独学でも測量士試験に合格できる?独学のおすすめ勉強方法や試験の難易度まで解説

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測量士は、国家資格の一つで、土地の測量や境界確定などの重要な役割を担っています。

測量士試験は年に1回しか実施されず、合格率も決して高くありませんが、適切な対策を行うことで独学での合格も可能です。

本記事では、測量士試験の概要から、試験の難易度、独学での勉強方法までをわかりやすく解説します。

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測量士試験って独学でも合格できるの?

測量士試験は合格率が約10%と難易度が非常に高い試験ですが受験資格はなく、誰でも受験することができます。しかし、試験内容は計算問題が多く行列や統計など高度な数学知識が必要となり、これが測量士試験が難関である最大の要因となっています。

また、市販の参考書が少なく内容も難解で分量も多いため、独学での対策は困難を伴います。しかし測量の知識と数学に自信のある方であれば、市販のテキストを購入し自分に合った学習方法を見つけることで独学での合格も夢ではありません。

測量士に独学で臨むメリットとデメリット

メリット

勉強と仕事の両立ができる

測量士の資格を独学で取得することの最大のメリットは自分のライフスタイルに合わせて柔軟に学習を進められるため、仕事と両立しやすいことです。従来の進路である大学や専門学校への進学では一定の期間と費用がかかり、卒業後も実習が課されます。特に大学や専門学校では4年以上の年数を要するため、仕事をしながら学ぶことは困難です。

一方、独学の場合は合格後すぐに測量士として働けます。学校への通学時間を確保する必要がなく自分のペースで学習を進められます。社会人が新たな資格取得を目指す際には、現職を維持しながら効率的に合格を目指せるメリットがあります。

自分のペースで対策を進められる

独学で測量士の資格を取得する際の大きなメリットとして、自分のペースで学習できることも挙げられます。得意分野は手早く進め、苦手な分野には時間をかけられるので自分に合った効率的な学習が可能です。

また、働きながらや家事と両立しながらでも学習できるようスケジュールを柔軟に組むことができます。一方で計画的に学習を進める必要があるため、自己管理能力が試されます。期限までに全範囲を理解する必要があるため、計画を立て着実に学習を重ねていく姿勢が重要となるのです。

ほとんど費用がかからない

測量士の資格を独学で目指すことで、経済的負担を軽くすることができます。予備校の授業料や通信教材の費用がかからず、過去問題集や専門書を活用するだけで十分な学習をすることができます。

さらに国土地理院の公式サイトで過去問が無料で公開されているため、自宅でプリントアウトするだけで勉強可能です。受験料と教科書代を除けばあとは自身の学習意欲と努力次第であり、経済的な負担をほとんどかけずに資格取得を目指すことができます

デメリット

学習スケジュールの管理が難しい

独学で資格取得を目指す場合、最大の課題は学習スケジュールの管理です。自分でスケジュールを立てるのは自由度が高い反面、客観性が欠け、無理なスケジュールを立ててしまいがちです。その結果、計画通りの実現が難しくなったり予期せぬ事態で計画が狂い、適切な学習時間が確保できなくなったりする可能性があります。

このような状況が積み重なると試験前になっても十分な対策ができず、プレッシャーを感じてしまいます。そうすると「ほどほどに勉強すればいい」と甘えた考えが生まれ、必要な努力を怠ってしまいかねません。

モチベーションを保ちづらい

測量士試験に向けた独学は長い道のりですが、その過程でモチベーションを維持することは大きな難関となります。一人で学習を進めていく中で集中力と熱意を揺るがず保ち続けることは容易ではありません。

独学では自身で時間の使い方や学習内容を全て管理しなければならず、予定通りに進まず焦りを感じたり困難に直面して混乱したりすることもあります。そうした状況でモチベーションが下がれば学習意欲の低下に繋がり、最終的に目標を達成できなくなる恐れがあります。つまり独学ではモチベーションの維持が学習効率や前向きな姿勢を左右する大きな課題となるのです。

内容の理解に苦労する

測量士の独学において、専門的な内容を一人で理解するのは大変な作業で自分の理解度を客観的に判断するのが難しいのが最大の課題となります。

専門知識を深く学ぶ機会がない人にとっては、測量士試験の出題範囲は一層難解に映るでしょう。数学の知識だけでなく計算法などの特殊なスキルも要求されるため、独学でこれらを網羅するのは極めて困難な場合があります。

例えばアガルートの測量士講座であれば、難解な内容もプロの講師が非常にわかりやすく教えてくれるので、自分一人で四苦八苦するよりも明らかに効率よく学習を進められます。

実際、アガルート受講生の合格率は全国平均の6.56倍を記録している(令和5年度試験)ので、無理に独学せずに講座を受講した方が遥かに短期間で合格を目指せるでしょう。


仕事をしながら独学で測量士試験に合格する勉強方法

仕事をしながら独学で測量士試験に合格する勉強方法

まずは学習スケジュールを立てる

測量士試験に合格するためには長期的な視野を持ち幅広い分野を学習する必要があります。そのためには、初めから質の高い学習計画を立てることが重要です。

まずは一定期間内に達成すべき具体的な目標を設定し、その計画に沿って進めることで学習状況と結果を管理できます。そして、定期的に自分の進捗を確認し必要に応じて修正を加えていく必要があります。

要点をおさえた学習計画を立て、それを忠実に実行し進捗を確認する、という一連の流れが独学の成功の鍵となります。

自分に合ったテキストを選ぶ

独学で測量士試験に合格するためには適切な学習教材の選択が非常に重要です。信頼できる教材や過去問集を活用することで試験の傾向を正確に把握し、効率的な学習が可能になります。

一方、分かりにくい教材や内容が浅すぎる教材を使い続けると学習の妨げになる可能性が高くなります。独学では限られた時間と労力で最大の結果を求められるため教材選びは慎重に行う必要があります。

さらに自分の理解度や学習スタイルに合った教材を選ぶことも大切です。例えば、文字だけでなくイラストや図解が豊富な教材の方が分かりやすい人もいれば、具体的な過去の問題とその詳しい解説を好む人もいます。自分に最も適した教材を選ぶことが合格への近道となるのです。

テキストは必ず最新版を選ぶ

測量士試験に合格するためには最新の試験内容に沿ったテキストを使うことが重要です。法改正や出題傾向の変化に伴い、試験内容は常に更新されているため、古いテキストを使っていると現行の試験に必要な知識が不足したり、不要な情報を詰め込んでしまう恐れがあります

一方、最新版のテキストでは改正された法令や過去問題の分析結果が反映されており、効率的な学習が可能になります。またわからない点があれば最新の解説を読めるという強みもあります。

過去問もセットで選ぶ

過去問題に取り組むことは測量士試験対策において非常に大切です。過去問題を解くことで出題傾向を把握し、試験で問われる具体的な問題解決能力を養うことができます

出題された問題を通してどのような問題がどのような形式で出題されるのか、またどの範囲が重視されているのかを理解できます。これは試験対策の基本となる部分です。

さらに過去問題は実際の現場を想定した具体的な問題が多いため、単なる知識の詰め込みではなく、それらを実務でどう活用するかという実践的な問題解決力を鍛えることができます。

特に測量士試験では過去問題と類似した問題が出題されることが多いため、過去問題集がセットになったテキストを選択することで点数向上と実務能力の向上という両面で実りある学びとなります

午前の問題は得点源

測量士試験の午前の部では得点の足切り制があるため、合格のためには足切り点数を確実に超える必要があります。

そのための対策として、択一式問題への取り組みが重要です。択一式問題は出題パターンが把握しやすく過去問の分析から重要ポイントを押さえられれば得点源となります。

計算問題もありますが、測量士試験の重要論点を把握し過去問の出題傾向を分析することで、択一式問題に的確に対応でき合格に近づくことができます。

午後の部の得意分野を絞り込む

測量士試験の午後の部は必須問題と2つの選択問題を解く形式になっており、過去問に取り組むことで自分の得意な分野と苦手な分野が明らかにすることができます。また、各分野には異なる特性やパターンがあるため、早い段階で自分に適した分野を見つけることが重要です。

得意分野を明確にしておけばその分野に特化した学習計画を立てられ、効率的かつ集中的に知識を深めることができます。これは他の分野を無視するということではなく得意分野を決めておくことで、時間を最大限に活用し合格への確率を高める戦略です。

そのため、自分の得意分野が分かればそれを午後の部の対策に活用し試験合格につなげることが可能になります。

過去問や模擬試験を繰り返し解く

試験に合格するには効果的な対策をすることが必要不可欠です。

特に重要なのは過去問題を繰り返し解くことです。測量士試験では類似の問題が頻出する傾向があるため、過去問題の反復練習は測量士試験に合格するための勉強法として必須でしょう。

過去問の解き進め方として過去7年から10年間の問題集を繰り返し活用し理解を深めていくことをおすすめします。

計算問題の対策も怠らない

測量士試験で最も難しい部分は計算問題への対策です。

測量士試験では三角関数、ベクトル、GNSSの基線解析、クロソイド曲線など高校や大学で学んだ高度な数学の知識が必要とされる複雑な問題が出題されます。特に、難易度の高い問題についてはその問題への理解と自力でも問題を解ける実力を身に付けることが試験対策の要となります。

文系出身者や数学から離れていた受験生はこれらの問題を理解するのに時間がかかることを覚悟しなければなりません。一つひとつの計算問題を確実に解ける実力を身につけるには基礎から学び直す必要があります。

独学で合格するまでには最低300時間の勉強時間が必要

独学で資格試験の対策をするには最低でも300時間の学習時間が必要とされています。この時間には筆記だけでなく、実技、問題演習、模擬試験など全体的な準備が含まれています。

ただし300時間は目安であり、個人の学習スピード、前提知識、適性によって大きく変わります。特に測量士試験に関する前提知識がない場合や数学や専門科目が苦手な方は、500時間以上の学習時間が必要になるでしょう。

1日2時間程度の学習時間を見込んだ場合、300時間の学習には約150日つまり半年かかります。ただしこれは概算であり、集中力やコンディションによっても前後します。

測量士補試験の学習経験が活きる

測量士試験を独学で合格するには平均的には300時間以上の学習時間が必要とされていますが、測量士補の資格を持っていればより短時間で測量士試験に挑戦できるかもしれません。理由としては、測量士補試験と測量士試験の学習範囲が重なる部分が多いからです。

確かにこれらの試験は目的が異なり、求められる内容は大きく違います。測量士補は測量業務の知識を証明するための、測量士は測量計画の立案能力を証明するための資格です。しかし必要とされる知識の範囲は基本的に同じです。

測量士補の勉強で既にその範囲を理解していれば測量士試験の対策では学び直しは少しだけで済み、学習時間を短縮することができるのです。

測量士試験の合格率は10%前後

合格率の推移

試験実施年

合格率

2019年

10.3%

2020年

14.4%

2021年

18.0%

2022年

7.7%

2023年

14.4%

測量士試験の合格率は年によって大きく変動し、低い年ではわずか数%、高い年でも15%程度にとどまります。この合格率から、測量士試験は難易度が高い試験と言えるでしょう。

他の国家資格とは異なり、測量士試験は上位一定数の合格者を決めるのではなく、明確な基準で合否を判定します。午前試験で700点満点中400点以上、全体で1400点満点中910点以上を取れば合格となります。

このような試験方式では問題の難易度によって合格率が大きく左右されることがあります。しかし一方で全ての受験生が公平に評価されるという利点もあります。各受験生は同じ基準で評価され、他の受験生の成績によって合否が決まることはないのです。

午前試験合格率は高い

試験実施年

午前試験合格率

2023年

29.4%

2022年

40.6%

2021年

41.0%

2020年

23.9%

2019年

46.9%

2018年

27.2%

2017年

47.9%

測量士試験の午前試験は公式には合格率が公表されていませんが情報開示によると、令和4年5月の試験では40.6%の合格率でした。合格率は20%から40%程度で年によって変動があります。

注目すべきは700点満点中400点以上の高得点者が一定数いることです。この高い合格率の理由は午前試験が過去問題の類似問題が多く出題される傾向にあり、過去問題の反復練習で得点を重ねやすいという特性があるためです。

つまり多くの合格者は過去問題の反復練習を通じて問題解決のパターンを身につけ、理解を深めていることが分かります。

測量士試験の概要

試験科目は9科目

測量士試験は9つの専門分野を中心に構成されています。これらの科目は、測量士として必要な確かな知識と技能を問うものであり、日々の業務や専門的な調査で求められる広範で深い理解が必要とされます。

9つの科目はすべての測量士が最低限マスターすべき領域であり、試験の合否を左右する重要な指標となります。さらに試験科目には含まれていませんが、技術者倫理、測量の基準、基礎的な数学知識、地理情報標準についての一般的な知識も問われます。

これらは、測量士としての社会的責任や役割、道徳観、数学能力を評価するもので、専門知識と併せて実践的な判断力や応用力を測る試験内容となっています。

受験資格はない

測量士試験の特徴は受験資格に制限がないことです。多くの国家試験では、一定の年齢や学歴、専門知識が求められますが測量士試験にはそのような制約がありません。年齢、性別、実務経験、国籍を問わず、誰でも受験できるのが測量士試験の魅力です。

これは、多様な視点や経験を持つ測量士を社会が必要としているという考え方に基づいています。さらに受験地も全国各地に点在しており自宅から通える範囲で最適な場所を選べるため、場所を選ばずに目指すことができます。

出題形式は午前午後で異なる

測量士試験は、午前と午後で出題形式が大きく異なります。午前中はマークシート方式の問題が28問出題されます。

一方、午後は記述式の問題が出題されます。まず測量法や水準測量法など幅広い分野から4問の必須問題があります。次に「基準点測量」「地形・写真測量」「地図編集」「応用測量」の4つの専門領域から16問の選択問題が出題され、受験者はその中から任意の2科目8問を選んで解答します。

つまり、午後は必須問題4問と選択問題8問の計12問に取り組む必要があり、専門知識と適応力が問われる試験構成となっています。

合格基準や足切り制度について

測量士試験は上述した通り合格率が約10%前後であり極めて難関です。

午前の択一式試験と午後の記述式試験を合わせて1,400点満点中910点以上の取得が必要です。また、特に午前の択一式試験で400点を下回ると不合格となります。合計点が合格点を超えていても、足切りの基準を満たしていない場合は不合格となるため、基礎知識の重要度がうかがえます。

独学が向いているのはこんな人!

測量士の独学が向いている人

大学などで測量を学んでいる人

測量士の資格は建設業界や土木業界だけでなく、地図制作会社、不動産業界、環境調査会社など、多様な分野での就職機会を増やしてくれます。

大学や専門学校で測量について学んでいる人はぜひ測量士試験を受験しましょう。測量士の資格を取得することは専門的な知識と技術を持っていることが公式に認められるため、大学生活だけでなく、就職活動やキャリア設計において大きな強みとなります。

学習スケジュールを自分で立てられる人

独学は自由度が高い反面、学習の設計から実践までを一人で行う必要があります。計画立案力と自己管理能力が求められるため、日々の時間管理が苦手な人には向かないかもしれません。

一方、スケジュールの設計やタスク管理に長けている人なら独学という学習スタイルを十分に活かせるでしょう。独学を選ぶか否かは自身の時間管理能力を冷静に見極める必要があります。

モチベーション維持ができる人

独学で測量士試験に合格することは容易ではありません。自分自身でモチベーションを保ち、挫折を乗り越えながら地道に学び続ける必要があります。

長期にわたる学習では困難に直面することもあるでしょう。難しい課題に挑戦することへの不安や勉強以外のことに気が散ることもあるかもしれません。しかしそのような時でも強い意志を持ち続け、絶えず新しい知識を吸収していける人は合格することができるでしょう。

測量士補や土地家屋調査士の資格を持っている人

測量士補の資格は、測量に関する専門知識と技術を備えていることを示す証明となります。この資格は国土交通省が認可した専門学校や養成施設で学ぶことで取得でき、そこで更なる技術の向上を目指せば、測量士の資格を取得することも可能です。

また土地家屋調査士の資格を持つ人が測量士の資格取得を目指す場合は、双方の専門分野が通じているためスムーズに学習することが可能でしょう。

このように、資格取得の過程は一つの道筋に限定されず個人の状況や能力に応じて様々な選択肢があるのです。

確実に合格したい場合は予備校や通信講座も視野に

測量士試験の合格率が低い理由は問題の難しさだけでなく、テキストや問題集の不足、自己モチベーションの維持の難しさなどが関係していると考えられます。

一人で勉強を続けることは孤独感や挫折感を感じやすく、継続が困難になる場合があります。そういった状況に直面しないためには予備校や通信講座を活用するのが有効的です。

特に難易度が高い測量士試験の対策において、試験に精通した講師から試験対策のノウハウを教わるかどうかは合否に直結するほど重要なポイントです。

実際、アガルートの測量士講座の受講生は令和5年度試験で67.6%という合格率を記録しており、これは全国平均の6.5倍以上という圧倒的に優れた数字となっています。

こうした結果からもプロの指導のもとで学習する効果は疑いようがないので、独学での合格に絶対の自信がある方でなければ、予備校や通信講座の利用がおすすめです。


測量士の独学まとめ

この記事では測量士の独学取得について解説しました。

測量士試験に独学で合格するのは容易ではありませんが努力次第で可能です。

そのためには、理論だけでなく実技も身につけながら、限られた時間を有効活用し、問題集や過去問を活用するという勉強方法を継続することが大切です。

みなさんもぜひこの記事を活かして、測量士の独学合格を目指してください!