医師が非常勤として働くのはなぜ?常勤医との違いや非常勤務医の時給を解説

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医療現場では、常勤と非常勤の医師がいます。医師が非常勤として働く理由や、非常勤務医ならではのメリット・デメリットや給料など気になる方も多いことでしょう。

そこで本記事では、そのような疑問が解消できるように、非常勤医師について詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。

医師たちはなぜ非常勤で働く?

なぜ、医師たちは非常勤で働くのでしょうか?ここでは、非常勤務医の仕事の詳細について見ていきます。

医師たちはなぜ非常勤で働く?

非常勤務医と常勤務医の違いを定義

医師の勤務形態には、非常勤と常勤の2種類があります。

非常勤医師は、週に32時間未満の勤務で、定期的に勤務する「定期非常勤」と、特定の日だけ当直や健診業務を担当する「スポット」の2つに分けられます。

一方、常勤医師は週32時間以上の勤務が義務付けられています。

非常勤務医は外来の仕事が多い

非常勤医師は、外来診療をすることが主な役割です。

これは外来診療の求人が多数を占めているためです。一方、病棟管理や救急対応を伴う当直勤務の求人も一定数存在し、非常勤医師がこうした業務に従事する場合もあります。

外科系医師にとって手術経験を積むことは重要ですが、術後管理の面から常勤医師が手術を担当することが一般的です。そのため、非常勤医師が手術経験を積むことは難しい状況にあります。

ただし、眼科や美容外科、美容皮膚科などの分野では、一定の研修を経た非常勤医師が手術を行うことも可能とされています。

非常勤医師の平均年収は1000万円越えも可能

非常勤医師の報酬は一概に言えませんが、一般的には平均日給8万円と言われ、週3日勤務で月収96万円、年収1000万円以上が見込めます。

ただし、実際の収入は勤務先の医療機関、診療科目、勤務時間や日数、特に勤務地域によって大きく変動します。

東北、関東、東海エリアでは報酬が比較的良く、医師不足が深刻な医療機関や地域では十分な報酬が期待できます。

非常勤務医の待遇はデメリットになる?

非常勤医師は勤務時間を自由に調整できるメリットがある一方で、給与に手当が含まれず、社会保険料や確定申告の手続きを自身で行う必要があるデメリットもあります。

しかし、経済的な側面を上手に管理すれば、ワークライフバランスの良い働き方を実現することもできます。

医師が掛け持ちして働くメリット

非常勤務医の多くは掛け持ちをして働いています。

そこでここでは、医師が掛け持ちして働くメリットについて見ていきます。

収入増のためのバイトとして

医師が複数の医療機関で勤務する掛け持ちを選択する最大の理由は、収入を増やしたいことなようです。

収入増のためのバイトとして

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「勤務医の就労実態と意識に関する調査」調査結果

独立行政法人 労働政策研究によると、常勤医の約半数が本務以外に非常勤医として別の医療施設で働いており、経済的な理由から二つの職を掛け持つ必要があることがわかりました。

複数の勤務先で働く理由を尋ねた調査では、「収入を増やしたい」が最多の回答となり、「一つの勤務先だけでは生活が営めない」という回答も上位にランクインしました。

これは、医師たちが安定した生活を送るために副業を必要としていることを示しており、掛け持ち勤務によって収入を増やすニーズが高いことが確認できます。

常勤先の病院とは異なる勤務環境を体験できる

医師は自身の専門分野を選んで深く追求することが多いですが、勤務先の病院機関で専門分野の症例数が少ない場合、自身の技術向上が難しくなります。

非常勤務医の場合だと、複数の医療機関で診療できるので、多くの症例を担当する可能性があり自身のスキルアップに繋がるでしょう。

ただし求人数には専門分野による偏りがあり、外科系では非常勤の募集が少ないのが実情です。そのため、求人情報を継続的にチェックし、自身の専門性が生かせる職を見つける必要があります。

開業の準備期間の高時給バイト

開業を目指す医師にとって、開業準備期間中に非常勤医師として働き続けることは理想的な選択肢だといえます。

通常1年程度の開業準備期間が必要とされますが、その間も現場から離れずに報酬を得ながらクリニック開設に向けた準備を進められます。

開業までのブランク期間は望ましくないので、高時給の非常勤医師として働きながら開業を準備する医師が多くいるようです。

女性医師はライフステージの変化で非常勤の選択を取る

多くの女性医師は、結婚や出産などを経験しライフスタイルが変化することで、医療職を離れざるを得なくなることがあります。

しかし、非常勤務医なら完全に離職せずに済むでしょう。

非常勤医師は勤務時間に融通が利き、子供の送迎や学校行事にも対応しやすいです。また、医師の時給は比較的高額なので短時間でも効率よく収入を得ることができます。

将来的に常勤医師への復帰を希望する場合、勤務先でアドバイスや就職の情報を得られることもメリットになるでしょう。

非常勤務先の病院は人脈を広げる場所として

非常勤務医として働くと、複数の医療現場に携わることで地域医療に深く関ることになります。その結果、自身の人脈を広げることが可能です。

さらに、勤務先ごとに異なる環境や人間関係を体験することで、自身の適性を見つめ直す機会にもなります。

加えて、非常勤先での経験と人脈は新たな常勤先を探す際にも役立つ情報源になり得ます。

医師が掛け持ちして働くデメリット

では、医師が掛け持ちをして働くことにデメリットはあるのでしょうか?

社会保険や福利厚生が適用されない

医師が非常勤務医として働く場合、社会保険や福利厚生で注意しなければいけません。

多くの医療機関では手当や福利厚生を常勤医師に限定しており、社会保険や有給休暇の適用がない場合があります。

その結果、非常勤医師は自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要が生じたり、交通費しか補償されない場合もあります。

一部の医療機関では、一定の勤務条件を満たす非常勤医師を社会保険の対象とすることがありますが、雇用保険への加入資格も勤務条件次第で変わります。

また、退職金制度が適用されず、研修の機会も限られるなどの常勤医師と非常勤医師の待遇には大きな違いがあります。

非常勤は専門性を磨けない

非常勤医師は専門性を深めるのが難しいと言われています。

非常勤医師は専門性を高めるための研修の機会が限られており、昇進の機会も少ないためキャリアパスが狭まる可能性があります。

特に、非常勤のみで勤務する場合は対応する医療の範囲も限定されがちな傾向にあります。その結果、高度な専門性を追求することは難しくなってしまいます。

安定性が低い

医師が掛け持ちをすれば収入は高くなりますが、仕事の安定性や社会的な評価は低くなります。特に非常勤医師はその傾向が顕著で、高給を得られる一方で定期的な収入は保証されません。

また、住宅ローンの審査では収入だけでなく勤務年数も考慮されるため、非正規雇用の掛け持ちでは契約が難しい場合があります。

高収入を得る代わりに、仕事の不安定さや社会的信用の低下といったデメリットがあり、自身の生活面に影響が出てしまう可能性があります。

職場での立場

医師が複数の医療機関で掛け持ち勤務をすると、各施設での勤務時間が限られるため、職場での立場が不安定になりがちです。

他のスタッフとの関係を深めにくく、チームワークが欠けがちになり、患者への適切で長期的なケアを提供することが難しくなります。

また、各施設の意思決定プロセスに十分関与できず、自身の意見やニーズを反映させにくくなります。このような状況は、医師の仕事に対する満足度を低下させ、自身の成長を阻害する可能性があります。

仕事の連続性の欠如

医師の掛け持ち勤務には、治療の継続性が保てないというデメリットがあります。

常勤医は決まった患者を長期に渡り診療できるため、患者との信頼関係を築きやすく、治療の質を保つことができます。

一方で非常勤医は雇用期間が短く、患者との長期的な関わりを持つことが難しいために患者との信頼関係構築にも課題が生じることもあるようです。

収入は不安定になる可能性

医師のアルバイトは定期的な収入がある訳ではないため、収入が不安定になってしまう課題もあります。

常に次の非常勤先を探さなければならず、応募時期や条件を見落とさないよう情報収集に労力を費やす必要があります。

また、自身の専門性が高ければ高いほど、自身に適した求人が見つかりづらく、仕事を見つけるのが難しくなるかもしれません。

医師はなぜ非常勤で働く?まとめ

ここまで、非常勤務医の実態について解説しましたが、彼らは柔軟な働き方のできるライフスタイルを選択しているということが分かりました。

そのため特定の医療機関に固定されずに複数の場所で働くことが可能であり、プライベートな時間を重視する方や家庭とのバランスを取りたい方に適しています。

また、時給は地域や専門分野によって異なりますが、一般的には常勤医より高額に設定されることが多いです。

しかし、非常勤医師は専門性を深める機会が減少し、キャリア形成に影響を与えるデメリットなどもあります。そのため非常勤勤務は柔軟性は得られるものの、長期的なキャリア展望によってはデメリットも多いと言えます。

最後まで読んで下さりありがとうございました!