中に大きな看板を出すような開業は避ける病院も少なくありません

精神科医におすすめの資格は精神保健指定医

精神科医のキャリアにおいて、収入向上や診療報酬の増加につながる重要な資格が「精神科専門医」と「精神保健指定医」です。

「精神科専門医」の資格は比較的取得しやすいものの、「精神保健指定医」の資格は厳しい要件があり、5年以上の臨床経験と3年以上の精神科実務経験、研修会参加と試験合格が必要となります。

この精神保健指定医の資格を持つと、緊急入院や応急入院の判断ができるほか、診療報酬が2割程度上乗せされるメリットがあります。

そのため、この資格を持っていると、医療機関の収入増加と自身の給与アップにつながります。

特に、入院料が最上位クラスの「スーパー救急病棟(精神科救急入院料病棟)」では、5人以上の精神保健指定医が必須とされており、この資格が重視されています。

一方で、クリニックにおいては精神保健指定医の資格は必須とはされていません。資格の有無にかかわらず勤務や開業が可能であるためです。

精神科医の年収まとめ

この記事では、精神科医の勤務先別年収や、開業した場合の年収などについて解説しました。

規模の大きな病院で働けば年収は比較的高いようですが、開業医の場合はより高い年収を得やすいことが分かりました。

また、精神保健指定医の資格を持っていると、収入面でプラスになることも分かったので、精神科医を目指している方はぜひ取得してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました!