介護職で働けるのは何歳まで?シニア世代が転職で採用されるコツやメリットを解説
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介護の仕事に興味を持つシニア世代の方は多いですが、年齢制限を心配する声をよく耳にします。
この記事では、介護職の年齢制限の実態や、シニアの方が無理なく転職するためのアドバイス、さらには未経験のシニア世代の方に適した求人情報まで、幅広くお伝えします。
この記事を通じて、新たなキャリアへの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
介護職に年齢制限はある?
介護職への転職を考えているものの、年齢を理由に躊躇している方は多いのではないでしょうか。
実は介護業界では、60代・70代のシニア世代も第一線で活躍しています。介護職員の平均年齢は47.7歳で、40代後半から50代が中心となっているのが現状です。
むしろ豊富な人生経験を持つシニア世代は、利用者とのコミュニケーションで強みを発揮できる貴重な人材として歓迎されています。
介護職は何歳でも働ける
介護業界では、深刻な人材不足に直面しているため、年齢に関わらず働く人材を積極的に受け入れており、持病がなければ、何歳でも介護職として活躍できる環境が整っています。
介護を必要とする高齢者の増加に伴い、2025年には245万人の介護職員が求められると予測されており、経験豊富な高齢者の力が欠かせません。
定年後も再雇用により働き続けられる場合が多く、介護業界は年齢制限のない働き方が可能な分野なのです。
正規雇用の定年はいつ頃?
正規雇用の定年は60~65歳が多い
介護の現場では年齢に関係なく働くことができますが、正社員となると大半の施設で定年制度が設けられています。
定年年齢は施設によって異なりますが、多くが60歳前後としています。
一方で65歳以上の高年齢を定年とする施設や、定年年齢を設けていない施設もあり、年齢制限は施設ごとの方針によるため、就職や転職を検討する際は事前に確認することが大切です。
65歳以上でも正社員になれる施設もある
介護の仕事は、一般的な定年とされる65歳を過ぎてからでも、正社員として活躍できる機会が多くあるのが特徴です。
実際に求人情報を見てみると、年齢不問で正社員を募集している介護施設が少なくありません。これは、豊富な人生経験や成熟した対人スキルを持つシニア世代の方々が、介護の現場で重要な戦力として認識されているからです。
ただし、正社員採用における年齢条件は施設によって異なるため、就職や転職を考えている方は、希望する施設の採用方針を事前に確認することをおすすめします。
定年後は「再雇用制度」を利用すれば70歳以上でも働ける
介護職における年齢制限については、法律で企業に70歳までの就業機会確保が努力義務として定められています。
最近の調査結果を見ると、定年後の雇用上限年齢を特に設けていない事業所が約半数にのぼることがわかりました。
出典:厚生労働省『高齢者雇用安定法の改正〜70歳までの就業機会確保〜』
ただし、70歳を超えて働けるかどうかは職場によって異なるため、就職や転職を考える際には、希望する施設の制度を事前に確認することが大切です。
介護職の平均年齢は何歳?
介護職を目指すシニア世代の方々にとって、職場で働くスタッフの年齢層は気になるところだと思います。
ここでは、介護職の平均年齢を詳しくご紹介します。
介護職員の平均年齢は50歳
介護の現場では、主に40代・50代の方々が中心的な役割を果たしています。
介護労働実態調査によると、介護職従事者の平均年齢は50歳と、全産業平均の43.5歳を上回っています。
さらに、女性の介護支援専門員の平均年齢は53.4歳とより高めになっています。
職場別で見る介護職の平均年齢
介護職の平均年齢は業種によって大きく異なります。
以下は介護職の平均年齢を職場別に表したものです。
介護サービス種類 | 平均年齢 |
---|---|
訪問系 | 48.6歳 |
施設系(入所型) | 44.4歳 |
施設系(通所型) | 46.3歳 |
居住系 | 47.8歳 |
居宅介護支援 | 53.4歳 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター『令和3年度介護労働実態調査』
介護職全体では40代後半が最も多いですが、居宅介護支援では平均年齢が53.4歳と高く、専門性が求められるサービスで経験豊富な高年齢層が多く働いています。
一方で、介護職は幅広い年齢層の人が働きやすい環境にあります。
しかし、若年層の介護業界への参入が少ないため、人手不足解消のためにも若者の就職が課題となっています。介護職の平均年齢は、業界の現状と課題を把握する上で重要な指標です。
職種別で見る介護職の平均年齢
介護の現場では、豊かな経験と人間性が重視されるため、従事者の年齢層は比較的高めになる傾向にあります。職種別に見ると、この傾向がより顕著になります。
以下は介護職の平均年齢を職種別に表したものです。
職種 | 平均年齢 |
---|---|
生活相談員・支援相談 | 45.7歳 |
介護職員 | 47.3歳 |
サービス提供責任者 | 49.8歳 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 52.7歳 |
訪問介護員(ホームヘルパー) | 54.4歳 |
出典:令和3年度介護労働実態調査『公益財団法人介護労働安定センター』
特に、介護支援専門員は資格取得に時間を要するため、平均年齢が52.7歳と高くなっています。その過程で培った専門知識や人間力、経験が、長く活躍するための大きな力となります。
40代後半から50代の熟練した専門職が多数を占めるのも、知識や技術、対人スキルなどが求められる職種だからです。介護の分野では、経験を重ねるほど活躍の場が広がる職種であると言えるでしょう。
シニア世代が介護現場で気をつけたいポイント6選
シニア世代の方が介護職として活躍するためには、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。
特に体力面での配慮や、若い世代のスタッフとの円滑なコミュニケーションは重要です。また、デジタル機器の操作など、新しい学びへの柔軟な姿勢も求められます。
ここでは、シニア世代が介護現場で快適に働き続けるために押さえておきたい6つのポイントをご紹介します。
年下でも上司や先輩の意見には素直に耳を傾ける
シニア世代が介護職で活躍するためには、従来の年功序列の考え方から脱却し、年下の上司や先輩とも良好な人間関係を築くことが不可欠です。
介護の現場では、単純な経験年数よりも、実際のスキルやノウハウが重視される傾向にあるからです。
自分の経験や知識に固執せず年下の上司やベテランスタッフからの助言を素直に受け入れる姿勢が求められます。
職場のルールに従う
介護の職場では、ご利用者様が安心して過ごせるよう、施設ごとに細かなルールやガイドラインが設けられています。
新しい職場では、その場所ならではの運営方針や文化があり、戸惑うこともあるかもしれませんが、新しい環境に入ったら、その場所の決まりごとに従うことが大切です。
基盤となるルールをしっかりと理解した上で、より良い方法がある場合は、上司や先輩に提案してみましょう。
電子機器の操作に慣れておく
デジタル化が進む現代社会において、介護の現場でも電子機器の活用が増えています。
利用者情報の電子管理、介護職員のシフト作成、情報共有、記録の引き継ぎなど、iPadや専用端末を使った業務が一般化しつつあります。
このような状況下で、シニア世代が介護職に就く際には、デジタルデバイスの操作に慣れておく必要があります。
特に電子機器の操作に不安がある場合、まずは身近なスマートフォンで文字入力の練習をするのがよいでしょう。日常的に少しずつ慣れていけば、介護現場での電子機器の操作も円滑にできるようになり、業務効率が上がって、より質の高いサービス提供が可能になるはずです。
覚えられないことはメモをとって見返す
シニア世代の方の中には、新しい仕事を覚えるのに苦労する方もいらっしゃいます。
しかし、介護の現場で活躍するためには、年齢を理由に諦めるのではなく、自分なりの工夫で確実に知識や技術を身につけていくことが大切です。
例えば、要点をこまめにメモすることは、新しい情報を定着させるのに効果的な方法です。
特に、先輩スタッフからのアドバイスは貴重です。これらの助言をしっかりメモに取り、後で何度も見直すことで、重要なポイントを確実に習得できます。
職員と利用者さんの顔と名前を覚えて良好な関係を築く
新しい介護施設で仕事を始める際、まずは、同僚や利用者の方々の顔と名前を覚えることが大切です。
お互いの顔と名前を覚えることは、円滑なコミュニケーションの基礎となり、良好な人間関係を築く上で欠かせません。
スタッフ同士の絆が深まれば、疑問点を気軽に質問し合える雰囲気が生まれ、そうした環境は、介護の質の向上にもつながります。
また、利用者さんとの会話が弾めば、信頼関係の構築も図れるでしょう。
新しい環境で多くの人の名前を覚えることに不安を感じるのは当然です。そんな時は、メモを活用して一人ひとりの特徴や印象的なエピソードを記録しておくと効果的です。
自分の体力と相談し無理なく働く
介護の仕事を始める際、自分の体力と相談しながら無理なく働くことが大切です。
確かに介護には身体的な負担が大きい作業もありますが、レクリエーションの提供や食事の配膳など、それほど体力を必要としない仕事も多くあります。そのため、シニア世代の方々も過度に不安を感じる必要はありません。
ただし、長時間にわたる力仕事は避けたほうが賢明です。自身の体力に合わせて無理をしないことが、長く健康に働き続けるためのポイントとなります。
シニア世代が介護職への転職を成功させるポイント
シニア世代の方々が、介護業界への転職を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、職場を探す際や、面接時、実際に働く際に押さえておきたいポイントを5つご紹介します。
資格を取得しするなどして意欲をアピールする
未経験者の場合、面接の際には、介護職への熱意や誠意をアピールすることが大切です。特に、志望動機、目指すスタッフ像、事業所の選択理由はしっかり用意しておきましょう。
また、資格の取得は自己啓発への努力と介護への強い意欲を具体的に示す良い方法です。
例えば、「介護職員初任者研修」は介護の基本的な資格として広く認知されており、待遇の良い施設では必須とされることも多いです。
これまでのキャリアで得たスキルや知識を活かす
シニア世代の方々は、長年の社会経験を通じて豊富な知識とスキルを有しています。
年齢を重ねることで培われた視点や、人間関係を構築する能力は、介護の現場で非常に重要な資質です。これらの強みを活かすことで、利用者やその家族、同僚との良好な関係づくりに貢献できるはずです。
例えば、過去に人材育成やマネジメントの経験がある方は、チームワークの向上やリーダーシップの発揮が期待できます。介護の現場では、スタッフ間の連携が不可欠であり、そうした経験は非常に価値があります。
謙虚な姿勢で取り組む
介護の仕事では、豊富な経験や専門的なスキルよりも、謙虚で思いやりのある人柄が最も重視されます。
面接では人となりが大きく評価されるため、シニア世代の方でも自己主張を控え、利用者や同僚に対して気持ちの良い接し方ができることが不可欠です。
例えば、若手からの指導に素直に耳を傾けられるか、年上だからと傲慢な態度を取らず、職場に溶け込むことができそうか、といった点が判断されます。
希望条件や優先順位をしっかり決めておく
シニア世代の皆さんが介護職に転職するためには、まず自分に合った働き方や優先順位を明確にすることが大切です。
体力や必要な休暇日数、好みの職場環境などを具体的にリストアップし、それに合った仕事を探すことで、最適な働き方が見えてくるはずです。
例えば、体力に自信がなければ、訪問介護やデイサービスなど日中勤務のところがおすすめです。
辞めたい・転職したいと思ったら転職のプロに相談する
転職は難しい課題ですが、特に初めて挑戦するシニア世代にとっては一人で進めるのは難しく、失敗してしまうこともあります。そのため、介護職の転職業界に精通した専門家にアドバイスを求め、サポートしてもらうのが良いでしょう。
転職エージェントやキャリアアドバイザーなどの専門家に相談することで、転職のタイミングや自分に合った職場、自身の経験やスキルがどの程度評価されるかなどを客観的に知ることができます。
これらの情報をもとに冷静に判断すれば、自力での転職活動よりも成功確率が高まり、スムーズな転職が可能になります。
40代から介護職を目指すメリット
介護業界では比較的若いと言われる40代で介護の仕事を始めることにはいくつかのメリットがあります。
40代から介護職を目指すことで得られる様々なメリットを、多角的な視点から探っていきましょう。
40代は介護業界では若手扱いで採用に有利
人生の折り返し地点である40代からでも介護の仕事に就くことができます。介護業界では40代はまだ若手と見なされ、経験は問われません。
豊富な人生経験を持つ40代の転職者は、それを生かして活躍できることが期待されています。
施設によっては未経験者でも基礎から学べるので、40代から介護の仕事を始めるのに遅すぎるということはありません。
40代・未経験からでもキャリアアップできる
介護職は、40代・未経験からでもキャリアアップを望める仕事です。
それは、介護の仕事が、年齢に関係なく一から必要な資格を取得して、スキルを身につけることができるからです。
実際、介護業界では他業種からの中途採用が活躍しているケースが多数あり、経験を積めば、管理職やリーダー、ケアマネジャーなどへのキャリアアップも十分に見込めます。
体力的に無理なく介護職を続けられる
40代は介護職を始めるのに適した年齢と言えるでしょう。
確かに、介護の仕事には要介護者を支えるなど、体力を必要とする場面が多くあります。ある程度の体力が求められるのは事実で、年齢とともに体力が低下していくのも避けられません。
しかし、40代から介護職に就き、専門的なスキルを習得していくことで、体力の衰えを補う効果的な介助方法を身につけることができます。
つまり、体力面での変化があっても、それを補う技術や知識を持っているため、長く働き続けることが可能になるのです。
ライフスタイルに合った働き方が自由に選べる
介護職に就くことで、自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。
資格がなくても無資格でパート職員として働くことができ、子育てや家庭の事情に合わせて労働時間や日数を自由に設定できます。
例えば、週2日間だけ勤務したり、午前中だけ短時間勤務したりと、自分のペースで働き続けられます。介護職は自分らしさを保ちながら新たなキャリアに挑戦するための選択肢となり得るでしょう。
40代から介護職を目指すデメリット
ここでは、40代から介護の仕事を始める上で直面する可能性のある課題やデメリットについて、率直にご説明します。
これらの情報は、より現実的なキャリア選択を行う上で重要な視点となるでしょう。
転職して給与が下がることが多い
他業種から介護職への転職を考える際、給与面での変化は重要な検討事項です。
厚生労働省の『令和4年度賃金構造基本統計調査』によると、40代の平均年収に関して、一般職が約552万円であるのに対し、介護職では男性が約369万円、女性が約331万円と、かなりの差があることがわかります。
この数字から見ると、介護職への転職によって収入が減少する可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、介護職でのキャリアアップや専門性の向上によって、将来的に収入が増える可能性もあります。転職を検討する際は、長期的な視点で自身のキャリアプランを考えることが重要です。
夜勤などで家族との生活リズムにズレが生じる
40代から介護職に挑戦する場合、家族との生活リズムの違いが大きな課題となることがあります。
介護の仕事では夜勤が求められることも多く、これが家庭生活との両立を難しくする要因になります。特に主婦の方や、実家で家族の世話をしている人にとって、夜勤は家庭生活に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、40代からでも介護の仕事に情熱を持って取り組みたい人は、自分の生活スタイルに合った勤務形態を選ぶことをおすすめします。
例えば、日勤のみの施設や夜勤のない事業所を探すなど、家族との時間を大切にしながら働ける環境を見つけることが重要です。最近では、従業員のワークライフバランスを重視する介護施設も増えてきています。
自分より若い上司に指示されることが精神的にきつい
介護職は未経験者や無資格の方でも始められる分野ですが、中高年の転職者にとって、年齢の若い上司のもとで働くことが心理的な負担になることがあります。
介護業界では、経験を積むことで比較的早く上級職に昇進できる傾向があります。そのため、20代や30代の上司から指導を受けることも珍しくありません。
このような状況を踏まえると、転職を考える際には、希望する職場の年齢構成を事前に調査しておくことをおすすめします。
自分に合った環境を選ぶことで、ストレスを感じることなく介護職への転職を成功させられる可能性が高まります。
50代・60代から介護職を目指すメリット
ここでは、シニア世代と言われる50代・60代から介護の仕事を始める上でのメリットをご紹介します。
この年代から新たなキャリアを開始することは、多くの人にとって大きな決断であり、挑戦でもあります。
同世代で活躍している職員が多い
介護の現場では、50代・60代の方々が大きな戦力として活躍しています。統計によると、介護従事者の約4割が50代・60代が占めています。
同年代の仲間が多いことは、大きな利点となります。年齢による壁を感じることなく、リラックスして働ける環境が整っているのです。価値観やライフスタイルを共有しやすく、コミュニケーションもスムーズに行えます。共通の話題で笑い合える雰囲気は、職場のストレスを軽減し、チームワークや生産性の向上にもつながります。
また、それぞれが持つ経験や知識を共有しながら、プロフェッショナルとしてお互いを尊重し合える環境があります。このような職場環境だからこそ、50代・60代の方々が介護の仕事に前向きに取り組めるのでしょう。
利用者さんとの世代の近さを活かして信頼関係を築ける
介護サービスにおいて、利用者さんと介護職員の信頼関係は非常に重要です。
利用者さんとの信頼関係を育むには、双方の年齢が近いことが大きな助けとなります。
50代や60代の介護職員は、利用者と世代を共有することで、映画や音楽などの娯楽の話題から自然と会話が弾み、距離が縮まりやすくなるでしょう。
異業種で培ったスキルが役立つ
中高年の方々が介護の仕事に転職する際には、長年培った経験や技術が大きな強みとなります。
例えば、接客業の経験があれば、高いコミュニケーション能力を活かして利用者の方々とスムーズに関係を構築できます。事務職の経験があれば、PC操作のスキルを生かして業務の効率化に貢献できるでしょう。
介護の経験がなくても、自らの経験とスキルを最大限に活用し、長所を上手にアピールすれば、採用担当者から高く評価されるはずです。
介護スキルを家族の介護に活かせる
50代・60代で介護職に転職すると、介護の知識や技術を体系立てて学ぶことができます。
この世代は、自身や親族の介護を身近に感じる時期でもあります。現場での経験を積むことで、単に身体介護の方法だけでなく、介護保険制度の仕組みや活用方法、現状の介護事情まで幅広く理解できるようになります。
こうした知識は、将来自身が直面するかもしれない家族介護や老後の生活設計に役立つだけでなく、介護に悩む友人や知人への助言にも活かすことができるでしょう。
50代・60代から介護職を目指すデメリット
ここでは、シニア世代と言われる50代・60代から介護の仕事を始める上でのデメリットをご紹介します。
シニア世代は、若い世代とは異なる課題に直面することもあり、潜在的な課題や困難を事前に認識しておくことが重要です。
体力的に負担が大きい
50代・60代から介護職へ転職する際、身体的な負担の大きさが懸念されます。
介護の仕事では、入浴介助や移乗介助など、利用者の身体的ケアが中心となり、体力を要する作業が頻繁に発生するからです。特に普段から運動習慣のない方にとっては、初めのうちはかなり過酷に感じるかもしれません。
また、夜勤のある職場では、生活リズムの変化に戸惑い、体力的にきついと感じることもあるでしょう。
業務の幅が広く、仕事を覚えるのが大変
介護職は多岐にわたる業務内容と、利用者一人ひとりの状況に合わせた対応が求められる職種です。そのため、幅広い専門性と忍耐力が必要とされます。
50代・60代から介護の道を目指す方々にとっては、幅広い業務内容の理解と実践は簡単ではなく、ストレスにもなりかねません。
また、デジタル機器の操作も避けて通れない課題です。慣れないパソコン作業は、特に中高年層の方にとって大変な思いをするかもしれません。
前職よりも給料が下がる可能性がある
50代・60代で介護職に転職を検討している方は、前職と比べて給与が下がるリスクがあることに留意が必要です。
長年培った経験やスキルが介護分野とは異なるため、新人としての立場からスタートする可能性があり、それが給与水準の低下につながるからです。
ただし、入所施設での勤務を選択すれば夜勤手当が支給されるため、給与ダウンのリスクを大きく軽減できます。高給与を目指す場合は、入居型施設での就労も視野に入れることをおすすめします。
50代・60代未経験者におすすめな介護現場の選び方3選
介護の仕事に興味を持つシニア世代の方が初めて介護業界を目指す際、未経験であることや体力面を不安に思う方も多いでしょう。
ここでは、そのような悩みを抱えたシニア世代の方におすすめな介護現場の選び方をご紹介します。
求人に未経験歓迎や年齢不問と書いてある
介護の仕事は、中高年からでも始めることかできます。
求人に「未経験者歓迎」「年齢不問」と書かれていれば、50代、60代以上の方でも安心して応募できます。
そのような施設では丁寧な研修や指導が用意されているので、年齢や未経験であることを気にせず働くことができるでしょう。
教育制度が整っている大規模な事務所・施設
介護の現場に初めて踏み入る60代、50代の方々にとって、大規模な施設や事業所を選ぶことがおすすめです。
そこでは、様々な世代の職員が働いているため、同年代の人と一緒に仕事ができ、すぐに職場に馴染むことができるでしょう。
また、大規模施設では教育制度が整備されており、新人職員への丁寧な指導が行われます。
一方、小規模施設では、十分な教育の時間が確保しにくいため、職員一人ひとりの業務量が多く、すぐに自立が求められがちです。
夜勤がなく体力的に負担の少ない職場
50代・60代の未経験者にとって、介護の仕事は体力的に大変な面もありますが、デイサービスや訪問介護などの日勤のみの職場を選べば、生活リズムを維持しながら無理なく働くことができます。
これらの職場では、比較的介護度の低い利用者が多く、身体的な負担も軽減されます。そのため、体力に不安がある方でも、安心して働くことができるでしょう。
キャリアアップにおすすめのヘルパー資格3選
ここではキャリアアップにおすすめのヘルパー資格3選をご紹介します。
介護分野でのキャリアアップを目指す方にとって、自身のキャリア目標や興味、現在の状況に応じて、最適な資格を選択することは非常に重要です。
これらの資格は、介護の世界でより充実したキャリアを築くための強みとなるでしょう。
介護職員初任者研修
介護業界で初心者向けの基礎資格として注目されているのが「介護職員初任者研修」です。この資格を取得すれば、介護の基本的な知識と技術を身につけたことが証明されます。
資格取得には、専門の教育機関で行われる初任者研修講座を受講する必要があります。130時間におよぶカリキュラムを修了し、最後の試験に合格する必要があります。
この資格の魅力は、無資格からでも取得可能で、資格を取れば約3万円の給与アップが期待できることです。
また、試験に不合格になっても再試験を受けられるので、資格取得へのプレッシャーも少ないでしょう。
介護福祉士
介護福祉士は国家資格であり、その取得によってキャリアアップの大きな機会が得られます。介護職員として経験を積み、初任者研修や実務者研修を修了した後に挑戦できる資格で、主にリーダーやマネージャーとしての役割が期待されます。
資格取得には3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必須ですので、未経験者にとっては一筋縄ではいきません。
しかし、介護の仕事に就き、着実に経験を重ね、努力を続ければ、60歳を過ぎてもプロの介護福祉士になることは十分可能なのです。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、介護を必要とする人とその家族のニーズを理解し、適切なサービスを調整するケアプランを作成する重要な役割を担っています。
ケアマネジャーを目指すには、介護福祉士の資格取得後、5年以上の実務経験が必要です。その上でケアマネジャー試験に合格し、介護支援専門員の資格を取得する必要があります。
ケアマネジャー資格を取得すると、給与が平均で約4万円アップすることが期待できます。
シニアの介護業界転職なら転職エージェントを活用
シニア世代や未経験者が介護業界への転職を考える際、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、数多くの求人情報の中から、個人の経験やスキル、希望する条件に合った職場を紹介してくれます。これにより、効率的かつ的確な就職活動が可能になります。
特に未経験者やシニア層にとっては、自分に適した職場を見つけるのが難しいと感じることがあるでしょう。しかし、転職エージェントを利用することで、それぞれの状況や希望に合った求人を探し出してもらえます。
介護職は何歳までまとめ
本記事では、介護職の年齢制限の実態や、シニアの方が無理なく転職するための方法などをご紹介しました。
シニア世代の豊富な経験と人生観は、介護の現場で大きな強みとなり、定年を超えても働き続けることができます。
介護職への転職をお考えの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。