病棟看護師を辞めたい理由は？しんどい時の対処法やおすすめの転職先もご紹介

病棟看護師を辞めたいと感じる理由

ここでは、病棟看護師を辞めたいと感じる理由として考えられるものを詳しく見ていきます。

人間関係があまりよくない

仕事を続けるか辞めるかの選択は、看護師に限らず様々な職種で共通の課題である「人間関係の難しさ」が大きな要因となります。

看護師の仕事は他者とのチームワークが不可欠であり、関係性が上手く築けないと業務効率の低下や患者へのマイナスの影響が避けられません。

看護師は労働強度が高く、患者の命を預かる重大な責任があるため、精神的な負担が大きいのが現状です。

そのような中で人間関係にも悩まされると、モチベーションの低下やその職業自体への意欲の喪失につながる場合があるようです。

指導が厳しくてしんどい

看護師の仕事は命を預かる重大な責任があり、緊張感のある環境です。

仕事柄、新人看護師は先輩から厳しい指導を受けるためスタミナの消耗や精神的ストレスを抱えることもあります。

それにより自己嫌悪に陥り、自身の能力を否定してしまうと、パフォーマンスが低下し悪循環に陥る可能性があります。

夜勤が多くてつらい

病棟看護師の仕事には避けられない夜勤があり、人手不足の病院では夜勤の頻度が高くなりがちです。特に病棟看護師は夜勤が多く、厳しい状況が続きます。

そのため、夜勤の負担から転職を検討する看護師も珍しくありません。看護師は日々忙しく、夜勤や残業が重なると肉体的・精神的な疲労が蓄積され、体調不良になる場合もあります。

夜勤で体調を崩しやすい場合は、自身の健康を最優先に、夜勤のない職場への転職を検討することが大切です。

ハラスメントに耐えられない

病棟で働く看護師は、時にハラスメントや嫌がらせに遭うことがあります。

同僚や患者からの辱めは、看護師を深く傷つけてやる気を失わせてしまいます。熱心に業務に取り組んでいても、その努力が報われないと感じると精神的に追い詰められてしまうのです。

このような体験は看護師の仕事ぶりに大きな影響を与え、深刻な職場問題に発展する可能性があるため、看護師が退職を考えてしまう原因になりかねません。

希望の診療科で働けていない

病棟看護師として希望する診療科に配属されないことが、モチベーションの低下につながっているケースも少なくありません。

自分の望む分野とは異なる業務に従事することで、仕事への熱意が薄れ、スキルアップへの意欲にも影響を及ぼしかねません。このような状況に早期に気づき、適切に対処することが必要です。

看護師の働き方は診療科によって特徴が異なる

以下の表では、各診療科の特徴についてまとめています。

内科では幅広い患者と関われる一方、精神科では傾聴力が求められます。

また、救命救急では高度な医療技術を習得できる反面、命の重みを感じる緊迫感があります。整形外科は比較的緊張感が低く、小児科と産婦人科では子供の回復や出産を間近で体感できるでしょう。

このように自身の希望に合った診療科を見つけることが、病棟看護師として活躍する上で重要です。

業務のミスに対する恐怖がある

病棟看護師は、患者の命を守る重大な責任を負っており、常に高い緊張状態にあります。

そのため真摯に取り組む人ほど、プレッシャーから逃れられない状況が続きます。

特に新人看護師にとって、患者ごとに異なる病状に対応することが大きなストレスとなり、様々な問題を引き起こしがちです。そのような極度の責任感と恐怖心から、看護師以外の職を希望する人も多くいます。

医療行為や医療ミスへの不安を抱える人は、コールセンターやクリニックの受付など、医療に直接関与しないサポート職を検討するのが良いでしょう。

病棟看護師は退職がしにくいって本当？

一般的に病棟看護師は退職がしにくいと言われています。ここでは、その理由について見ていきましょう。

職場が人手不足になる可能性がある

病棟看護師が退職しにくい理由として、職場の人手不足が挙げられます。

病棟看護師の仕事は患者の命を預かる重要なものであり、職場の人手不足は重大な事故につながりかねません。

また特に新卒で入った看護師の場合、指導してくれた上司や先輩への負い目も感じることになるでしょう。

しかし、健康やメンタルを優先し、退職するべき時も場合もあります。ただし、その際は最後まで誠実に職務を務めることが重要です。

職場が見つかっておらず金銭的に不安

次の職場が決まっていない状態で退職すれば、失業のリスクがあります。

看護師は体力的・精神的にも厳しい仕事でなため、退職することで一時的には安堵感を得られても、長期的には昇進の機会が減り、貯蓄も減る可能性があります。

焦ってミスマッチな職場に就職してしまっては、かえってキャリアを歪めかねません。

病棟看護師は忙しいため転職活動の時間を確保することは大変ですが、働きながら転職活動を行うことで、退職後にキャリアや金銭面に不安感を持たずに次の職場で働けます。

上司からの引き留めが怖い

病棟看護師が退職の意思を伝えづらい理由の一つは、上司から強く引き止められたり、不当な怒りを向けられるのではないかという不安があることです。

特に看護師長や上司からの高圧的な態度に対する恐れは、退職を躊躇させる大きな要因となっています。

常に人手不足である病棟の現状があり、自分が退職すれば人手不足がさらに深刻化するのではないかと看護師自身が負い目を感じることも多いです。

「私が辞めると人手が足りなくなるかもしれない」という思いから、辞めることに罪悪感を覚え、退職の意思を伝える勇気が奪われてしまうようです。

奨学金が止ってしまう

奨学金返済免除制度は、看護師が指定病院に勤務し続けることを余儀なくしています。

退職すれば返済義務が発生するため、経済的な負担が増えて生活の質さえ損なわれかねません。このように、金銭が関わる制度の仕組みが看護師の退職を困難にしているのが実情です。

病棟看護師を辞めるべきかどうかの判断基準とは

これまでご紹介してきたように、病棟看護師を辞めたいと思っている人も多いことでしょう。

では、どのような観点から病棟看護師を辞めるべきかどうかを判断すれば良いのでしょうか？

メンタルがやられている

病棟看護師は、命に関わる仕事をしながら高度な技術を求められ、患者や家族との人間関係にも悩まされることから、強いストレスを感じがちです。

そのストレスの現れとして、朝起きた時の頭痛や吐き気・不眠や息苦しさ・過度の不安などの心身の不調に見舞われることがあります。

こうした症状が続く場合はまず職場環境の改善を図るべきですが、それが難しいようであれば、健康を第一に考え転職など新たな選択肢を検討するべきでしょう。

ハラスメントを受けている

誰しもが尊厳を持って働く権利を持っています。

しかし、残念ながら職場におけるいじめやハラスメントは珍しくありません。そういった問題は一人で解決するのが難しく、メンタルヘルスや業務の質に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、辞職も選択肢の一つとして考えられます。健康とキャリアをリスクにさらすよりも、自分の幸せと安心な環境を優先することが大切なのかもしれません。

最終的には個人の判断に委ねられますが、病棟看護師として尊重される職場環境は不可欠です。

労働時間に給料が見合わない

医療・看護現場は人手不足が深刻であり、給与水準が必ずしも労働時間に見合っていない状況が続いています。

過酷な労働環境に対する報酬が十分でないと感じる場合は、異動や転職を検討するタイミングかもしれません。

将来的な収入アップの見込みが乏しければ、転職を視野に入れることが賢明でしょう。看護業務の経験を活かせる他の分野への転職も選択肢の一つです。

転職を検討する際は、給与だけでなく、昇進・昇給制度、福利厚生などの待遇面も重要な要素です。働きがいや生活の安定も考慮に入れることで、看護師としてのキャリアをより充実したものにすることができるでしょう。

病棟看護師を辞める際に気を付けるべきポイント

ここでは、病棟看護師を辞める際に気を付けるべきポイントについて見ていきます。

辞める時期を気を付ける

看護師として病棟で働く際、退職のタイミングは慎重に検討する必要があります。

退職時期が病棟の多忙期と重ならないよう、また他のスタッフに過度な負担をかけないよう計画を立てましょう。

一般的におすすめの退職時期としては、年度末、ボーナス支給後、求人が多い時期、看護研究活動の終了後などが挙げられます。ただし、それぞれの職場での最適な時期を確認するようにしましょう。

以下の表で、おすすめの退職時期とその理由をまとめています。

年度末は次年度の人事計画に合わせやすく、ボーナス後は経済的に安定しています。

また求人増加時期も転職しやすく、業務の区切り後は同僚への影響も少なくなります。

転職をする際にはこれらの時期に行うのがおすすめです。

転職先の選定を焦らない

次のステージへの移行を焦り過ぎると、求人情報の魅力に惑わされて厳しい条件や不利な点を見落としてしまう可能性があります。

自分のやりたいことと必要な条件をしっかりリストアップし、それらにマッチした求人を細かく確認することが大切です。

焦らずに冷静に判断し、後悔のない転職活動を心がけましょう。落ち着いた心で次のステージに向けて準備を進めることが、将来の活躍につながるでしょう。

有休を使い切る

残った有給休暇は無報酬での労働に等しいため、きちんと消化することが重要です。

上司から指導がなくても、自身で計画的に有給休暇を取得しましょう。上司に不快感を持たれたとしても、有給休暇を取得するのは労働者の権利です。

この権利を最大限活用し、心身のリフレッシュや次の職場への準備にあてるのがよいでしょう。

後任の看護師への引継ぎ

病棟看護師を退職する際には、後任の看護師への確実な業務引き継ぎが非常に重要です。

丁寧な引き継ぎを行うことで、後任者が円滑に業務を引き継ぐことができ、患者への質の高いケアを継続することができます。

特に自身が主導していた業務については、手順書の作成など詳細な説明が求められます。

病棟看護師を辞める時の流れ

では実際に、どのような流れで病棟看護師を辞めることになるのでしょうか。以下では、時系列順にご紹介します。

①就業規則を確認し、退職したい日を決める

看護師として退職を検討する際は、まず自身が勤務する病院の就業規則を確認することが大切です。

退職届けの提出期限は病院によって異なり、退職希望日の1カ月前や複数カ月前に提出しなければならない場合もあります。

規定を事前に把握しておくことで、スムーズな引き継ぎが可能になります。退職は自身のキャリアにおける重要なプロセスです。病院への敬意を忘れずに、計画的に対応していきましょう。

②上司に辞めることを伝える

次にすることは、直属の上司に相談することです。退職を決意し、希望する退職日も見えてきたら、上司に伝えます。その際、退職を考えるに至った理由や経緯についても説明するとよいでしょう。

ただし、この初回の相談では退職届を提出する必要はありません。この段階では「退職を検討している」という意向を伝えるに留めましょう。退職届の提出は後の段階で行います。

上司との話し合い後の手続きは病院によって異なりますが、一般的には看護部長や事務長との面談が次に控えています。

この面談で退職の意志がより固まり、最終的に退職届を提出することになります。

③上司と一緒に正式な退職日を決める

その次に、上司や所属する病院と密に連携し、正式な退職日を決める必要があります。

退職までの準備期間として、少なくとも1カ月以上の期間を設けることが望ましいです。この期間は、業務の引き継ぎやシフト調整など、職場の円滑な運営を維持するための適切な準備に必要だからです。

急な退職は職場に混乱をもたらす可能性があるため、できるだけ早期に上司と相談し、職場に迷惑をかけないよう十分な期間を設けることが重要です。

④退職届を出す

上記のステップを経てようやく上司に退職届を提出することになります。

退職届の形式は職場によって決まっているため、事前に確認しておくことが重要です。

一般的には白い無地の便箽を使うことが多いでしょう。ただし、退職届は提出後に撤回することができないため、十分に検討した上で意思が固まってから提出するべきです。

⑤業務の引き継ぎをする

看護師が病棟を離れる際、最も重要な役割の一つが業務の引き継ぎです。

これまでの業務内容を次の担当者や他のスタッフに確実に引き継ぐことで、現場での業務が滞りなく続けられるようにする必要があります。

退職する看護師は、関わってきたスタッフや患者に不安を与えることなく、引き継ぎを丁寧に行う責務があります。引き継ぎは単に業務の効率性だけでなく、人間関係や職場の雰囲気の維持にも影響します。

以下では、業務の引き継ぎにおける重要事項を確認します。

余裕のあるスケジュールを立てる

業務の引き継ぎには十分な時間が必要不可欠です。

担当業務の内容によりますが、1ヶ月程度の期間を確保することをおすすめします。この期間中に、自分の業務を後任者に円滑に引き継ぐことができます。

手順書や引き継ぎノートを作成する

退職を控えた病棟看護師にとって、業務の引き継ぎは欠かせない重要な作業です。

手順書や引き継ぎノートの作成を通して、自分が担当してきた業務の概要、実施方法、注意点などを詳細に記録することが求められます。

自分不在の状況でも業務が円滑に進むよう、わかりやすく具体的な情報を残すことが大切です。

また、難しい業務についても、自分なりの工夫やコツを丁寧に説明することで、深い理解と最後まで責任を持った姿勢を示すことができます。

転職活動を早めに始めておく

看護師が現在の職場を離れる決断をした場合、次のキャリアステップを見据えた転職活動を早期に開始することが重要です。

求人情報の収集、履歴書や職務経歴書の準備、面接対策などを計画的に進めることで、より良い転職先を見つける可能性が高まります。

また、早めの行動により、現職での業務と並行して転職活動を行う時間的余裕が生まれ、引き継ぎにも十分な時間を割くことができます。

転職の際はエージェントを活用し、他のことにも時間が割けるようにプロに頼りましょう。

病棟看護師を退職した人におすすめの転職先

病棟看護師を退職した人におすすめの転職先としては、どのようなところがおすすめなのでしょうか？

ここではおすすめの転職先を5つご紹介します。

訪問看護士

訪問看護は、病院を離れた看護師にとって魅力的なキャリアの選択肢です。自宅で療養中の患者さんに直接訪問し、必要な医療行為やケアを提供するサービスです。

訪問看護の大きな利点は、働き方の柔軟性にあります。フルタイムで専従するスタイルもあれば、ライフスタイルに合わせてパートタイムで働くこともできます。勤務日や時間帯も、週末のみ、日勤や夜勤など、様々なパターンから選べます。

さらに、訪問看護ではこれまで培った看護師としての経験とスキルを活かせます。患者さんの生活環境や家族構成に配慮しながら適切なケアを提供でき、さらなるスキルアップも期待できます。

産業看護師

産業看護師は、企業の従業員の健康管理や労働災害の予防、健康教育や相談業務を担う専門家です。

安全教育の提供や緊急時の対応も行うため、職場の安全面で重要な役割を果たしています。雇用形態は企業から直接雇用されることもあれば、派遣会社を通じて勤務する場合もあり、勤務時間も様々なので、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

看護師としての経験やスキルを活かしながら、従業員との信頼関係を築き、法令遵守にも務めます。

自宅近くで働けるケースが多いため、家庭との両立を望む看護師にとっておすすめな転職先となっています。

保健師

保健師は地域の人々の健康を守り、より良い健康状態を促進する重要な役割を担っています。

健康診断や予防接種の実施、健康相談の受け付けなどの業務を行うほか、保健教育や予防医学の普及にも携わります。地域での活動が中心となるため、地域との連携力と信頼関係の構築力が求められます。

勤務先は地域保健センターや役所、企業、学校などが一般的で、基本的には週休二日制で残業も少ない職場が多いとされています。地域に密着した活動のため、地元の人々から信頼され、喜びを感じられる職業です。

保健師になるには看護師資格と保健師資格が必要ですが、看護師経験者は一部科目が免除される場合があり、転職がしやすいメリットがあります。

助産師

病棟看護師から助産師への転職を検討してみてはどうでしょうか。

助産師は、命の誕生に立ち会い、その過程を支援することで、大きな喜びと達成感を得ることができる仕事です。母体や胎児の健康管理、出産の介助、産後のケアなど、看護師としての経験と能力を十分に活かせる分野です。

また、看護師時代と同様にシフト制の勤務形態であり、人間関係構築力やコミュニケーション能力が求められるためこれまでの経験が役立つでしょう。

ただし、助産師になるには国家試験に合格し、免許取得のための研修と実務経験が必要です。

クリニカルスペシャリスト

「クリニカルスペシャリスト」は、看護師としての経験を活かしながら、プレゼンテーションやマーケティングなど新しいスキルを身につけられる魅力的な仕事です。

医療機器メーカーで最新の医療機器の説明や実演を行い、データ分析や研究会の企画運営なども手がけます。

基本は平日日勤ですが、学会への出張や休日出勤もあります。生活リズムを整えながら、キャリアアップやスキルアップを目指せる絶好の機会です。

年収アップの可能性もあり、看護師経験を活かして新たな一歩を踏み出すチャンスとなります。

病棟看護師からの転職なら転職エージェントを利用しよう

看護師は、公的医療機関や美容クリニック、企業の健康管理部門、製薬会社、保険会社など、様々な分野で活躍が期待されています。

しかし、病棟勤務では夜勤や人手不足による過重労働など、厳しい環境に直面することもあります。

そんな中で、転職を検討する看護師にとって専門の転職エージェントを活用するメリットは大きいでしょう。

転職エージェントは、豊富な求人情報と専門知識を持ち、希望や適性に合った求人を紹介してくれます。さらに履歴書作成から面接対策、待遇交渉までをサポートします。看護師特有の悩みにも適切にアドバイスできるため、転職成功の可能性が高まります。

新しい環境で自分の力を発揮したい方は、ぜひ転職エージェントの活用を検討されてはいかがでしょうか。

病棟看護師が退職する理由まとめ

病棟勤務の看護師は、ストレスと大変さから転職を検討することが多くなっています。

しかし、ストレス対処法を身につけ、自分に合った職場を見つけることが大切です。訪問看護や産業看護師、保健師などが、転職先として魅力的な選択肢となります。

最も重要なのは、自分自身が何を求めているのかを明確にし、その願いに応えてくれる職場を選ぶことです。