旅行業務取扱管理者は独学できる?国内と総合の難易度から勉強方法を紹介!

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旅行業務取扱管理者の資格には、国内資格と海外分野まで含む総合資格があり、この資格を取得することで、旅行の取引条件の説明などの業務の管理・監督を行うことができるようになります(出典:旅行業務取扱管理者 |国土交通省)。

ここでは独学での合格を目指す方へ向けて、メリットや効果的な勉強方法を紹介します。

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旅行業務取扱管理者の独学合格は可能?

旅行業務取扱管理者の独学は可能

旅行業務取扱管理者試験は独学でも合格可能ですが、決して容易ではありません。

試験は年1回の実施で、広範な出題範囲に対応するため入念な準備が不可欠です。

特に総合資格は国内資格より範囲が広く難易度も高いため、継続的な学習計画と強い覚悟を持って取り組むことが独学合格の鍵となります。

国内旅行業務取扱管理者の難易度・合格率

国内旅行業務取扱管理者資格の試験は

  • 旅行業法及びこれに基づく命令
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
  • 国内旅行実務

の3つの科目から構成されています。

試験では、各科目で60%以上の得点を取ることが合格の条件となります。

ここ数年の合格率は35%から42%と推移しており、国家資格の中では比較的高い合格率を示しています。

年度

受験人数

合格人数

合格率

2024年

10,943人

3,660人

33.4%

2023年

8,960人

3,270人

36.5%

2022年

8,945人

3,125人

34.9%

2021年

10,569人

4,498人

42.6%

2020年

12,146人

4,576人

37.7%

出典:全国旅行業協会

総合旅行業務取扱管理者の難易度・合格率

総合旅行業務取扱管理者資格は、国内旅行業務試験で出題の3科目に「海外旅行実務」が加わった4科目から成る試験であり、出題範囲の広さが特徴です。

各科目で60%以上の得点を必要とする点は国内資格と同じですが、合格率は22%から40%となっており、国内資格に比べてより高い難易度を持っています。

年度

受験人数

合格人数

合格率

2024年

4,680人

1,320人

28.2%

2023年

4,699人

1,050人

22.3%

2022年

5,266人

1,662人

31.6%

2021年

7,135人

1,785人

25.0%

2020年

10,378人

4,225人

40.7%

出典:日本旅行業協会

国内資格の合格率の方が高い理由

国内資格は総合資格より合格率が高く、理由は出題形式と範囲の違いにあります。

国内資格は全てマーク式で出題傾向も安定しており、対策次第で十分合格可能です。

実際に合格者の約8割は業界未経験者で学生にも人気があります。

一方、総合資格は範囲が広く対策が難しいため、合格率が低くなる傾向にあります。

旅行業務取扱管理者の勉強時間

国内資格は200時間

国内旅行業務取扱管理者資格の合格には約200時間の学習が必要です。

平日に1〜2時間、休日に2時間ずつ勉強すればおよそ3カ月が目安となります。

難関資格ほど長時間ではありませんが、一朝一夕で身につく内容ではないため、計画的に学習を進めることが合格への近道です。

総合資格は300時間

総合旅行業務取扱管理者資格の合格には約300時間の学習が必要です。

毎日2時間の勉強を続けると約5カ月かかり、国内資格よりも長期的な対策が求められます。

出題範囲が広いため計画的に時間を確保し、着実に学習を進めることが合格への条件となります。

大学在学中でも取得可能

旅行業務取扱管理者は大学在学中でも十分取得可能です。

難易度は国家資格の中でも高すぎないため、時間のある大学1〜2年生のうちに集中的に学習すると効果的です。

旅行業界への就職を目指す場合は面接で強いアピール材料となり、社会人受験者が多い資格のため早期取得はキャリア形成にも有利に働きます。

旅行業務取扱管理者の試験概要

国内旅行業務取扱管理者

国内旅行業務取扱管理者試験は全88問で構成され、主要科目は3つです。

  • 旅行業法及びこれに基づく命令:25問100点
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款:25問100点
  • 国内旅行実務:38問100点

実務では運賃や宿泊料金など具体的な処理が問われます。合格基準は例年3〜4割程度で推移しています。

総合旅行業務取扱管理者

総合旅行業務取扱管理者試験は全134問で、4科目から構成されます。

  • 旅行業法及びこれに基づく命令:25問100点
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款:25問100点
  • 国内旅行実務:32問100点
  • 海外旅行実務:52問200点

特に海外旅行実務では出入国手続きや各国の観光地知識が問われるため、取得者は旅行業界で高い専門性と国際的視野を持つプロとして認められます。

出典:日本旅行業協会

旅行業務取扱管理者の科目別勉強方法

旅行業及びこれに基づく命令

①テキストで基礎を暗記

②過去問題を繰り返す

「旅行業及びこれに基づく命令」では旅行業界の基本ルールが出題されるため、基礎知識を固めたうえでテーマごとの問題演習を行うことで理解が深まり、得点につながります。

旅行業約款、運送約款および宿泊約款

①旅行契約の流れをイメージしながら学習する

②過去問演習で理解を深める

「旅行業約款、運送約款および宿泊約款」は契約の各場面で適用され、特に旅行業約款が約80%を占めます。

過去問でパターンを把握し、テキストで確認することで得点力を高められます。

国内旅行実務

運賃計算対策を重視する

特にJR運賃問題は頻出のため繰り返し演習が必須で、旅客営業規則の理解も重要です。

国内航空運賃ではANAとJALの条件を暗記し、観光地理は温泉や博物館を含め幅広い知識を覚える必要があります。

実際の訪問経験と結びつける学習も効果的です。

海外旅行業務

海外旅券業務では分野が以下の5つに分かれています。

  1. 国際航空運賃
  2. 旅行実務
  3. 語学
  4. 出入国関係
  5. 海外観光資源

特に注力すべきは国際航空運賃と語学です。これらの分野は配点も高いため、基礎知識の習得にはテキスト学習が、理解の深化には過去問題の解析が効果的です。

語学については、過去問を通して頻出の単語やフレーズを学ぶことで得点源にすることができます。

海外旅行業務は国内旅行実務と同じくらいの難易度を持ち、総合資格の合格に向けて重要な科目となります。

合格までのスケジュール

合格までのスケジュールまとめ
  1. 全体の流れをつかむ
  2. インプットとアウトプットの反復
  3. 予想問題を解く
  4. 過去問を解く
  5. 試験当日
  6. 合格証明書の送付

全体の流れをつかむ

まずは参考書を使って全体像を掴む

全体の流れが分かった後、再度ざっくり一周して必要な知識を把握し、特に地理は地図を使って観光地の位置や特徴を覚えると効果的です。

解説付き問題集で出題形式やポイントを確認

最後に出題形式やポイントを把握することで、実践的な理解を深め効率的に学習を進められます。

インプットとアウトプットの反復

効果的に学習するにはインプットとアウトプットの反復が重要です。

まず1〜2週間はテキスト理解に集中し、自分に合った勉強法を確立します。

その後テキストを一通り読み、概要を把握したうえで過去問題集に挑戦します。

理解度を確認しつつ、間違えた問題は徹底的に復習することで実力を確実に定着させられます。

予想問題を解く

学習が進んだら予想問題を解くことが効果的です。

テキストや通信講座に付属する模擬試験を活用すれば、本番に近い形式で練習できます。

特にJTB総合研究所の模擬試験は累計8,000人以上が受験しており、過去の出題傾向を分析した実践的内容です。自宅受験も可能で、自分の実力を確認する絶好の機会となります。

【JTB総合研究所の模擬試験はこちら

過去問を解く

過去問題の演習は、正答率が安定してきた段階で取り組むと効果的です。

特に旅行業法は2018年に大幅改正があったため、2018年以降の過去問を中心に解くことが重要です。

また、本番同様に解答順や時間を設定して取り組むことで、知識確認と同時に時間管理能力も鍛えることができます。

試験当日

試験当日は解答順序を工夫することが大切です。以下がおすすめの順序です。

【国内試験】

①暗記中心の第1章・第2章から始める

②計算問題が多い第3章・第4章へ進む

総合試験においては、試験が2部制で構成されているため、解答の順番に関する心配は不要です。

また、回答内容を問題用紙に記録しておくと速報発表で自己採点ができ、振り返りにも役立ちます。

試験合格したら合格証はいつ届くのか

合格発表後に証明書の発行手続きが始まるため、到着まではしばらく時間がかかります。

通常は数週間で届きますが、1か月以上経っても届かない場合は運営機関へ問い合わせることが必要です。

資格取得の正式な証明となる重要書類なので、届いたら大切に保管してください。

旅行業務取扱管理者の独学のメリット・デメリット

独学のメリット

旅行業務取扱管理者の独学のメリット

安い費用で抑えられる

費用に関しては、テキストや問題集の購入費用のみで、高くても約1万円程度で済むことが多いです。

これに対して、通信講座を利用した場合の費用は約5万円程度かかり、資格予備校の利用では10万円を超える費用が発生することが一般的です。

通塾の時間がない

独学では教室までの往復時間が必要ないため、その分を勉強時間に充てることができるのは、時間を有効活用したい人にとって大きな利点です。

自分のペースで進められる

独学では、自分の好きな時間に勉強できることが大きなメリットです。

また、自身の理解度に応じてテキストを選び、自分のペースで学習を進めることが可能です。

好きに教材が選べる

旅行業務取扱管理者資格の独学では、自分にとって理解しやすいと感じる教材を自由に選択できることがメリットです。これにより、勉強のモチベーションを保ちやすく、学習効率も向上します。

講座受講した場合、好みに合わないテキストが指定されることもあり、受講したことを後悔する失敗談もあります。

独学のデメリット

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分からないときに教えてもらえない

学習中に理解が進まない時に、直接的な指導を受けられないことは独学ではありうることです。

担当講師がおらず、自分自身や知人が観光・旅行業の専門知識を持っていない場合、疑問点や不明点を即座に解消するのが困難です。

最新情報が手に入りにくい

毎年新しい情報や変更事項が公開されるため、これらを独学で迅速にキャッチアップすることは多少困難になりがちです。

特に、新しく施行された関連制度が試験に出題される可能性があり、そのような最新の出題傾向に対応するためには、資格学校や通信講座が提供する情報やサポートが有利となることがあります。

スケジュール管理とモチベーション維持の難しさ

独学において、「自分で好きな時間に勉強できる」という利点が、逆にスケジュール管理とモチベーション維持の難しさというデメリットに変わることがあります。

自由度が高い分、自己管理能力が試され、勉強スケジュールの設定や守り、継続的な学習モチベーションの維持が自分自身に委ねられます。

通信講座の利用者の方が圧倒的に合格率が高い

旅行業務取扱管理者試験は合格率が20〜40%と低く、独学では効率が悪いため通信講座の活用がおすすめです。

特に『フォーサイト』は国内試験で全国平均の2.49倍、総合試験で2.74倍の高い合格率を誇ります。

テキストや問題集に加え、スマホ対応のWeb問題集や講義動画も充実しており、初学者でも学びやすい環境です。

価格も国内28,800円、総合43,800円とリーズナブルで、一発合格を狙う方に最適です。

旅行業務取扱管理者の独学に向いている人は?

旅行好き

旅行が好きな人は趣味の延長で学習に取り組めるため、この資格勉強がしやすい傾向にあります。

この資格の勉強を進めることで、旅行業界の規定や計画の仕方を深く理解し、旅行をより豊かなものにできるきっかけになります。

旅行会社関係の人

資格試験の「国内実務・海外実務」の部分は実際の旅行業務の状況と多く重なるため、業界経験がある人は内容を理解しやすく、問題への取り組みも効率的です。

関連資格取得者

「通訳案内士資格」など既に関連資格を持っている人も独学に向いています。

特に、通訳案内士資格の勉強過程で身につけた地理に関する知識は、地理分野の内容に重複が多いため、旅行業務取扱管理者資格の学習においても大きな強みとなります。

旅行業務取扱管理者資格を取るメリット

旅行業務取扱管理者資格を取るメリットまとめ
  • 通訳案内士資格試験で地理科目の受験が免除される
  • 就職・転職のときのアピール材料になる
  • スキルアップ・キャリアアップしやすい
  • 自分で旅行会社を立ち上げられる

通訳案内士資格試験で一部免除

通訳案内士試験では、旅行業務取扱管理者資格を持っていると一次試験の地理科目が永久に免除されます。

この制度により試験の負担を大きく軽減できるため、すでに資格を持つ人や取得を目指す人にとって大きなメリットとなります。

就職・転職のときにアピールできる

旅行業務取扱管理者資格は、観光業界でのキャリア形成に有利に働く重要な資格です。

インバウンド需要が高まる中で注目度が増しており、習得した知識は実務で活かせるだけでなく、専門性や業務遂行能力の証明として就職・転職の場面で強みになります。

スキルアップ・キャリアアップにつながる

旅行業務取扱管理者資格は、旅行業界でのスキルアップとキャリアアップにつながる近道です。

国家資格として高い信頼性があり、多くの旅行会社で取得が奨励されています。資格を持つことで給与アップや昇進のチャンスも広がります。

自分で旅行会社を立ち上げられる

旅行業務取扱管理者資格があれば、自分で旅行会社を立ち上げることができます。

旅行業法では営業所ごとに有資格者を配置することが義務づけられているため、資格を持つ個人は法的要件を満たし、自ら旅行業を開始することが可能になります。

独学用の教材の選び方 

テキスト選びの注意点

旅行業務取扱管理者試験の独学では、自分のレベルに合ったテキスト選びが重要です。

初心者はわかりやすい入門書から始めるべきで、経験者はやや高度な教材が適しています。

難しすぎるテキストは理解を妨げ、学習効率を下げる可能性があるので、テキスト選びは慎重に行いましょう。

最新版を選ぶ

法律改正が頻繁に行われるため、古い教材では内容が不正確となり、改正点を理解できずに試験で失点する恐れがあります。

同じ出版社で統一

異なる出版社を組み合わせると説明や用語が異なり混乱の原因となります。

同一シリーズなら整合性があり一貫した理解が進みます。

補助教材アプリの活用

アプリを使えば重い参考書を持ち歩く必要がなく、移動中や隙間時間でも学習できます

模擬試験や繰り返し学習も容易になり、理解度と記憶の定着を高められます。

おすすめテキストは?

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  • 法改正や制度変更など最新情報が掲載されている
  • 丁寧な解説やわかりやすい図解で学習しやすい
  • 学習者の視点に立った補足説明が多く載っている
  • 複雑な「JRの運賃・料金」「国際航空運賃」の計算を分かりやすく解説
  • 写真や地図を通して国内・海外の観光資源が紹介されている

非常に分かりやすい教材となっているので是非検討してみてください。

旅行業務取扱管理者の独学まとめ

旅行業務取扱管理者試験の独学合格は十分に可能です。しかしながら、成功への鍵は適切な計画と継続的な努力にあることが分かったのではないでしょうか。

まず、試験の構造と内容を綿密に調べ、試験範囲を把握することが重要です。また、教材は最新の情報を含むものを選択しましょう。

また、独学は可能とはいえ厳しい側面も多いので、より効率よく合格を目指したい場合は通信講座の受講も視野に入れると良いでしょう。