測量士補は独学合格できる?目安の勉強時間やおすすめテキストまで解説

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「測量士補」とは、日本での測量業務に従事するための資格の一つです。この資格を持つことで、測量業務に補助的に従事することができます。

また測量士補になるためには一定の教育課程を修了し、国が行う測量士補試験に合格する必要があります。

ここではそんな測量士補試験に独学で合格することが可能なのか、独学する場合の勉強時間や勉強方法、おすすめのテキストなどを解説していきます。


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測量士補試験の独学合格は可能か

測量士補試験は独学合格可能

測量士補試験に独学で挑むのは、結論から言うと合格は十分可能です。

多くの受験生は対策講座の受講を選択しますが、独学で試験に臨み成功を収める人も一定数存在します。

ここからは、測量士補の試験が独学での合格が可能か否かを、試験の内容や形式などから検討してみます。

測量士補と測量士の違いは?

測量士補

測量士

仕事内容

測量士が作成した測量計画を実際に計測

測量に関する計画の作成

給与

300万円程度

460万円程度

資格を得る方法

①測量士補試験に合格して取得

②学歴の条件を満たして取得

・文部科学大臣認定の大学、短期大学、高等専門学校にて、測量に関する科目を修め、卒業した方。

・国土交通大臣の登録を受けた養成施設にて1年以上測量士補になるための専門知識を修めた方。

①測量士試験に合格して取得

②学歴と実務経験の条件を満たして取得

・文部科学大臣認定の大学、短期大学、高等専門学校にて、測量に関する科目を修め、卒業後、実務経験を積む(大学は1年以上、短大・専門学校は3年以上)を有する方。

・国土交通大臣の登録を受けた養成施設にて1年以上測量士補になるための専門知識を習得した後、2年以上の実務経験を有する方。

難易度

令和5年度合格率は32.2%

令和5年度の合格率は10.3%

「測量士」と「測量士補」はどちらも国家資格であり、測量業務における役割分担が明確です。「測量士」は作業に指示を出す上位職であり、「測量士補」はそれに従いながら実作業を担います。

資格取得の道のりには、試験合格か実務経験を通じての2つの方法がありますが、主要な違いは実務経験が必要かどうかです。

「測量士補」は特定の教育機関を卒業することで試験なしに資格が得られるのに対し、「測量士」は同じ教育機関からの卒業後も、さらに実務経験が必須とされます。測量士試験は難易度が高く、実務経験を積むことがより実現可能性の高い方法かもしれません。

測量士補の試験範囲

測量士補の試験範囲は、主に以下の8つの分野に分けられます。

  1. 測量に関する法規
  2. 多角測量
  3. 汎地球測位システム測量
  4. 水準測量
  5. 地形測量
  6. 写真測量
  7. 地図編集
  8. 応用測量

測量士補の試験は、上記8つの分野にわたり、全28問が出題されます。各問題は25点の配点で、総得点が700点満点中450点以上で合格となる試験です。これらの知識を問うことで、基本的な測量技術と法的知識の理解度を測ります。

測量士補の合格率

年度

受験者数

合格者数

合格率

令和5年

13,480人

4,342人

32.2%

令和4年

12,556人

5,540人

44.1%

令和3年

12,905人

4,490人

34.8%

令和2年

10,361人

3,138人

30.3%

令和元年

13,764人

4,924人

35.80%

平成30年

13,569人

4,555人

33.60%

平成29年

14,042人

6,639人

47.30%

平成28年

13,278人

4,767人

35.90%

平成27年

11,608人

3,251人

28.00%

平成26年

11,118人

4,417人

39.70%

平成25年

10,596人

2,248人

21.20%

平成24年

10,551人

4,289人

40.70%

平成23年

10,233人

2,192人

21.40%

平成22年

10,387人

2,757人

26.50%

測量士補試験の合格率は過去に20%から40%の間で変動していましたが、最近は約35%で比較的安定しています。

資格試験の中では合格しやすい部類に入るものの、実際には毎年70%近くの受験者が不合格となっており、適切な準備と対策が不可欠です。

難易度はやや低いレベルに入る

測量士補試験は、測量士試験に比べて難易度が低いと見なされがちです。そのため、受験者の間では比較的簡単な試験だと思われています。実際、資格試験の難易度を判定しているサイトでは測量士補試験の偏差値を47と評価しています。

しかし、この認識には一部誤解があります。測量士補試験は測量の基礎理論や計算、作業手順など、一定の専門知識が問われます。また実務経験の有無が大きく影響する可能性があり、実務では出くわさない課題に不慣れな受験者は不利になりがちです。

独学で合格を目指す勉強時間の目安

測量士補試験に独学で挑む場合、効果的に学習を進めることが最も重要です。特に試験の5月実施を考慮し、前年の末までには長期的な学習計画を立てておきましょう。

目安の勉強時間は5〜6ヶ月で、この間に毎日1〜2時間、合計で約200時間の学習をすると良いでしょう。

過去問を演習する時間は最低30時間

測量士補試験では「過去問題が頻繁に再出題される」ため、これらの問題集を徹底的に練習することが合格への確実な道とされています。

4年分の過去問を制覇することで、試験問題の約66%をカバーし、合格ラインを超えることが可能です。さらに、7年分の過去問を完璧にすることで、試験内容の80%に到達します。

初めの一歩として、国土地理院のウェブサイトで過去の試験問題に目を通し、それらを理解し、習得するために必要な時間を見積もることがおすすめです。

独学で合格した多くの人は、10年分の過去問を3周し勉強を進めています。1年分の過去問を演習するのに平均1時間かかるため、総勉強時間は約30時間となります。過去問をより効率的に、時間を節約しながらマスターしていきましょう。

国土地理院の公式サイトはこちら

土地家屋調査士の勉強時間は1,000時間

土地家屋調査士試験に合格するには、初学者の場合、約1,000時間の学習時間が一般的な目安となっています。

一方、測量士補試験対策の学習時間は約200時間と見積もられます。つまり、測量士補の資格を取得した上で、土地家屋調査士の資格にも挑戦する場合、両試験の合計勉強時間は約1,200時間(測量士補200時間+土地家屋調査士1,000時間)と、かなりの時間を要することになります。

そのため、測量士補資格を取得後に土地家屋調査士資格へと進む際には、この1,200時間の学習時間を念頭に置き、適切な計画を立てることが必要です。

独学での勉強のメリット

テキスト代と受験料のみでコスパが良い

測量士補試験の独学合格を目指す際、必要な費用は購入するテキストの料金と受験料2,850円に限られるため、かなり経済的です。これを通信講座を受講する場合の数万円の費用と比較すると、独学での勉強は大きなメリットがあります。

学習スケジュールを自分の好きなように立てられる

独学での学習においては、自分自身で自由に学習計画を立てることができます。毎日同じ時間に勉強をすることが難しい人も多く、自分の生活リズムに合わせた柔軟な学習スケジュールを望む人にとって独学は向いています。

測量士補試験の合格に必要な勉強時間は一般的に200時間程度とされており、個人の基礎知識にもよりますが、無知識から始める場合でも、1日2~3時間を3ヶ月、または1日1時間を6ヶ月勉強することが目安です。

試験が例年5月中旬に行われることを踏まえ、年明け前から2月頃までには勉強を始めることをお勧めします。利用可能な勉強時間を考慮して、試験日に向けて逆算してスケジュールを立てると良いでしょう。

勉強時間を調整できる

独学で学習する場合、自分のペースで進めることができるため、日々の勉強時間を柔軟に調整しやすいという利点があります。これにより、忙しい日は勉強時間を減らし、休日は多く取り組むなど、生活スタイルに合わせた学習計画が可能です。しかし、独学の大きな課題は、勉強の継続が困難になる場合がある点です。自己管理が求められるため、この点には注意が必要です。

独学にはデメリットも存在する

測量士補の独学のデメリット

モチベーションをずっと維持することが難しい

独学の場合、上述した通り勉強しない日が生じやすく、その結果として毎日の勉強を継続するモチベーションの維持が難しくなりがちです。さらに、質問や添削の機会がないため、理解できない部分を放置することが多く、これもモチベーション低下につながります。

試験科目の範囲が広い

前述の通り、試験の範囲は総合的に8科目に及びます。この幅広い範囲だけではなく、具体的に「応用測量」のような専門性が高く理解が難しい科目も含まれているため、全体の難易度は非常に高く設定されています。

これらの科目は、基本的な測量技術だけでなく、応用的な知識や技術を要求されるため、受験者は広範囲の知識を身につける必要があります。

計算問題の対策に時間がかかる

試験には計算問題も含まれており、これには三角関数の知識や高い計算能力が求められます。特に数学が苦手な人にとっては挑戦的な部分であり、理解を深めるためには指導者のサポートがある方が学習がしやすいです。

教えてもらいながら学習することで、より効率的に克服できるでしょう。

土地家屋調査士を目指すなら予備校・通信講座がほぼ必須

土地家屋調査士試験は、幅広い知識と高度な技術が問われる国家資格試験です。そのため、確実な合格を目指す場合は、独学に頼るのではなく、予備校や通信講座を活用することを強くおすすめします。

予備校や通信講座では、合格に向けたノウハウが凝縮された教材やカリキュラムを用意しており、効率的な学習ができます。一方で、市販の対策テキスト書では十分な内容が網羅されていないのが実情です。

特に測量や作図などの実技科目では、プロの指導を仰ぐことがコツの理解に不可欠です。予備校や通信講座なら、分からない点をその場で質問でき、適切なアドバイスを受けられます。

特にアガルートの通信講座は、圧倒的な合格率の高さとカリスマ講師によるわかりやすい指導を兼ね備えており、極めておすすめの講座となっています。

この指導力の高さは合格実績にも表れており、アガルート受講生の測量士補の合格率は毎年9割を超えています

さらに土地家屋調査士試験においても全国平均の5.58倍(令和4年度)という破格の合格率を叩き出しているので、測量士補や土地家屋調査士の合格を目指している方はぜひアガルートをチェックしてみてください。


測量士補の独学がおすすめな人

測量士補に独学で挑戦するかどうか悩んでいる人は、自分に独学が向いているかを一度考えて見るのも良いでしょう。

独学で難関試験に合格した経験のある人

他の難関資格や大学入試など、過去に何らかの難関試験を独学で合格した経験がある人は、その経験を活かして測量士補試験にも独学で勉強しても良いでしょう。

独学での合格経験があるということは、自分に合った効果的な勉強方法を既に確立していることが多いため、それを測量士補試験の合格に特化した対策に応用することができます。

そのため独学での学習経験は、測量士補試験の独学での合格を目指すにあたり有利な経験だと言えるでしょう。

すでに土地家屋調査士の資格を取得した人

多くの人が測量士補の資格を先に取得し、その後で土地家屋調査士の資格を目指すことが一般的ですが、その逆の順序で資格を取得することも推奨されています。

なぜなら、測量士補と土地家屋調査士の試験範囲に共通する分野が多いため、一方の資格で得た知識が他方の試験対策にも役立ち、試験準備を効率化できるからです。

すでにある程度の知識を有している場合、試験の準備が容易になるため、資格取得の順序を逆にすることにもメリットがあるのです。

測量士補の独学に向けたおすすめテキスト

ここでは測量士補の独学ができるおすすめのテキストと問題集をご紹介します。

やさしく学ぶ 測量士補試験 合格テキスト

初めに教材で知識をインプットすること、そしてその知識を問題演習で応用することが、効果的な勉強法であると言えます。

まずは、「やさしく学ぶ 測量士補試験 合格テキスト」でインプットを行い、基本的な知識を身に着けてから問題演習をすることがおすすめです。

このテキストは、試験で頻出する重要な知識を厳選し、初学者でも理解しやすいように丁寧に解説しています。また、練習問題を通じて十分な演習量も確保できるため、学習者は安心して勉強を進めることができます。

やさしく学ぶ 測量士補試験 合格テキストはこちら

2024年版 測量士補試験問題集

過去問だけでなく、問題集も用いて演習を行うことで合格に大きく近づくことができます。

「2024年版 測量士補試験問題集」は、最新の試験傾向や変更点を反映した内容を含んでいるため、受験生にとって大変役立つ教材です。

また、厳選された問題は、試験で出題される可能性のある多様な分野を広くカバーしています。さらに、各問題には丁寧な解説が付いており、正解だけでなくなぜその答えが正しいのか、また誤答の理由も理解できるため、知識の深化が期待できます。

2024年版 測量士補試験問題集はこちら

測量士補試験の独学での勉強方法

ここからは、適切な試験対策を進められるような勉強方法を具体的に紹介していきます。上述したような参考書でのインプットや問題集を用いた演習が有効です。

過去問は10年分演習しよう

測量士補試験では、過去に出題された問題が頻繁に再利用されるため、過去問を繰り返し解くことが得点向上のための最も効率的な方法です。特に暗記が必要な問題では大きな効果を発揮し、約10年分の過去問を何度も徹底的に演習することで充分な対策ができます。

計算問題の対策に力を入れよう

測量士補の資格試験では、計算問題が試験全体の半分を占める上に難易度も高いため、解法や公式を問題演習を通じて暗記することが推奨されます。この種の問題に効果的に対処するに過去問を解き、その解説を読むことを繰り返し行うのが良いでしょう。各問題を一つずつ暗記していくことが非常に効率の良い学習方法と言えます。

問題集でさらに得点アップ

問題集を解く際は、ただ解答を求めるだけでなく、公式の使い分けや解法のコツを確実に身につける必要があります。自分なりの理解を深めながら、繰り返し演習を重ねていく中で、計算力は確実に向上していきます。

文章問題は過去問を暗記して対策

計算問題では、実際に演習した量が得点に直接影響するため、過去問に加えて、問題集を使用した演習も重要です。

覚えた公式や解法を実際に活用する練習を積み、さらに効率的な復習を促進するためには、おすすめの問題集や参考書などのテキストを反復して使用することが有効です。

測量士補の資格を取得するのはおすすめ?

測量会社などで必要とされる機会が多い

測量士補の多くが専門の測量会社に勤務しており、測量法による営業所設置義務の存在もあるため、測量士や測量士補に対する需要は常に高い状態です。

測量士や測量士補が求められる場面が多く人材不足に陥りやすい現状があるため、測量会社では測量士補に対して一定の需要が保たれています。

今後も安定した需要が見込める

測量士補は建築において不可欠な役割を果たす資格であり、その需要は現在だけでなく将来にわたっても継続すると考えられます。

また国土強靭化などの政策実施時にはこの資格の需要はさらに急増する可能性が高いです。これらの点から、測量士補の資格を持っていると、仕事がなくなるリスクは非常に小さいと言えます。

測量士補を独学合格できるかまとめ

これまで測量士補試験の独学合格について詳しく説明してきました。

結論としては、測量士補試験の難易度がそこまで高くないため、独学での合格は可能です。またテキスト代と受験費用のみで済ませられるため、コスパも良いと言えます。

しかし、自ら学習計画をたて、参考書や問題集を用いて勉強する必要があるため、継続したスケジュール管理が必要でしょう。